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認知症母の心配な食行動


食欲旺盛か、覚えてないのか

 深夜0時過ぎに始まった母の独言は3時半まで続きました。その間、缶ビール500mlを1本とアンパンを一つ、スーパーで買ったしらすを1パックを食べたようです。朝はいつも通り6時に目覚めるも、寝不足でご機嫌斜め。月曜なのでデイサービスがあることを伝えると、急に体調不良を訴えはじめます。私は行くことを勧めましたが、最終決定権を持つ父が承諾。
 承諾前は食欲がなく、何も食べれないと言ってた母でしたが、私の朝食をみて自分も食べたいというのです。父の顔色を伺いながら母の分を用意。仮病を疑われてもおかしくない食欲です。7時半の出来事でした。
 その後ちょっとした用事で外出し、帰宅したのが10時過ぎ。残ったご飯と味噌汁がないので、父が食べたのだろうと確認すると、まさかの母親が食べたというのです。さらに11時過ぎ、昼食用に買っておいたにぎり寿司を完食。

認知症の影響?

調べたところによると、認知症には4つの代表的な問題食行動がみられるようです。

1. 食べ過ぎ
2. 嚥下障害
3. 食欲低下
4. 食へのこだわり

 さらにみていくと、家庭の主婦などの場合、近時記憶障害や遂行機能障害に伴い、「同じ食材ばかり買う」「冷蔵庫の管理ができず食材を腐らせる」「調理中に鍋を焦がす」「台所の整理が苦手になる」といったことが出現するという報告があります。ふむふむ、鍋を焦がす以外はすべて該当します。

近時記憶障害:最近の出来事や情報を覚えておく能力が低下する症状。
遂行機能障害:計画を立てて行動を実行し、目標を達成する能力が低下する状態。

 進行レベルが中期に入り記憶障害が顕著になると、食事したことを忘れ、要求を繰り返すようになるようです。もうこの領域に入っているのかもしれません。
 こうなると介護者の立場で知りたいのは対処法や解決策です。ですが結論は、「原因疾患や病態を多面的に評価・把握し,医師や看護師のみならず,栄養士,言語聴覚士,薬剤師,臨床心理士などさまざまな職種のチームによって,病態に沿った個別のマネージメントを行う必要がある」ということでした。そのマネージメントを具体的に知りたいところです。今後深く掘り下げてみたいテーマです。

認知症高齢者の食の問題行動

 問題行動を細かくみていくと下表に示す行動があります。

Shinagawa, S., Honda, K., Kashibayashi, T., et al.:Classifying eating-related problems among institutionalized people with dementia. Psychiatry Clin. Neurosci., 70:175-181, 2016.

「忘れて要求」「食べ物を探す」「味が濃くなる」「食べ過ぎ」は、介護生活の中でリンクします。ですが最もハッとさせられたのは、「マナーの悪化」です。私が知る母の姿ではないふるまいを何度か目にしました。あえて書きませんが……。
 認知症特有の食行動を知ったことで、今までストレスに感じてたことがわずかですが軽くなりそうです。これも症状ですから仕方ありません。介護者は知識をもって理解を深めることで、もっとストレスを軽減できればいいなと思います。
 実は今朝、私は母に苛立ちました。次は今日よりはうまくコントロールできそうです。

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