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【エロい映画】第7回「マンティコア 怪物」
『終電ガール』続きで単調ですので、中休みです。
!!!!注意!!!!
この作品はどの方向から語ってもネタバレの可能性があります。
よってネタバレなしでこの作品を語ることは大変困難であるため、この文章には「マンティコア 怪物」のネタバレが含まれています。
当noteをお読みの方で「マンティコア 怪物」を観てみよっかな~……と思っている方、そうそういない思いますが、もしいらしたら作品をご覧になってからお読みください。
よろしくお願いします。
押忍!!
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2022年製作/116分/PG12/スペイン・エストニア合作
原題:Manticora
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2024年4月19日
■どーいう映画?
監督は『マジカル・ガール(’14)』で鮮烈なデビューを飾ったスペインの新星・カルロス・ベルムトです。
ご覧になりました? 『マジカル・ガール』 え? 観てない?
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当noteをお読みいただいているような人の皮の被ったケダモノの皆さんなら、ぜひご覧ください。たぶん気に入ると思います。
で、今回の「マンティコア 怪物」です。
主人公はゲームのキャラデザイナーです。
3DCGソフトを使い、VRゴーグルとグローブで粘土を捏ね上げるように、ゲームに登場するグロいクリーチャーを創るのが仕事。
彼の専門はあくまでモンスターづくり。
人間のキャラは別のデザイナーが担当しています。
彼は在宅で仕事をしているのですが、ある日、隣の部屋から
「助けてー! 助けてー!!!」
と子どもの声が。
窓から見ると隣の部屋がボーボーと燃えているじゃーあーりませんか!
で、彼もそれなりに良識と人並みの公共心は持ち合わせておりますので、隣の部屋のドアを蹴破って子どもを助けますと……
家にいたのは、かーーーわいいショタっ子
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主人公はこの少年と少々の会話を交わしますが、そこで彼の隠されていた性癖がムクムクと立ち上がってくるのです。
つまりこの映画はぶっちゃけた話、あることがきっかけて唐突にショタに目覚めた青年の話です。
!!!!! 注意 !!!!!
!ここからますますネタバレです!
で、主人公、何をし始めるかと言いますと……
近所のスシ・レストランでたまたま離れた席で母親と一緒に食事をしていた少年の顔を、こっそりスケッチします。
同僚が作ったゲームの中の“登場人物モブD - 村の子供” のCGをアレンジしてVRで捏ねまわし、隣のショタそっくりなのを作ります。
そして、捏ね上げた隣の少年CGを……VRゴーグルをつけた彼のパントマイムだけで描写され、“どんなCGなのか” は画面に映りません……どうやらソファの上に座って開いた自分の股の間に跪かせ、「あふう……」といいながらシコりまくります。
クソ変態野郎です。
しかし、なんとまあここまでのシーケンスは映画の前半四分の一くらいの出来事。
その後、この映画がまさにアンチモラル・ロマンスへと突入していきます。
■どう「アンチモラル」なのか。隠された真実
その後、主人公くんにイイ感じで彼女ができます。
てのもこの主人公くん、ゲーム業界でシコシコやってる陰キャのオタクの馴れの果てかと思いきや、テキトーにクラブで女の子をナンパしてベッドインするくらいのスキルはあります。
そのへん、さすがスペイン人だと思いました。
でも……隣のショタに心奪われているせいか、勃起しない。
「いーのよ。気にしないで♪」と明るく慰めてくれる、ワンナイトラブ女子。
このへんも、さすがスペインと思いました。
その後、女性同僚のお誕生日パーティーで女の子と知り合います。
で、イイ感じに関係が進んでいく。
彼は、一瞬の気の迷いとはいえ、隣のショタを勝手にCG化してバーチャルわいせつ行為していたのはさすがにヤバいし、新しくできた彼女にも悪いと思ったのか、ショタCGをデスクトップのゴミ箱に捨てて消去します。
……さて……ここから、長い、長い、長い、元変態ショタ野郎と新しい彼女とのロマンスが始まります……が。
!!!!! 注意 !!!!!
! ここからくそマジネタバレです !
たいていの他の方のこの映画に関するレビュー等を観ますと、その点について触れられていませんが、問題はこの主人公くんの彼女です。
どんな子かと言うと……
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……こーんな感じの女の子なのですよね。
ここでわたしは「あれ?」と思いました。
というのも、わたくしどもが考えるに、スペインにおける一般的な男性が好む女性というのは、こんな ↓ かんじなのですよ。
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しかし、この主人公くんが恋するのは、こんな女子。
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演じる女優さんはこーんな人。
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つまりですね、ちゃんとした大人の女性なのですが、めちゃめちゃボーイッシュなのですね。
で、主人公くんが彼女とつきあう前に心奪われたショタはこんな子。
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で、付き合うのがこの子。
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つまり主人公くんは年齢相応な女性と交際して、なんとか己の邪でけしからん欲望に抗おうとするのですが……
付き合う女子がもう、なんというかロコツに「ショタの代用」なのです。
このへん、観ているほうが(あるていど変態なら)実にヒリヒリする。
■“ボーイッシュ好き”に隠された忌まわしい欲望
映画中盤、なんとかまっとうに、公序良俗に反しない、犯罪的でもない、フツーの、差支えのない関係性を彼女と築こうとする主人公くんの姿は帆微笑ましく、思わず「がんばれ!」と声を掛けたくなるほど。
しかし何を「がんばる」のか?
彼が公序良俗に反する変態でなければ、がんばる必要などないことです。
その間、彼が苦悩や葛藤を抱いているような描写はとくになく、ウカウカ観ていると彼はショタに対する執着を、すっかり振り切っているように見えるのですが……
それでも主人公くんが付き合っているのは、あからさまなボーイッシュ系女子。
この作品が恐ろしいのは、“自分はふつうだ・マトモだ” と思いながらボーイッシュ系女性に対して抱いてしまう欲望にメスを入れるその冷徹な視点。
たとえば……
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こーいうタイプの女性に惹かれる男性と言うのは基本的に、心に男児・少年に対する犯罪的な欲望を抱えています。
ちなみにわたしは、↑ に挙げた女優さん全員好きです。
まさにそれこそが心の中に封じ込められた「マンティコア 怪物」。
この映画に関する他の人のレビューなどを読んでいますと、「誰もが心のなかに抱えている“怪物”」などと書かれているものが多いですが……
否!!!
“誰もが”抱えてないですよ!!!
こんな犯罪的な欲求!!!!!!
とかく人間というものは自分が抱えている、非倫理的な欲望に関して「これは誰の心のなかにもある欲望」などと一般化しがちですが、それは逃げというものです。
己の欲望の犯罪性、非道徳性、非倫理性に関して、人は自覚的であらねばありません。
この映画のラスト、主人公くんには破滅的な結末が待っています。
しかし、
「心の中で思ってただけだ!! 誰も傷つけてない!!!」
と“内心の自由”を盾に言い訳しようとも、加害性を前提とする欲望を心に抱えている限り、彼は「マンティコア 怪物」なのです。
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この映画の主人公の悲劇とはつまり、己の欲望の危険さに気づけなかったこと。
そんなわけで皆さん、手遅れになる前に気を付けて生きましょう。
是枝裕和監督とか、大丈夫ですかね?
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わたしはめちゃめちゃ気を付けて生きています。
……さあ、そんなわけで明日からはまた、『終電ガール:chapter3』のつづきをお楽しみください。
<了>