常磐線全通について
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(双葉駅。華々しく公開された新生双葉駅だが、かつての駅舎もそのまま残っている。※立入禁止)
金曜に最後の代行バスに乗り、土日に全通した常磐線に乗ってきた。夜ノ森、大野、双葉駅を利用し、周辺を歩いてみて、完全に拙速と感じた。聖火リレーに合わせる意図が見え見え。トイレが仮設だったり、周辺の除染がろくに為されてなかったり、駅構内にベンチがなかったり。せめて7月の五輪開催まで待てば対策出来たであろうことが全く出来ていない。
(大野駅。駅構内にあるモニタリングポストの数値でさえ0.317μSv/h 。福島県外では立入禁止の駅)
大野駅については、あの駅は止まってはいけないと思う。ホーム上で毎時0.3〜1.2μSv、駅前ロータリーも同レベルで、そこから一歩出るとあっという間に毎時2.0μSvに達し、近くの陸橋を過ぎると毎時4.5μSv、その先は毎時6.4μSv。未だ立入禁止の駅前商店街は、2月に毎時10.0μSv超えが計測され急遽解除が撤回された場所だ。
「周辺住民の利便性が上がる」とNHKは報道するが、双葉、大野は周辺に住民は住まない。普通列車の本数は非常に少なく、利用者は鉄ヲタや僕みたいな物好きが殆どだろう。常磐線全通で恩恵を被るのは、特急で茨城から仙台に行きたい観光客やビジネスマンか。つまり「経済」だ。しかしそんな彼らも、双葉郡すべての駅に停車するのは煩わしいはずだ。
放射性物質を持ち出さないという観点では、既に6国を始めいくつかの主要道路が解除されており、常磐線が全通したところで大きな変化はないと思う。つまり手遅れ。車体の清掃を行う職員の被爆対策や、何往復もする運転手や車掌の健康管理をしっかりすべきだ。また、そういった主要道路のバイク通行許可にも反対。誤ったメッセージを伝えるだけで、今からでも禁止すべきだ。
取材の度に常磐線を利用していた僕は、あの路線のいわき以北の閑散とした様子をよく知っている。そんな路線を全通させることの意味がわからなかったが、結局は東京五輪のために復興ムードを盛り上げようという都会の思惑に乗せられた“象徴”なのだろう。
(富岡町小良ヶ浜。昨年4月の時点で帰還困難区域奥地への移動という“隠蔽”が始まっていたが、1年近く経つのに殆ど進まず。水浸しの地面を見る限り、昨年10月の台風でストップしたままか)
(まどか保育園)
昨日の双葉駅では、帰還困難区域へ一時帰宅した住民へ向けて「16時までにスクリーニング場でチェックを受けてください」と防災無線が流れていた。そんな場所へ、子供たちが連れて来られてマスコットにされる。そもそも帰還困難区域は18歳未満立入禁止なのに。新型コロナウイルスよりも、この国が壊れていくさまを見せつけられた常磐線全通だった。
(100円ショップ)
(双葉北小学校)
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