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ハルカと"やる気がでる魔法"《ズーニンの作業興奮》 🌟魔法使いリフレムの物語
深い森の奥に、ひっそりと佇む古い塔がある。そこには、ある不思議な魔法使いが住んでいる。名をリフレム。
彼は、炎を灯すでもなく、空を飛ぶでもなく——ものごとの見方を変えるリフレーミングの魔法の達人だった。
さて・・・。今日はどんな魔法が生まれるだろう?
🌟 魔法のはじまりは、一つの点から
塔の扉が勢いよく開いた。
「リフレム!」
ハルカが息を弾ませながら、塔の奥で本を読んでいた魔法使いに駆け寄る。頬は興奮でほんのり赤い。
「ねえ、《やる気がでる魔法》って本当にあるの? 村のパン屋のおじさんが言ってたの! どんなにやる気がなくても、少し手を動かすだけでどんどん集中できるって!」
リフレムは本を閉じると、ゆっくり微笑んだ。
「なるほど……それは賢者ズーニンの魔法じゃな…。ハルカ、その魔法を試してみたいかの?」
「もちろん!」
「では——紙に点を打ってみようかの。」
🖊 最初の点が生むもの
ハルカはきょとんとした。
「え、点?」
リフレムは頷き、机の上に白い紙と炭筆を置いた。
「何か特別なものを描かなくてよい。ただ、《一つの点》を打つ。それだけでいいのじゃ。」
「うーん……わかった。」
ハルカは炭筆を握り、紙の中央にポツンと小さな点を描いた。
「……で?」
リフレムは穏やかに尋ねる。
「ふむ…このままで終わってもよいが……ハルカは今、その紙を見て何か感じぬか?」
「え?」
ハルカは点を見つめた。
「うーん……なんか、この点だけだと寂しいかも。よし、もう一つ打ってみる。」
彼女はぽつ、ぽつ、と点を増やした。
すると、ふと何かが浮かんだように——
「あれ? つなげてみたら、星みたいになるかも?」
彼女は線を描き始めた。
🌟 転がり始める魔法
「ほほぅ……。」
リフレムは静かに見守る。
ハルカは気づけば夢中になって、点を増やし、つなげ、やがて星の形を作っていた。
「あっ……なんか楽しくなってきた! 他にも……雲とか、山とか……。」
彼女の手は止まらなくなっていた。
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リフレムは満足げに頷く。
「それが《ズーニンのやる気がでる魔法》。最初は何も思いつかなくても、手を動かせば、心があとからついてくるのじゃ。」
ハルカは炭筆を握りしめながら、キラキラした目でリフレムを見つめた。
「本当だ……! なんか、やる気って湧いてくるものじゃなくて、動いてるうちに生まれるんだね!」
🌿 たった一つの点から
リフレムは静かに微笑みながら、窓の外を見つめた。
「魔法は、いつも自分の心の中にある。ただ、その最初の点を打つことが大事なんじゃよ。」
ハルカは大きく頷くと、再び炭筆を握り、紙の上に新しい点を打った。その一つの点から、新しい物語が生まれていくようであった——。
🌿 リフレムの教え
「やる気を呼び覚ます《作業興奮》の魔法は、最初の小さな点から始まる。迷ったときは、とにかく動いてみることじゃ。
ひとつ点を打てば、次の線が見えてくる。気がつけば、そこには新しい世界が広がっているのじゃぞ。」
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