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ちいさな夏の日


スーパーで母親が、小さな女の子に野菜を指さしながら「これはほうれん草。」すると女の子は「嫌ーい!でもピーマンはスキ」と楽しそうに話しています。

最近は珍しい野菜も海外から輸入されてしゃれたハーブや洋野菜が並んでいます。

女の子は幼稚園に通っているようです。
サツマイモを見つけておいもほりの話を楽しそうに話しています。
「○○ちゃんのおいもはまん丸くて○○ちゃんのはいっぱいひげが生えてたよ。」

それを聞いてる母親も嬉しそうにうなずいて一袋カートに入れました。
なんだかこちら迄ほっこりする風景です。

私も小さな時、母と市場に行くのが好きでした。

必ず母は「何食べたい?」と聞くのですが、それは料理の名前ではなく、魚?お肉?の二択でした。あまり鶏肉は食卓にのりませんでした。きっとおとなの誰かが…。

魚屋さんには威勢のいいお兄さんがいていつも元気でした。
私はお刺身が好きなのですがそのころはマグロ、それもようかんみたいな赤いのを指さすので、きまって「親孝行なお嬢ちゃん!」と言われました。

今なら脂ののった中トロと言いたいところですが…。

お肉屋さんはこわもてのおじさんで、愛想は決して良くありませんでしたが、そこのお肉は美味しいと評判でした。

次は八百屋さんに行って旬の野菜を必ず買います。それで自然と季節を感じたような覚えがあります。

キュウリ、トウモロコシ、枝豆、なすび、トマトにオクラ。

夏のお昼は飽きるほど毎日、そうめんでした。

たまには違ったお昼ごはん、お総菜屋さんの煮豆やら、ポテトサラダを買いました。コロッケは店先で揚げていてアツアツです。

お菓子屋さんでは迷いに迷ってフーセンガム。オレンジの大きな球で包んでいる紙を剥くとアタリかハズレと書かれた帯が出てきました。何度も当てると母が恐縮してもう止めなさいと注意します。

たまには和菓子屋さん、夏なら水ようかんやカステラ生地で求肥をくるんだ
若鮎というお菓子。必ず「お仏壇に供えてからね。」と言われました。

夏はやっぱり大きなスイカです。スイカは野菜だそうですが果物屋さんには大きな顔がどんどんどんと真ん中で陣取っています。井戸で冷やしてみんな揃って縁側で食べました。その横で大きな団扇であおぎながら祖父が慈愛に満ちた顔で孫たちを見ていたのが子供心にも嬉しかったです。

そんな何でもない毎日が子供の心に暖かいものを育んでくれたような気がします。

私は息子たちにどんなことを伝えたのだろう。両親のようにゆったり子育てが出来たのだろうか?と思うことがあります。

時間がゆっくり流れた時代でした。今の子供たちは忙しそうですが、孫たちの季節ごとの行事を楽しむ姿はいつの時代も心に残る思い出の1ページになるのでしょう。

おうちで楽しむ夏の夜は線香花火、今年は小さな孫娘も一緒です。
大きくなった孫たちに会うのが楽しみです。

今日もいい日にしましょう!

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