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第31回: 認知症になりたくなければ炭酸飲料は飲むな!科学的に証明された脳への危害
麗人・クレオパトラは不老長寿のため、とある飲料を飲んでいた。その正体はぶどう酒に真珠を入れたものと言われている。真珠は酸に浸かることで、炭酸ガスを放出する。ぶどう酒と炭酸、これは現在のシャンパンにあたり、炭酸飲料の草分けとされる。しかし彼女には悲報だが、残念なことに炭酸飲料は不老長寿とは対極の存在かもしれない。
糖と認知症の関連性
コロンビア大学の研究者たちは、糖尿病と認知症に無視できない関連性があることを指摘し、その裏付けのために糖の摂取量とアルツハイマーの発症率に関する調査を行なった。
その結果、衝撃の事実が判明した。糖分の摂取量が1日あたり30g程度の人物と、6g程度の人物を比較した場合、前者の方が認知症になる可能性が33%も上昇していることが明らかになったのだ。
炭酸飲料の並々ならぬ危険性
先ほどの研究で判明した通り、糖の摂取量は認知症発症に大きく関連している。その点からして、糖を多く含む炭酸飲料も危険なのは火を見るより明らかである。しかし、炭酸飲料の危険性は例外的に突出して高いのだ。これは炭酸飲料は糖分の多さに加え、人工甘味料を非常に多く含有しているからであるとされる。
この事実に関してはボストン大学の興味深い研究がある。同大学はマサチューセッツ州に位置するフラミンガムの住人を対象に調査を行い、以下の三種の飲料摂取頻度を推定した (いわゆる「フラミンガム研究」)。
1. あらゆる加糖飲料
2. 加糖炭酸飲料(人工甘味料なし)
3. 炭酸飲料(人工甘味料あり)
この調査によると、1日1回以上人工甘味料入りの炭酸飲料を摂取する者は、全く飲まない者よりも認知症のリスクが2倍近く高くなっているというのだ。
しかし、問題なのは人工甘味料の摂取がなぜ認知症発症に関係があるのかについてはまだ完全に解明されているわけではないということだ。人工甘味料は脳卒中や高血圧など死に直結しうる重病の元になることで知られる。原因が解明されていない今、我々が取りうる選択肢はなるべく人工甘味料の摂取を控えることだけなのだ。
健康問題への無責任な反例提示はやめろ
本記事のような、健康被害や病気罹患へのリスク示唆に関する情報はネットの世界に多く転がっている。そして、そうした記事に毎回寄せられるのが「好きなもの食べていた方が長生きできる論」である。
(写真: ドクターペッパーを1日3本は飲むという106歳の御婦人)
この論説は、ドクターペッパーを愛飲する御婦人のインタビューなどが話題になった時から勢いが増してきたように感じる。確かに過度に気を使いすぎるのは息苦しい生き方であるとする反論は理解できる。
ただ、例外的に長生きした人物の経験を、その中身も噛み締めずに、あらゆる健康問題に関する研究の足を引っ張る道具にするのはどうもいけ好かない。多くの人にとっては関係があり、かつ危険視すべきである事実を、冗談めかしく「例外的反例」で以ってベールに包もうとするのは無責任としか言いようがない。
自らの人生の舵取りは、あらゆる情報を吟味した上で決めるべきだ。この記事に少しでも冷や汗をかいた方は、嫌なことには目を瞑らず、自身の生活を見直した方が良いかもしれない。甘い物だらけの生活は楽しくもあろうが、その結果の未来は決して甘くないことを認めることが健康への一歩なのである。
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参考文献
- Kashimura Gander: Drinking Soda Could Raise the Risk of Alzheimer's Disease According to Study, Newsweek, 7/24/2018, https://www.newsweek.com/drinking-soda-could-raise-risk-alzheimers-disease-according-study-1039671
- Matthew P Pase, et al: Sugar- and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia: A Prospective Cohort Study, Stroke, 48(5);1139-1146 (2017).