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視座の置き場所で世界の見え方は変わる

受刑者が書いたものをはじめて読みました。事件のことも時代背景も世界情勢も理解するのが難しく、同じ時代に生き、同じような活動をしていた夫に質問しながら。

戦士たちの記録 パレスチナに生きる 重信房子

重信房子は、オランダのフランス大使館が武装占拠された1974年のハーグ事件に関与した疑いで大阪府警に逮捕されました。

2022年5月28日に刑期満了で出所してます。

このニュースを知り、まず思ったのは懲役20年は長いなということです。刑法にまったく詳しくないですが、殺人や強盗でもこんなに長いのはないのではと思いました。思想犯、政治犯というのは、国家反逆罪で国の意向が強いということかしら。

渦中にいる本人が書いているので、彼らの行動が正当化されていてそれが正しいのか、何が本当なのか、そのまま読み込み信じていいのか、わからない。革命とか戦士とか闘いとかアラブ名とか訓練という言葉に違和感があります。

重信房子が所属していた日本赤軍は、学生運動から派生し、1972年イスラエル・テルアビブ空港で日本人3人が銃を乱射し約100人を死傷させました。

日本の世論は事件を批判しましたが、虐げられたパレスチナ人らは喝采しました。

追記でロシアのウクライナ侵略について書いてあるのですが、そこで次のように述べてます。

ウクライナの市民の抵抗が英雄的なら、イスラエル軍の占領に抵抗するパレスチナの市民も、テロリストでなく英雄である。ウクライナの戦争難民と同じように、シリアやアフガニスタンやパレスチナの難民も援助を受ける権利がある。

世界の視線は確かに今起こっている、報道が大きくされている紛争にありますが、彼女は20年そこにいて時間がそこに固執してしまっているような感じがしました。

重信房子が出所した翌日、5月29日(日)の朝日新聞に、テルアビブ事件について違う立場の方々の意見があり興味深かったです。

視座の置き場所で世界の見方は変わる。見え方の多元性を引き受けた上で何を善とするか。素朴な勧善懲悪では複雑な社会を語れない。

社会学者 宮台真司さん

日本人がなぜ占領に抵抗する我々のために戦ったのかと。多くの人が感謝の気持ちを抱きました。我々に関心を持ってくれたことに対しての感謝です。当時、イスラエルによる占領や難民の発生といった「パレスチナ問題」が存在することを世界はほとんど知りませんでした。

在日パレスチナ常駐総代表 ワリード・シアムさん

日本赤軍の彼らはリアリズムに欠けたイデオロギーの虜になり、それは若者の純粋さ、稚拙さでもあったと思いますが、行ったことは許されるものではありません。彼らがパレスチナ闘争を理解できていたか疑問で、パレスチナ闘争の中で日本赤軍が果たした役割はないと思います。

元警視総監 米村敏朗さん

渦中にいた当事者しか本当のことはわからない、と思ってましたが実は、当事者もその想いが強すぎて、嘘か本当かわからないと思いました。

ネットや、新聞等の情報でも立場が違えば色々な見解があります。ひとつのことに捉われないで、幅広い見方が必要かなと思いました。

なにが正しいかなんて、そのときの状況や当事者によって違う。もはやどれが正しいかなんて分からないよね。

カミーノさんのお嬢さんの言葉です。わたしが、noteにきて知ったことをすでに学ばれてます。大変なことを経験して楽しまれている逞しさ、わたしも刺激をうけました。ありがとうございました。