行けば楽しいのは分かってる
行けば楽しいと分かってはいるけれど、今日も本当にそうなのかはやっぱり行ってみないと分からなくて。
できればいつまでも布団にくるまっていたい。
平和が約束された家の中で。
できればネトフリでもつけてうとうとしていたい。
静かなセリフ劇なんかを聴きながら。
でも、これが僕の仕事だからそうもいかない。
今日も観念して、リードに身を任せる。
よその奴とすれ違う時は、道の端によりまっすぐ前だけを見て小走りで。
できれば鼻息も静か目で。
吠えるなんてもってのほか。
吠えていいことなんてひとつもない。
無駄に絡まれるだけ。
一応相手の反応は確認しておきたいから、充分に通り過ぎた後振り返ってみる。
まだこっちを見てやがる。
今日もあいつは僕のことが気になるようだ。
嫌いじゃないし、仲良くなりたくないわけではない。
けど、ちょっとこの短時間では距離を詰められる自信がない。
そのうちいつか機会があれば、仲良くなってやってもいいとは思っている。
いつもの並木道に銀杏がたくさん落ちていた。
もう秋なのか。随分と暑いけど、秋なのか。
僕は外に落ちているものには興味がないから、におうことも拾うこともしない。
ただ、足の裏が汚れるのは嫌だ。
帰ったら、たっぷりの水で濡らしたタオルでいつもより丁寧に拭いてもらおう。
ああ、今日もなんだかとっても疲れた。
朝から力を使い果たしてしまった。
外の世界も悪くはないけど、やっぱり家がいちばん落ち着く。
明日からの予報は雨。
わざわざ僕が出歩くこともないだろう。
嬉しいようで、ちょっとさみしい。
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