読書|酒井順子「清少納言の随筆気質」(「kotoba」2024年春号より)
雑誌「kotoba」に掲載の酒井順子さんのエッセイ「清少納言の随筆気質」が面白かった。
井上ひさしさんの「すべてのエッセイは自慢である」という名言を引き合いに、清少納言は自慢したがりのなんでもすぐSNSにアップしちゃうタイプ、紫式部は自慢したい気持ちを隠そうとしながら実はめっちゃマウントとってくるタイプで‥という「うわー、なんか分かるわー、身近にいるわー」という共感から古典の世界に誘ってくれるエッセイ。
「上田と女が吠える夜」の制作者が、番組コンセプトとして枕草子を目指していたという記事をいつかの新聞で読んだのを思い出した。「グータンヌーボ」なんかも似たようなものなのかもしれない。どちらの番組もよく観るのだけれど、女性が日頃のあれこれをあーだこーだ言うのは、実に面白い!(と私は楽しめるタイプ。)男性版「グータンヌーボ」になった途端に、なんだか一気にマイルドになってしまって物足りなさを感じる。
この違いはなんなんでしょう。歯に衣着せぬトークに性差はないはずなのに。永野(芸人)とかめっちゃキレキレですよ?こういうのを分析してる方は誰かいらっしゃるのだろうか。もしも、平安時代も今の時代も女性のあるあるトークが刺激的で面白いものだとしたのなら、何か普遍的なものがあるのかもしれない。(単なるアンコンシャスバイアスかもしれないけど。)またいつか機会があったらよく考えてみます。枕草子も高校生以来ぶりに読んでみよう。そんなことを考えてしまう、まんまと古典の世界に誘われるような酒井さんのエッセイだった。
それにしても、令和の枕草子「上田と女の吠える夜」に出演しながら、大河にて清少納言を演じているファーストサマーウイカさん!実に旬を捉えた人だ。大河未視聴3話分溜まっていて挫折しそうだったけど‥頑張って追いつきます。
今回の酒井さんのエッセイが載っている雑誌「kotoba」春号の特集は、「エッセイを読む愉しみ」。開高健さんはじめ、有名エッセイストに関して読むことができます。みうらじゅんさんのエッセイ観を書いたエッセイも。かなり読み応えあるので、エッセイ好きなあなたにぜひおすすめです。