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仁吾巴 妍 niaha ken
2024年8月14日 12:49
連還する記憶 ⑩<常在菌が働きつづける条件>前回の考察で、ヒトに寄宿する常在菌は、自身がそれを望むかぎりにおいて、自分の宿主たるヒト、すなわち生命体が壊れないように、壊れても元に戻れるように、互いに情報を交換し伝達しあって、あらゆる生体機能の尋常な働きを助けている旨、説明しました。ここで重要なのは、常在菌がそれを望むかぎりにおいて、という留保条件が設けらていることです。なぜでしょうか?
2024年7月31日 18:41
連還する記憶 ➈<種の怪>生命誕生40億年、人類誕生700万年、以来、現在にいたるまで、どれだけの種が生成され絶滅してきたか、数多くの研究がなされています。とりわけ昨今、環境保護の観点から、絶滅危惧種のレッドリストを媒体に、ヒトによる環境破壊を主な原因とする言説が多く語られています。絶滅に至らずとも、生成に不利な条件はいくつもあります。気候変動、捕食、生息環境の変容、地球温暖化、近親交
2024年6月8日 18:00
連還する記憶 ⑧<人を宿主とする微生物>このような働きをする微生物から、ヒトの体を見たとき、生息する糧を供給し、働く場所を提供してくれる、いわば宿主、と捉えることができるでしょう。ヒトは微生物の宿主になっています。またべつの言い方をすれば、ヒトは微生物により生かされている、ということもできます。微生物には、ヒトを殺すのではなく、ヒトに生命を保持し運用させる働きがあるのです。その働
2024年6月6日 17:23
連還する記憶 ⑦ 観念を造り出す知性の働きから、理想の誕生と理念の構築という、認識能力を備えたヒトとして、象徴的な収穫物を得られることを確認しました。本来的に生き物であるヒトやヒトの集団は、自分が生存するに足る理想を造り出し、それを守り抜くべく理念を構築し、実践します。その過程で、ヒトは、生きるために実践するあらゆる行為を、生体に結びつく有機的な観念記憶として、自らの認知体系に保存し
2024年6月1日 10:33
連還する記憶 ⑥連還する記憶⑤では、生命記憶と存在記憶と同じ時間と空間を共有しない観念記憶の脆弱性と危険性について、考察しました。生命体と時空を共有しない記憶、それは、生命と存在の、たえまなく繰り返される連還の有機的記憶の集積(歴史)へのアクセス権をもたない、閉鎖回路内で自己完結する、無機質の観念記憶です。生命と存在に有機的に関わる記憶には、生命を否定し存在を脅かすものに抵抗し、排除し
2024年5月30日 18:05
連還する記憶 ⑤連還する記憶 ④では、生命記憶と存在記憶の他に、生命体と同じ時間と空間を共有しない記憶、すなわち、観念記憶について触れました。 今回は、その観念記憶について、考察を深めていきましょう。 生命記憶と存在記憶との関連で観念記憶を考察するまえに、観念記憶そのものについて、考えてみましょう。 観念は、もともとギリシャ語のイデアを指す日本語で、ヒトが、生まれながらに備え
2023年2月28日 16:49
連還する記憶 ④連還する記憶 ③では、存在記憶について、考察しました。つまり、存在記憶新たな生命は、お母さんのおなかの中にいる間に、胎盤を通して生命記憶を受け取る一方、生まれたときから、存在記憶の記録が始まります。存在記憶は、血肉に宿る数億年の生命記憶を生きるために活用し、展開し、開発し、進化します。存在の記憶は、進化の記憶なのです。ところで、生命記憶をベースに蓄積された進化記憶
2023年2月26日 16:14
連還する記憶 ③連還する記憶 ②では、生命記憶について、考察しました。つまり、生命体は、自分が壊れないように、また壊れかけても恢復できるように、生き抜くための記憶を、代々、長年にわたって蓄積伝達してきました。また、ひと類が、宇宙の実像を未だ認知できないのとおなじように、ひと類の認知機能は、生命記憶の実像を、未だ認知することができないでいる事実についても、おはなししました。それでは、
2023年2月24日 23:36
連還する記憶 ②初回では、ひとの記憶には二つある、とおはなししました。生命記憶と存在記憶です。それでは、それぞれの記憶について、具体的にみていきましょう。生命記憶生き物という有機体は、数十兆といわれる多くの細胞で、できています。そして、それぞれの細胞には、生類の誕生以来、蓄積継承してきた記憶があります。最近の研究で、細胞同士が、独自に情報を交換しあっていることが、わかってきました。細
2023年2月23日 16:25
連還する記憶 ①ひとの記憶には、次の二つがあります。生命記憶生き物という有機体は、数十兆といわれる多くの細胞で、できています。そして、それぞれの細胞が、生類の誕生以来、蓄積継承してきた記憶があります。それを生命の記憶、生命記憶といいます。生命記憶は、生きるための記憶です。生命体の寿命が尽きるまで、生きるためにのみ蓄積される記憶です。寿命が尽きると、生命記憶は、他の生命体に引き継がれ、生き