①3大心理学が16大哲学に関わる
はじめに
今回の記事を書くにあたって、改めて中央公論社の「世界の名著」フロイトとユングを開いたが、これをそのまま紹介して話を進めるのは量的に無駄に長くなるように思われた。
どうするか?
1.ユング心理学は性格論ではない
34年前、故秋山さと子氏のユング関連の書籍で精神分析や性格類型などを知り、外向的性格と内向的性格の対立、フロイトが外向的でユングが内向的、思考型と感情型、感覚型と直観型、など面白く読めた。
しかし、人間の性格がそう単純に割り切れるものではないと思え、自宅にあった世界の名著全巻からユングの「類型総論」を開くと、129頁にこうあった。
つまり、外向的思考型の人と内向的感情型の人の対立や、内向的感覚型の人と外向的直観型の人の対立、というような単純に割り切れるものではなく、人の中には幾つかの心理的機能があり、その1つが目立てば性格に見えるのである。
さて、「類型総論」のむすび(219頁)には過程という言葉が出てくる。
けっこうマトモなことを言っており、前半の“客体像を構成する過程”はカント哲学の感性→悟性→理性、かといって後半の通り“感情”も重視してヒューム哲学に近いことも述べている。
2.三大心理学のうちの7機能
客体像を構成する過程に関わってくる心理的諸機能には何があるか? 私は三大心理学者から以下の7つをピックアップした。
・深層意識(フロイト);無意識ともいう。氷山に例えれば水面下の大きな部分にあたる。
・リビドー;生の根源的エネルギー。スピノザのコナトゥス(衝動)にも重なると思う。フロイトの性的に偏っていたリビドー観をユングは否定した。
・直感;何かを見て直感する、思う、と使う時の心理機能。ユング心理学の感情は、思考と対立する機能だがそれに当たる。
・感覚;ユングの4類型の1つ、センスがいい、と使う。
・思考;同じく4類型の1つ。
・霊感;4類型で直観と訳される機能に該当。内向直観型が天才と使う場合、インスピレーションを意味する霊感の方が合うと思われたため。
・維持;ユングの兄弟子で、同じくフロイトと決別したアードラーの心理学が該当。願望を実現することで心理的問題が解決されると説き、市販の自己啓発本の元祖と呼ばれる。4類型に含まれない。
維持という言葉は、インドの3大神、宇宙の根本原理であるブラフマン(梵天)、維持の神ヴィシュヌ、破壊と創造の神シヴァから取った。
3.基本状態+心機能→展開状態=メビウスの輪
33年前の5月初旬、岡山総合運動公園にある池の付近に寝転がり、熱く輝く太陽をジッと凝視しながら、「この世界にはまだ知られていない何か裏の法則がある」と思っていたところ、突然、太陽が自分の中に丸ごと入ったような衝撃を受け、ノートを取り出して今までの知識に基づいた表を書き出していった。
景色が良い場所で発見したり、生前は報われない人生を送るところが似ていることから、私も実存主義哲学者の端くれかもしれない。
…ということはさておき、この時に書き出したものが以下の図である。
あとがき
スライドを読む時間が長いので、今回はここで止めることにする。もしこの話に興味があり、もう少し時間があるのなら、前回記事を開いてもらいたい。
すると、上記の表の中に8つの過程説が全て含まれること、そして16大哲学者の説が1つ1つ、この表の16状態に当てはまることがわかるはずである。
それが何の役に立つのか?
確かにこれは、いわゆる思い込みの一種であって実験科学ではないという疑問はずっとあった。しかし、ほどよくバランスのあるまとめ方ならば、もっていて何も困るようなものではないと思い、ここに紹介した。
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