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読書・映画感想文/考察集

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2022年12月の記事一覧

【書評】『わたしが消える』佐野広実

【書評】『わたしが消える』佐野広実

年の瀬に、
第66回江戸川乱歩賞 受賞作
佐野広実『わたしが消える』を読了しました。

佐野広実さんは第65回江戸川乱歩賞(前年度)でも最終候補に選ばれた作家さんで、
審査員の方々から「安定した読み心地」を評価されています。

その評価のごとく、『わたしが消える』は
淡々と繰り広げられていくミステリー展開に惹きつけられる作品でした。
語彙がやさしく、
活字が苦手な方や小説初心者の方でも楽しめる作品

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【超考察】『正欲』朝井リョウ  ありがたき多様性とは?

【超考察】『正欲』朝井リョウ  ありがたき多様性とは?

多様性。ダイバーシティ。自分らしさ。

この類の言葉を新時代のキーワードとして
堂々と掲げる人々への懐疑心を、
朝井リョウは代弁してくれている。

まえがきを読んだ段階で、そう思いました。
だから、最後までページをめくり続けてみようと思いました。

朝井リョウ『正欲』

映画化も決定している(2023年公開予定、主演:稲垣吾郎、新垣結衣)
朝井リョウの作家生活10周年記念作品、
『正欲』。

これ

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映画『万引き家族』 子供には母親が必要なのか?

映画『万引き家族』 子供には母親が必要なのか?

映画『万引き家族』(2018)
第71回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した、是枝裕和監督作品。

公開当初から話題を呼び、
テレビで何度か放映されましたよね。
アマプラで配信中ですし、一度は鑑賞したことあるという方も多いのではないでしょうか。

一応、あらすじを引用しておきますね。

ここでいう、幼女は「じゅり」という名前を持ちながら、
正体を隠すために5人からは「ゆり」や「りん」と呼ばれ

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王安石は言う。私たちは、学ばなければならない

王安石は言う。私たちは、学ばなければならない

皆さん、漢文って得意ですか?
大学受験以来、ノータッチという方が多いですかね?

私は大学生となって受験勉強を教える側になっても未だに苦しめられ続けています。(笑)
ただ、たま~に、
Z世代である私の心にズシンと突くようなメッセージを
中国の偉人が漢文越しに送ってくれることがあり、
「これだから現代でも古文漢文が義務教育の一環なのかな」
なんて誰もがこぼしそうな言葉を口にしながら
日々、再度文字に

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