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音楽に会いに行く # 2
新日本フィルがお届けする、「コンサートに行ってみようかな」を、ちょっと後押しするnoteです。何を着ていこう、ついでにあのお店にも寄ってみようかな、等々、コンサートに行くには他にも楽しみがたくさん。前編に続いて、初めてコンサートに行く女性のショートストーリー、後編です。 (前編はこちら)
新日本フィルの動画を見て感動した私は、コンサートに行ってみたいと思ったものの、チケットを買うまでに何日か考えてしまった。
クラシックのコンサートなんて行ったこと無いし、家族や友達にも行っている人を知らない・・・
お客さんはみんなセレブみたいな感じなのだろうか・・・
何を着て行けばいいんだろう・・・
マナーとかあるのかな・・・
そもそもクラシックのコンサートに対する私のうっすらとしたイメージは、海外ドラマで見た、「敏腕弁護士が美女とデートで行くところ」というものしかない。男性はタキシードで、女性はイブニングドレスを着ていた。
ちょっと待てよ私、今のままだとTシャツにジーンズで高級フレンチを食べに行って、マナーも何もわからず周りから冷ややかな目で見られるようなもんだぞ・・・
そこからの私は、検索の鬼となった。
まず、調べて驚いたのだが、クラシックのコンサートというのは、チケットがとても安い。
いや、正確には「安いチケットもたくさんある」。
ポップス歌手のライブやミュージカルなどでも、席の種類によって安い席から高い席まであるが、クラシックはその価格の幅が大きい気がする。
国内の一流のオーケストラの演奏会でも、一番安い席だと大人1枚、1,500円ほどで買えてしまうのだ。少し舞台から遠かったりするが、初心者には手が出しやすい。
学生券や、39才以下のチケットなどもあり、とにかく若い人にはとてもお得だ。
そして、服装について調べていると、コンサートに対してなんだか不安だった気持ちがどんどんワクワクに変わっていった。
どうやら、「何を着ててもOK、だけどおしゃれを楽しむのも全然OK」ということらしい。
コンサートの時の服装ポイント(私調べ)
・カジュアルなジーンズ姿の学生さんもいれば、着物のご婦人もいる。
・オペラやバレエの公演は、ドレスアップ率が高め。オーケストラの公演の方がカジュアルな人が多い。
・クロークで、コートや大きな荷物などを預かってもらえる。
・シャカシャカ鳴るジャンパーや、鈴がついたキーホルダーなど、音が出るものはなるべく避けるか、クロークに預ける方がいい。
(※感染症予防の為、現在クロークを利用出来ないホールもあります)
普段着でも大丈夫そうだが、私は少しだけおしゃれをしていくことにした。何を着て行くか考えるだけでも気分が上がってくる。
コンサート当日、服を選ぶだけでかなり時間がかかってしまったが、あーでもないこーでもないと悩む時間は、私にとってすでにコンサートのうちなのだ。
いざ出陣。
錦糸町駅を降りると、巨大な金色の物体が宙に浮いていた。
この前衛的なモニュメントがクラシック音楽に関係していると知ったのはずいぶんあとのこと。
ホールまでの道の柱にも楽器のモチーフがついていて、その前で自撮りをする制服姿の高校生がいる。吹奏楽部の子たちかな。
ホールへ一歩足を踏み入れると、キラキラした空間が私を包み込む。
大理石の床に、モダンなシャンデリア。
格式高いのに、なんだか自由でさわやかな雰囲気だ。
さっきの制服姿の学生さん、おしゃれしてデートを楽しむカップル、仲の良さそうな女性グループ、クラシックを長年愛していそうな紳士のおじさま。
みんなそれぞれにこの空間を楽しんでいるようで、私の心も軽くなった。
席に着きプログラムを読んでいると、じんわりと照明が落ち新日本フィルのメンバーが入ってくる。
さんぽの動画で見た人たちが次々に現れる。
あの人も、あの人も、知ってる。
それだけで一人感極まっていたが、演奏が始まるととたんに引き込まれ、気づいたら終わっていた。
前の方の席を買って良かった。
オーケストラというのは、何人ものプロフェッショナルが集まってその場限りの音楽を奏でていることを知識として知ってはいた。
けど、こんなにも繊細で、こんなにも熱量があって、こんなにも生々しいとは思ってもいなかった。
初心者であればあるほど、多少響きのバランスは悪いかもしれないけど前の方で聴いた方が良いかもしれない。
また来るね。
出口付近の彫刻の青年に心の中であいさつをすると、終わっちゃったんだと思って少しだけしんみりした。
ぞろぞろと人の波に乗ってホールを出る。さっきまで一緒に感動を共有していた人々が散り散りに街へと帰って行く。
家に着き、錦糸町の有名な人形焼きを食べながらふわふわとした気分で余韻に浸った。
行って良かったな。
人と電話で話すのと実際会うのとが全然違うように、音楽も今やスマホでどこでも聴けるけど、目の前で生の演奏を聴くのとは全然違う。
また、音楽に会いに行こ。
(絵、文・腰野真那)
腰野真那 (こしのまな/打楽器奏者)
群馬県出身。武蔵野音楽大学卒業。桐朋オーケストラ・アカデミー研修課程修了。2016年新日本フィルハーモニー交響楽団に打楽器奏者として入団。
これまで打楽器を久保昌一、関谷直子、坂本雄希、故・塚田吉幸、堀川正彦、松倉利之、宮崎泰二郎の各氏に師事。室内楽を中谷孝哉、吉原すみれの各氏に師事。現在オーケストラでの演奏を中心に、吹奏楽や室内楽、ソロでの演奏や後進の指導、司会者やライターとしても活動している。
好きな食べ物はチーズとラーメンとフィナンシェ。趣味はNHKの連続テレビ小説鑑賞。あんこはこし餡派。
Twitter:@ManaKoshino
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