【精神科の勉強法2】精神科のオススメ教科書
精神科は病理との直接的関連は小さいが、
診断学が重要である点で実は類似している。
精神科の勉強法について浅学ながら述べる。
【本日の内容】
(1)精神科の概要と勉強法:誤解するなかれ!
(2)精神科のオススメ教科書👈今日はココ
(3)精神科の知識をその後どう活かすか:非精神科の医師へ
(2)精神科のオススメ教科書
医学生にとって精神科に学習時間を割く余裕がどれだけあるだろうか。そういうことを度外視して内容的に薦めるのは圧倒的に【現代臨床精神医学】である。
故・大熊輝雄先生が単著で長らく書き下ろしてきた名著で、現在はその意志を引き継いだ有志の精神科医の先生方(僕はその道に明るくないので詳しくは存じ上げないがおそらく偉い方々なのだろう)が改定をしている。
個人的にはこの1個前の第11版を持っている。記載は網羅的で、しかも、個々の項目の説明は必要十分に詳しく、分かりやすい。変にマニアックすぎないし、変に端折っているところもない(たぶん)。神経生理学や画像所見に関する記載も豊富である。必要に応じて、DSM と ICD の違いにも個々の疾患で言及されている。とにかく、読んで「腑に落ちる」教科書である。
次点に標準的な教科書としては標準シリーズの【標準精神医学】であるかと思う。
本格的に学ぶ?精神科医を目指すなら?【カプラン臨床精神医学テキスト】もいいかもしれない。世界的名著の訳書である。医学生が普通に学ぶには大判過ぎて、おそらく消化不良になるし、値段も非常に高い。
こちらは正直中身をあまり把握していないのだが、【DSM-5を使いこなすための臨床精神医学テキスト】は DSM を基軸に幅広く学ぶにはよさそうである。
と、まあ、精神科領域の教科書にはあまり詳しくないので、これくらいである。他にも多数の本があるが、全然中身を知らないので書評ができない。
※ CBT や国家試験の対策だけならレビューブックでもいいだろうが、試験対策勉強用にレビューブックを使用するのはともかく、精神科のきちんとした勉強には当然ならないだろう。
【亜分野別のオススメ本】
1.睡眠医学
日本では睡眠の診療を誰がしているだろうか。一般的な不眠症であれば、やはり精神科であろうか。日本には睡眠医学という分野がほとんどない。不眠症のほかには、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が主たる疾患であるが、これを精神科で診療しているところは少なく、呼吸器内科、循環器内科、一般・総合内科が多いだろうか。耳鼻咽喉科がみるところもあるだろう。
いずれにせよ、トータルで睡眠を専門にしている病院は非常に少ない。が、現在、睡眠医学は医療の中で非常に重要な位置を占めている。患者数も多い。睡眠医学は、睡眠医学として学習することを薦めたい。大判な教科書である必要はないと思う。下記の【極論で語る睡眠医学】がコンパクトで分かりやすく、幅広く記載されているので薦めたい。
また、やや古く、現在絶版となっているが、上記の【現代臨床精神医学】の原著者である故・大熊輝雄先生監修の【睡眠障害質問箱100】も大変オススメである。
2.認知症
一般的な認知症の知識は通常の教科書で問題ないかと思う。しかし、知識として知っていることと、実際に診断できることは大きく異なる。特に認知症は common disease であるので、「簡単」と思ってはいないだろうか?実際には、認知症の病型診断は極めて高度で、神経診察を含む身体診察、画像所見、認知機能のどういう点に問題が生じているかなど、総合的な判断が必要である。個人的な意見としては、維持的な治療はともかく、少なくとも最初の診断は熟練した精神科医が行うべきと考えている。熟練した精神科医について、実際の症例を多数経験することが最も近道と思うが、経験できる症例数が限られた中ではこのようなケーススタディの本は非常に役に立つと思う。
3.神経診察
精神科診療で神経診察は必須である。もちろん DSM の使いこなすことも重要であるが、非精神科医に関しては、まず一般神経内科的診察に精通することが重要であると思う。これは臨床医であれば、どの診療科に進んでも役立つと思う。
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