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1銭も払わずロンドン観光ってできるの? 円安イギリス旅#5

※この記事を読むときは、出てくる金額は全て2倍で円換算して、円安大時代を嘆きながら読んでください。

前回の記事


相変わらず悲しいくらいに円安なイギリス旅、3日目です!今日はロンドンでベタ中のベタな観光地めぐりをします。行程は次のとおりです。

Google my mapで作成

スタート地点は地図上のA・宿泊先で、アルファベット順に回ります。
ご覧のとおり、上の行程は心の赴くままに歩き回った結果で、かつ全部徒歩なので、おすすめ観光ルートでもなんでもありません。あしからず。

B. St.Paul’s Cathedral

アン女王

St.Paul’s Cathedral(セントポール大聖堂)に来ました。高さ111mと、1710年から1963年まで、約250年もの間ロンドンで最も高かった建築物です。入場は£25(約5,000円)とこちらもお高いので、外観だけ眺めます。
このセントポール大聖堂はロンドン建築界における不動のセンターで、セントポールを邪魔するポジションにビルを建てることは禁じられています。アイドルグループの1期生がずっとセンター張っているようなもんです。
ただ、St.Paul’s Cathedralがある辺りはビジネス街で、「セントポールの景観を損ねなければ」高層ビルも建ててOKなので、少し離れるとごらんのとおり色んな建築様式が入り乱れます。

新旧色んな建築様式が入り乱れるロンドン

写真左手にある、三角屋根の建物はイギリスの中央銀行です。さすがは金融都市ロンドン、この辺りは金融系の会社がずらりと並んでおり、スーツでビシッとキメた金融ピーポーがコーヒー片手に闊歩していました。
さぞかし稼いでいるんだろうなと思うと、電車やバスに乗るお金をケチり、無料で行けるところばかり観光している自分が哀れに見えたので金融街を離れました。

いったんテムズ川をこえます。

C. Borough Market

ボローマーケットと読むのかなと思いきや、バラマーケットと発音するのが正しいそうです

テイクアウトできる軽食や果物、肉、魚などのお店が所狭しと並ぶ市場です。何か軽食でも買おうかと思いましたが、ホステルの朝食がまだお腹に残っていたので今回は通り抜けるだけにしました。もったいない!
フィッシュ&チップスをはじめイギリスの美味しいご飯がたくさんあるので、「イギリスは飯マズ国家」とイギリスに行ったこともないのに見下すインターネットのみんなはぜひ立ち寄ってみてください!円安で軒並み値段がバカ高いですが!

魚屋もありました
ロンドン市民はカニをどう調理するんでしょう

バラマーケットを通り過ぎたあと、再度テムズ川をこえました。計画性のなさが伺えるルートです。

さっきのビジネス街
テムズ川をこえると不動のセンター様と再度のご対面

シティのドラゴン

ロンドンを歩くとたまにドラゴンの像に出くわします。これはロンドンの中心部、ロンドン市長直轄の「シティ」の呼ばれる区域の境界線上に置かれている像だそうです。かっこいいな!

Twinings

日本でも有名な紅茶ブランド・トワイニングのミュージアムです。
入り口には中国人2人の彫刻があります。中国から紅茶を初めて英国に持ち込んだのがトワイニングの原点だそうですが、紅茶、イギリス、中国の三拍子が揃うと歴史の負の側面の方が際立つ気がします。

D. British Museum(大英博物館)

イギリスが世界を駆け巡って手に入れた(オブラートに包んだ表現)歴史上の遺物が数多く展示されている博物館、大英博物館に来ました。有名な展示物には古代エジプトのロゼッタストーンやイースター島のモアイ像などがあります。
しっかり見学しようとすると半日かかりますが、無料なのをいいことに過去に何度も来たことがあるので、ちょこっとだけ見ます。

建物の内装だけでも心躍ります
イングランドの守護聖人・聖ジョージです。ドラゴン退治をした伝説があるのでドラゴンを足蹴にしています。
16世紀ドイツのブックカバー
本が負ける
江戸時代中期の絵師・松本奉時(ほうじ)のカエルの絵。チャールズ3世即位記念の限定ポストカードになっていました。
チャールズ3世をカエル顔と罵りたいのかとヒヤヒヤしましたが、ご当地キティみたいな存在だそうで、複数バージョンあるみたいです。


E. National Gallery/National Portrait Museum

National Gallery

大英博物館から南へ1キロほど、National Galleryに来ました。ここも入場無料で、過去に見尽くしたので、爆速で見学します。私は芸術を嗜む素養がないので、ぱっと見面白いと思った絵画だけ取り上げます。

インタビューを受けるベンチャー企業の社長
「大阪人は銃を撃つフリをするとリアクションしてくれる」という他県民の期待に応える健気な大阪人
ゴー⭐︎ジャス
ゴッホのひまわり
2022年に環境活動家にトマトスープを投げつけられたのが記憶に新しいです。
正当な主張のもとであれば他人の所有物を毀損しても構わないというテロリスト的な考え方を社会は許容するべきではないと思います!

National Portrait Gallery

National Galleryの隣接している英国史オールスターズの肖像画ミュージアムです。世界史の教科書かWikipediaで絶対に見たことがある肖像画が勢揃いが無料で見られます。ここまでくると逆に金払わせろって言いたくなります。

シェイクスピアの戯曲で悪党のイメージがついてしまったリチャード3世(1452〜1485)
戦死し、遺骨が長年行方不明でしたが2012年に駐車場から発掘されました。
エリザベス1世
肌の白さと腰の細さが昨今のプリクラを彷彿とさせます
ウィリアム・シェイクスピア
この人、左耳にピアスしているんですね
ビクトリア女王
19世紀、64年もの間大英帝国に君臨した女王です。エリザベス2世に超されるまで、在位期間最長の君主でした。
エド・シーラン(歌手)


自分の顔を合成し、名画に色んな表情をさせてみよう!というコーナーがありました。

エリザベス1世

過去に日本でも歴史上の人物の肖像画や写真に「マイヤヒ」を歌わせる動画が流行りましたが、それの亜種です。

不敬罪

どんな顔をすればいいか分からないので鼻の下を伸ばしました。不敬罪で連行されやしないかとヒヤヒヤしましたが、イギリスはとても寛容でした。

この絵は誰か忘れました。マイヤヒを歌う真似をしました。

F. Palace of Westminster

チクチクしていたらゴシック建築と習った気がします

イギリスの国会議事堂です。
イギリスに留学時、1.5ポンドでロンドンに来れたものですから、ロンドンまで出てきて国会議事堂の見学ツアーに参加したことがあります。見学には£22.50かかるので、今回は諦めますが、この建物内にある「へこみ」について面白い話があるので、その話だけちょっとしようと思います。
イギリスの国会は下院(庶民院)と上院(貴族院)の二院制です。
面白いことに、イギリスの君主はかれこれ400年近く下院議場に近寄っておらず、いわば出禁状態です。1642年にチャールズ1世が400人もの兵士を引き連れ下院の議場に押し入り議員を逮捕したという事件があり、それ以来、下院の独立性を強調するために君主は下院議場に近寄らないのです。

毎年7月にここで行われる国会の開会式では、国王・チャールズ3世の代理人である黒杖官(Black Rod)が下院議員を召集しに下院議場に向かうのですが、下院議員は黒杖官の目の前で議場の扉を閉じ、議会の独立性をアピールします。閉め出された黒杖官が杖の先で扉をノックすると下院は黒杖官を議場へと通し、黒杖官と一緒に上院議場へとぞろぞろと移動します。なんとも不思議な光景です。

【大阪府警並みの強さで扉をたたく黒杖官が見られる映像】

議場の扉は度重なる黒杖官ノックのせいでへこんでいます。何も知らずに見るとただのへこみですが、「議会の独立性は君主であっても侵せない」という議会政治の根幹の象徴だと思うと、途端に歴史の重みを感じますね。
もしロンドン旅行時にウェストミンスター宮殿を見学される場合は、このへこみをご覧ください。私は後からへこみの話を知ってへこみました(おもんな)。

国会議事堂のそばにあるギフトショップだけ立ち寄ったのですが、火薬のような容器のマスタードが売られていました。

描かれているのはガイ・フォークスです。1605年に国会議事堂の爆破テロ(未遂)で逮捕され、処刑された人だそうです。日本の国会議事堂が由井正雪印のサクラエビを売るようなもんです。
さっきのへこみといい、歴史と現代社会が地続きだと実感できる場面が多いイギリスです。

Elizabeth Tower (Big Ben)

国会議事堂に付属する時計塔・ビッグベンです。イギリスの中で多分一番「イギリスに来た」という実感が得られる建築物だと思います。今の正式名称はElizabeth Towerだそうですが、全く浸透していませんよね。最近改名した京都タワーも同じ末路を辿るんだろうなと思いました。

2024年11月にアメリカで地獄の大統領選挙がありましたが、ちまちまと開票進捗をアップデートする報道スタイルにあきれたイギリス人が「俺らはビッグベンの鐘が鳴ったら出口調査の結果出るのに」と言っていました。こんな感じらしいです。
【イギリス選挙の確定演出】

こういう自分たちの良さを120%押し出した演出をやらせたらイギリスの右に出る国はいないと思います。

クロムウェルの像

護国卿クロムウェルさん

格子越しに国会議事堂の外観だけ楽しみます。これはオリバー・クロムウェルの像です。
先ほどのチャールズ1世はその後処刑され、イギリスでは王政、貴族院が廃止されて共和国になりました。その際にトップを務めていたのがこのオリヴァー・クロムウェルです。

さっきのNational Portrait Galleryにあった肖像画


彼の肩書きは護国卿でしたが、「もう国王名乗れや」と周りに言われるほど、実質は独裁体制でした。
結局イギリスは彼の死後にあっさり王政復古を果たし、クロムウェルの遺体は墓から引き摺り出され、絞首刑、斬首されました。
それでも時が経てば国会議事堂の前に立派な像を立ててもらえるのですから、人の評価というものは分かりません。

G. St.James's Park

国会議事堂の少し西にあるSt.James’s Parkという公園に来ました。朝から歩き続け、博物館、美術館でも立ちっぱなしだったので、公園で小休憩です。

イギリスのリス(おもんな)
全力でジャンプするイギリスのリス
ホモサピエンスを恐れないイギリスのリス

休憩するつもりがずっとリスの写真を撮っていました。

気がつけば16:30になっていました。昼飯を抜いたせいでお腹も空いたので、ぼちぼちホステル近辺に戻るべく北上していきます。

National Portrait Galleryのオシャレ宣伝がかった

H. カツカレー

カツカレーだ

最近イギリスではちょっとしたカツカレーブームが起きているそうで、なんちゃって日本食屋さんではよくカツカレーが看板メニューで打ち出されています。イギリスから日本に伝わったカレーが日本で魔改造をされたのちにイギリスに凱旋しています。2つ前の記事で、ロンドンで一番見た日本語はアサヒの「辛口」と書きましたが、二番目はカツカレーだと思います。
すぐに「飯マズ国家」とこき下ろすのではなく、こうやって他の国から伝わったご飯が土着していく過程は楽しんでナンボだと思います!

I. British Library

その後しばらく北へダラダラと歩いていたのですが、突如豪雨に見舞われ、近くにあったBritish Libraryに避難しました。チラシから小難しい文献まで、古今東西のありとあらゆる印刷物を1億7千万点も所蔵している、世界一蔵書数が多い図書館です。図書館内にある展示室で雨が止むのを待ちます。この図書館も歴史的価値がメチャメチャ高い品々を無料で見せてくれるのです。

マグナカルタの写し


1215年制定の「マグナカルタ」です。雨宿りのついでに無料で見られる品じゃないです。
イギリスには、日本国憲法、アメリカ合衆国憲法のような単一の成典としての憲法がなく、複数の成文法で補完しています。その中でも重要なのがこのマグナカルタです。戦争資金のために徴税を強行した王に反発した貴族たちが、俺らの承認なく課税すな、気に食わない奴を勝手に逮捕すな、その他もろもろを王に強制的に約束させた文書です。さっきのチャールズ1世みたいに平気で破る王がいたことも事実ですが、800年経った今でも有効な法典です。ラテン語なので一言も解読できませんでした。

ファーストフォリオ

シェイクスピアの死後出版されたファーストフォリオもありました。現存している初版本は235冊、落札額は最高10.5億円とのことですが、こんなアッサリ無料で見せてくれるもんなんですね。物価以外はとにかく観光客に優しいイギリスです。

雨が止む気配がなかったので、意を決して雨の中を10分ガンダし、ホステルに帰りました。その後何を食べたのか全く記憶にないのですが、クレジットカードの明細にも何も記録がないので、何も食べずに寝たのかもしれません。この日の歩行距離は31.7キロでとかく疲れたので、あながちありうるかもです。

【歩行距離】

膝栗毛したので交通代はなし、各博物館は無料、クレカの明細上はその他出費もないので、この日は1銭も出さずにロンドンを観光できました。健脚で少食な方は健康を害さない範囲で真似してみてください。

さて、次の回ではまたロンドンを離れてカンタベリーという街に行きます。今日お金を使わなかった分、カンタベリーでは使う予定です。
また次回も読んでください!

寧々

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