【読書記録・日記】めんどくさがり屋、四十九日を終える。
こんにちは。長尾早苗です。
祖母の四十九日があけました。
いろいろなことが重なってしまいましたが、わたしにはポエケットがあった。本当にありがたい会でした。
詩人たちと励まし合うことも、また会うことも、とても心強かった。
そんな今週の読書記録です!今週は書籍多め。
*今週の読書
【書籍】ほしおさなえ『銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に』集英社文庫
苅部文彦という男、ただものではない……。
当たり前だけど人はみな人間で、それぞれの人生を激動の中で生きている。その岐路として軽井沢に旅行に行くこともあります。自分が親の世話になりたくなかったり、自分が介護が必要になったり、この先が見えない状態になってしまったり。そんな不安定な人生の中で、自分と向き合い、千色のインクの中から自分に合うインクを選んで「どこにも発送しない手紙」を書くこと。自分と向き合って文章を書く時、自分の人生や傷にも納得できると思うのです。
【書籍】宮尾節子『宮尾粒なら』
いろいろ、あるんだけどね。早苗ちゃん、それでも腹は減るぞ。
宮尾さんに会ったらどんな時でも元気になる。宮尾さんの宮尾粒があれば、どんなことがあっても元気になる。詩人の道にはいろいろ、ある。あるんだけどね。
そうですね、カツ丼食べよう!と言ったら微笑んでくれた宮尾さん。とてもうれしい再会でした。
【書籍】『Down Beat No.16』
誠実に詩と向き合う時、そこにいるのは詩人と詩と人である。
コロナ禍の混乱が開けつつある中、詩人たちはどう社会との関わり方を見出してきたのかを詩で問う。「違和感」や「孤独」は五臓六腑の周りにきちんといつも置かれている。それを感じるか感じないかは、人間そのものに任せられていることだとも思う。
【書籍】『Down Beat No.23』
詩人たちが集まるって、いいことだなあと思います。定期的に詩に呼ばれること、テーマを設けずに自分たちで詩誌を作ること。それぞれがそれぞれの主張や個性を生かして詩を書くということ。9月はなんべんやっても夏です。確かに同時代を生きているのだなあと感慨にふけりました。
【書籍】江古田詩人会『えこし通信 28号』
江古田があるって、いいなあ。
毎年発行を楽しみにしているえこし通信。フリー冊子の熱量がハンパない。朔太郎とマジック、言葉と文学、詩はどうあり続けるべきか。
座談会がアツくて楽しかったです。こういう討論会のような座談会ができる日藝、いいな。
【書籍】『木立ち 春第148号』
詩を書く、詩誌を編み続けることは、詩人が世の中の違和感に真っ向から向き合い、それに淡々と対峙することだと思います。生きながら粛々と歩き、進む。その中で詩が冷静に生まれてくるのだとも思います。
【書籍】東畑開人『心はどこへ消えた?』文藝春秋
人の話をきく職業の中で、その人の話を上手に語れる人がいる。わたしの中で、東畑先生はそんな人でした。わたしたちはどうしても白黒つけたい考え方に陥ってしまっているけど、その中で灰色のさみしさも悲しさもある。それこそが大人として生きることなのだと思います。スマホが普及して、コロナの時代になって、人の話をきくということはどういうことなのかについて理解が深まりました。
【書籍】カニエ・ナハ『思想』
手作りの本には魂が宿る。カニエさんの詩集には魂が宿っていると思う。戸塚思想に連載していた詩を集めた詩集です。この一冊一冊が手製なのも驚くポイント。金曜日から徹夜して仕上げました!と日曜日に笑うカニエさん。また会いたい。
【書籍】東畑開人『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』新潮社
幸福とは、白黒はっきりしない複雑な現実を複雑に生きること。心は外付けハードディスクのようなもので、一人で管理しようとすると無理がきてしまう。わたしの読書感想文も、いくつもの媒体で管理されています。人間関係は時に不純で、不潔です。それにあらがいたいと思うことも、複雑なものを複雑だと認めたくないことも、白黒つけないと気が済まない子どもの心から抜けられないと気がついた時、人は大人の思考をしています。
【テレビシリーズ】初恋の悪魔 第3話
切ないなオクラホマミキサー……
普通と呼ばれることも平穏でいることも、誰かにとっての「特別」でなかったとしても、わたしたちはすごく恵まれているんだと思います。ただ淡々と日々を送ることがどれだけ難しいことなのか……
【テレビシリーズ】アンナチュラル 第3話
イヤな女と同じくらいイヤな男だっている。ヒステリーを起こしやすいのは男女特に変わらないし、法廷で冷静になれないのは人間の性だと思う。
それでも、イヤな人にされたことはいまだに覚えているし、これからも傷は残り続けていくんだなと思います。
法医学は実験と調査によって冷静に、淡々と進められていくのではないでしょうか。感情的になっては絶対にいけない仕事だと思います。
【テレビシリーズ】光る君へ 第36週 待ち望まれた日
傷も大事なものでございます。傷ついたからこそ、藤式部は物語を書くことができたし、ヒットさせることができた。
道長の言動に関しては疑問も多いし、どうして今になってこんなことを……と思うことがあります。祥子が母になること、人生においていつでも、いかなる時でも勉強は始められること。
【テレビシリーズ】虎に翼 最終週 虎に翼
女性たちは女性たち一人一人に、進みたい地獄がある。
問いの中を生きること、問い続けること。なかなかにとらちゃんの生き方はエネルギーが必要だったけど、それでも「怒る」ことは必要だったように思う。自分がいなくなっても、形なきものは残り続ける。本当にありがとう。とらちゃん。最終回、声を上げて泣いてしまいました。
【Podcast】文学ラジオ空飛び猫たち 第169回文学によって人生を見直す父と娘「リーディング・リスト」レスリー・シモタカハラ著
読書リストを交換することによって、自分の人生も親子の人生も見つめなおし、再生することができるようになるのだと思いました。
親子の考え方は世代間で連鎖してしまいやすいけれど、お互いがお互いを見つめなおし、問い直す局面が人生においてとても大事なことのように思います。
そして、そういうことがある人生の方がとても面白くうつるし、送っている人の人生は楽しい。
【書籍】宮田直哉『ある風景』書肆子午線
穏やかで平和な日常を淡々と描写しています。その中で祈りや愛という抽象的なものまで風景として書ききったところが素晴らしいと思いました。人は粛々と、冷静に人生を歩んでいかなければいけない。それは真実でもあり、この詩集で問いたかったことなのかもしれないなと思います。
【書籍】岡田ユアン『囀る、光の粒』思潮社
わたしたちは微粒子レベルのミクロな世界で生きています。その微粒子は、それぞれオンリーワンの輝き方しかできない。でも、光ることができる。わたし「たち」の発光と、これからことばと真正面から生きることについて。
【書籍】春木節子『行方しらず』砂子屋書房
過去に強い憧れがあるのかな、と思います。過去に起こった出来事が今の「わたし」を作り、未来の「わたし」を作ること。きっといつか、納得のいく人生を歩むことが誰しもできるように思います。
【書籍】東畑開人『聞く技術、聞いてもらう技術』ちくま新書
タフな毎日を生きていくためには、話すことより聞く技術、聞いてもらう技術が必要なのだと思います。誰かを心配しているよという心掛け、ちゃんと見ていますよというサイン。そういったすべての日々起こる現場の出来事で、この社会は安全にまわっているのかもしれません。
【Podcast】好書好日〜本好きの昼休み〜【ゲスト】大人が読んでも楽しめる児童文学・YAの世界 SF・異世界の原点ジュール・ヴェルヌと切ないファンタジー3部作(本好きの昼休み#95)
地底旅行、いつだったか忘れるほど前にはまりました。
大人が読んでも色褪せない古典としてのジュール・ヴェルヌの世界、そしてミヒャエル・エンデ。児童文学をなめちゃいけません。今週末はヴェルヌを読んでみようかな。
【書籍】東畑開人『居るのはつらいよ』新潮社
人が人をケアしている時、ケアとセラピーはぐるぐる回る。ひとが「ただそこにいる、だけ」の時、それはとてもつらいことだけど「退屈」を生み出すという仕事をしている。それは想像以上にタフな毎日で、「退屈と平和」を生み出すため・守るための仕事をするということなのだと思う。
ケアとセラピーはぐるぐるとまわり、日常はつねに繰り返す。その営みは想像以上にタフで、しんどい。けれど、誰かがやらなくてはいけない仕事だ。
誰かの依存を引き受けることと傷つけないことがケアで、傷と向き合うのがセラピー。タフな毎日を生き抜くために、必要なことは多くあり、ケアをする人も同時にケアされなければならないと思う。
*近況のようなもの
夏が夏に飽きてしまったというか……
みなさんは体調いかがでしょうか。
いきなりの秋で風邪をひいている方も多いと思います。
わたしは大学の舞台朗読サークルにいたため、大学時代は文化祭のある秋と真冬の神奈川県立文学館での公演のために「いかに風邪をひかないか」が最重要課題でした。
その頃朗読講師の先生から風邪の予防法をいくつか教わったのですが、からだをあたためることって本当に大事。
先日、詩人の友人とランチをしてきました。
彼女とはもう長い付き合いになるけれど、同級生たちがどんどん疎遠になってきている中で、詩を作り話し、お互いの人生設計について話すことができた貴重な時間でした。
当日はクラフトコーラとコーヒーの飲みすぎで夜に寝付けずとほほでしたが、パスタがとってもおいしくてよかったです。
寒がりと暑がりが交互に出てくるようになりました。どうぞみなさんお元気で!