何が悪人をつくるのか
もう11月に入っていますが、
「そういえばハロウィン特に何もしなかったなぁ、せめて映画でも観ておこうか」と
初めて「ジョーカー」を観ました。
感想は、😟🫣🤯🫨
言葉にするのが難しい、というか、
初見ではまだ言葉にしてはいけないような感じ。
一晩寝かせてみたら「こういうことかな」と
自分の中で消化出来たところがあったので、共有させてください✨
『フランケンシュタイン』
なんで急に?と思われるでしょうが、
『フランケンシュタイン』に似たテーマがこの作品にあると思いました。
『フランケンシュタイン』について簡単に説明しますと、
(ディズニー映画の『フランケン・ウィニー』を観たことがある方はイメージしやすいかもしれません。)
科学に溺れたヴィクター・フランケンシュタインは、自らの手で人間を造ってみようと、墓場から人間の死体を掘り起こして、繋ぎ合わせ、電流を流して実際に人間を造ってしまいます。
しかし、目を覚ましたのは、巨大な怪物で、
恐ろしさからヴィクターは怪物を置いて逃げてしまいます。
置き去りにされた怪物は、人間と同じように美しい心を持っていて、勤勉で、
人間社会や、歴史、地理はもちろん、
人間の美しさ、自然の美しさ、家族の絆などを
少しずつ知っていくのですが、それと同時に、
人間から酷い扱いを受け、傷つけられて、
自分は醜い怪物であること、
自分を創り出した創造主は自分を捨てて逃げたこと、
自分には家族がいないことを知っていきます。
創造主である神によって命を与えられた美しい
人間とは違って、
自分は醜く、実の創造主からも怪物と呼ばれ、
愛されず、酷い扱いを受ける。
ヴィクターに怒りを感じた怪物は、
ヴィクターの大切な人たちを一人ずつ順番に殺していきます。
ヴィクターはこんな怪物を生み出してしまったことを後悔し、退治するために怪物を追います。
怪物はヴィクターが自分を殺しにやってくることを知りながら、無事について来れるように、
道標をつけたり、食べ物を置いていくのです😢
とうとう北極まで追いかけていきますが、
ヴィクターは病に倒れてしまいます。
すると、ヴィクターの死を悼むように怪物が現れ、自分の苦しみと後悔を語ります。
怪物はヴィクターの死に悲しみ、自らも孤独の中で死を迎えると宣言して去っていきます。
怪物は見た目の恐ろしさゆえに、
誰にも受け入れられず、
創造主からも怪物と呼ばれ、
酷い虐待を受けていくにつれ、
本当の怪物のようになってしまいます。
ですが、本当は優しくて本当に純粋な心を持っているんです。
ヴィクターは自分に命を与えてくれた存在、
神であり、父親のようなものでもあります。
そんなヴィクターからも愛されないし、
それどこか彼は怪物を殺そうと企んでいる。
怒りと絶望のあまり、ヴィクターの大切な人たちを殺すことで、彼に自分と同じ孤独と苦しみを味わわせようとしたのです。
復讐でもあると同時に、彼に理解してもらいたかったのもあるのかも知れません。
『ジョーカー』
このテーマは映画『ジョーカー』にも通ずるところがあります。
主人公アーサーフレックはコメディアンになるという夢を持ち続けながら毎日必死に働いていて、そしてそんな日常の中でも誰かを笑顔にすることを考えています。
子どもにも優しく接し、母親思いで、
とても純粋で心優しい人ですが、
強いストレスを受けると笑いがとまらなくなる。
そんな障害を抱えているせいで、
人々から怪しまれ、避けられ、誰にも必要とされません。
自分の父親だと思っていたトーマス・ウェインからは、お前は息子ではないと見捨てられ、
自分は養子であることが分かった。
母親だと思っていたペニー・フレックは、
自分を虐待から守ってくれなかった。
尊敬していたマレー・フランクリンには侮辱される。
色々な憎しみが重なって、
彼は人殺しのジョーカーに変貌してしまいますが
彼が元々そうだったのではなくて、
社会が彼を殺人鬼ジョーカーにしてしまったんです。
何が怪物を作るのか、
何が殺人鬼を作るのか。
というのがこの作品の一つのテーマかなと思います。
ジョーカーというイメージは別に重要なものではなくて、
別にダースベイダーでも西の魔女でもヴォルデモートでもいいと思うのです。(そんなことないって言われそうですが)
重要なのはそういう悪人を生み出してしまう要因はなんなのかというところ。
この作品は「ヒーローVS悪役」という対立ではなくて、悪役に焦点を当てています。
悪人は本当に悪人なのか、どうして悪人にならなければいけなかったのか。
ヒーローは本当にヒーローなのか。
おとぎ話の中では対立が分かりやすいですが、
現実はそうではない。
何が正義なのか、どちらが正しいのか。
悪者にだってビジョンがあって、正義がある。
なりたくて悪者になっているわけじゃない。
アーサーがピエロ姿で殺人を犯してから、
街中にはピエロ姿の人々が大量に現れます。
ラストの、アーサーが車のボンネットの上で踊るシーン。
間違いなくアーサーは彼らのヒーローでした。
背景に社会的な混乱があるところが、
この作品のメッセージ性をより強調しているなぁと思います。
いつでも、どこでも、
悪人は誕生する恐れがある。
ですが、理解し、受け入れることが出来れば、
それだけで救われる人がいます。
まだまだ深ぼる必要がありそうですが、
まだ観ていない方は是非✨