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私の詩集1

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2024年11月の記事一覧

〔詩〕赤い海

〔詩〕赤い海

切なさとは
心を切りつける何か
時には剃刀
時にはナイフで
鎌鼬のように襲いかかる

せっかく大人の顔で
懐かしそうに夢を語っていたのに
諦めた不甲斐なさと
届かなかった悔しさは
おくびにも出さないで

すみません
滲んだ血をそっと拭うような
優しい言葉はありますか
逃げ込んだ先は
更に切ない言葉の海で
私は溺れるしかなくて

力尽きて漂う夜
数え切れない傷口から流れ出すのは
閉じ込められ
腐敗し

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〔詩〕隠し味

〔詩〕隠し味

痛みは生きている証だとしても
そんな証は欲しくない

悲しみが人生を彩ると言われても
余計な模様など邪魔なだけ

欲しい物だけを選んで
生きていけたなら
もっと幸せなのに

もっと幸せなはず

本当に?

降りかかる痛みも悲しみも
決して選んだわけじゃない
それでも
異物のままにするのはやめて
覚悟を決めて受け止めれば

私の確かな一部となって
隠し味のように
少し私を面白くする

かも知れない

〔詩〕帰り花

〔詩〕帰り花

間違えた訳じゃない
ただ
春のように温かいあなたの言葉に
応えてみたかっただけ

私が微笑むことで
ちゃんと乗り越えようとしていると
あなたが安心してくれるなら

涙は尽きなくても
胸の奥の軋みは消えなくても
私は微笑みたい
微笑む私を見せていたい

秋の気配を知りながら
小春日和にそっと咲いた
一輪の菫のように

こちらのジェルーシャさんの記事を読んで、この詩ができました。

ジェルーシャさん、

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〔詩〕シュレディンガーの猫

〔詩〕シュレディンガーの猫

明かりが消えていく街を
怪獣のような闇が覆う
夢の跡すら飲み込むように

確かめなければ良かった
友達以上恋人未満なんて
ありきたりな思い込みは
ただの幻想でしかなかった

まるでシュレディンガーの猫
大事に抱えてたのは空っぽの箱
中には何もなかったのに
最初から何もなかったのに

そこに確かにあると思ってた
希望も
未来も
煙のように消えて

残ったのは
ひしゃげた心と
冷ややかに広がる闇ばかり