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誰だってスランプになるさ―森見登美彦『シャーロックホームズの凱旋』
わたし、森見登美彦さんの作品が大好きです。
どれくらい好きかというと、京都旅行では聖地巡りしていたし、『夜は短し歩けよ乙女』と『四畳半神話大系』が好きすぎて京都大好きになってついに移住しちゃったし、とりわけ下鴨神社がお気に入りだし、夏の古本市は欠かせないし、結婚式も下鴨神社で挙げたし、家の照明の紐には「もちぐま」がぶら下がっている。
ということで待望の新刊である。
待望だったのだが、正直、とても不安だった。
なにせ、シャーロックホームズを読んだことが無い。
ホームズが名探偵でワトソンが助手というのしか知らない。
ミステリーが、苦手なのだ。
だから森見さんがいよいよミステリー界に参入してしまったのかと思って、そうしたら私は果たして楽しめるのかしらん、と。
いうのは杞憂でした。
圧巻の森見ワールド。
まず名探偵をスランプにしてしまうという豪快な発想。登場人物の愛すべきポンコツさ、歪み融け合う不思議な複数世界、安定の舞台・京都――。
あまりにも好きすぎてうまく言葉にできない。
言語化できるようになりたいのだけれど、だって本当に好きなものって、頭でどうこう考える前にこう、心の底からぐわーっとニヤニヤがせりあがってきて、頭がぽーっとするでしょう?
あぁ。もう私もヴィクトリア朝京都に住みたい。
京都でありながら京都でない。あの絶妙なマリアージュ。
シャーロックホームズ知らなくても十分楽しめたのだけれど、やっぱり知っていた方がもっと楽しめるんだろうなぁとは思うのです。
本家とキャラが違うのかどうかもわからないし。〇〇事件って言われてもピンとこないし。
読んでみようかな。まずは一冊。
そして今この世界も、実は森見さんが執筆した小説世界で、私は小説の中のいちモブに過ぎないのでは、なんて思ったりしている。それはそれで大変光栄で幸せかもしれない。