おふたりさんのかくれんぼ

ある秋の晴れた日。
おふたりさんからまたいつものお誘いがありました。

「ねじちゃーん、一緒に遊ぼう〜」
「いいよ〜。今日は何して遊ぼっか？」
「えーっとえーっと」
「じゃあ三人でかくれんぼでもする？」
「いいよ〜！ねじちゃんの頼みならしょうがないねぇ」
（…ん、んん？）

かくれんぼには、私たち独自の「決まりごと」があります。

まず一つ目は「鬼は必ず私がすること」です。

おふたりさんはかくれんぼが大好きなので探すのはいつも私の役目。
そして二つ目は…っと、ここで公園に着いてしまいましたので
これについてはまた後ほど。

「じゃあ始めよっか。10 数えるからその間に隠れてね〜」
「はーい！」

おふたりさんの気合いの入った返事が聞こえます。
私は目を閉じて数え始めました。

「いーち、にーぃ、さーん……じゅうっ！」
「もういいかーい？」
「ふふふ。もうい〜よ〜！」

声はすぐ側から聞こえたようでした。
おや？今日は案外近くにいる？いやいや油断はできません。
だってあのふたりのサイズといったら
それはそれはミニミニですからね。

「ここかなー？」
「この陰かなー？」
「こ、こっちかなー？」

はぁ…はぁ…ま、まずい。全く見つかりません。
おふたりさんとのかくれんぼは難易度が高すぎて
実は私いつもお手上げ状態なのです。

それでもおふたりさんが秋にかくれんぼをする時は
大体決まって「落ち葉の下」に隠れています。
おふたりさんはどうやら落ち葉が好きみたい。

なのでそれを見越して最初から少し膨らんだ所を探すのですが
これが意外とね、難しいんです。
はらってもはらっても全然見つからないんですよ。
その上困ったことにおふたりさんはよく、その隠れた落ち葉の中で
そのまま眠ってしまうんです！
落ち葉のお布団が心地よくて隠れている間についウトウト。
そしてそのウトウトがいつの間にかスヤスヤになり…
とまぁこんな具合ですね、きっと。
でもそうなると私がどんなに叫んでもふたりには気づいてもらえません。

そこで対策として考えたのが決まりごとの二つ目である
「もし落ち葉の中に隠れた時は必ず周りに起こしてもらうこと」でした。

以前おふたりさんが落ち葉の中でそのまま眠ってしまい
何時間も見つからなかった、という大事件があったんです。
その時とても困ったので、その後すぐに三人で相談して決めました。
これなら誰かがちゃんと起こしてくれるので安心です。

今の季節であればやはり落ち葉のみなさんにお願いすることが多いですね。
隠れる時に「もし寝ちゃってたら起こしてください」とお願いしておくと
みんな必ずちゃんと起こしてくれます。
もう本当にね、みなさん優しい方々なんです！いつもありがとうございます！

ちなみに。
もし見つからないままご飯の時間になってしまった時は
残念ながらかくれんぼは強制終了となります〜。
どんなに楽しくてもご飯の時間になったら家に帰ることにしている私たち。
その場合ふたりには、あることをやってもらうことにしています。

それは「落ち葉を振って居場所をアピールする」です。

おーい、こっちだよ～フリフリ♬

これが最後となる三つ目の決まりごとです。

これは探している私に向かって落ち葉でフリフリと合図をする
というものです。
これを目印に探すことですぐにふたりの居場所がわかり
お陰で随分と楽に見つけられるようになりました。

決まりごとを作って以降はみなさんのご協力もあって
ふたりが見つからないという事もなくなって
安心してかくれんぼをすることができています。
本当にありがたいことですね。

…と、みなさんに説明している間にあらもうこんな時間。
ご飯の時間になってしまったようです。
ではおふたりさんにも声をかけましょうかね。

「おふたりさーん！ご飯の時間だからそろそろ帰るよ〜！」

さて、私はまたまたふたりを見つけられなかったので
今日もアレを探すとしますかね。
え？そうですそうです。アレです、アレ。

ではみなさんもご一緒に、フリフリと踊っている落ち葉さんの
可愛らしい姿を探してみてくださいね。

「おーい！ねじちゃーん、こっちだよ〜！」

フリフリ♬

＊

おふたりさんと私のちいさな日々の記録
今日はこれにておしまい。

ではまた。