交渉力を劇的に変える! 自己肯定感とは
性格は十人十色です。
明るい人、静かな人、大雑把な人、細かい人。
これらの指標は、交渉に関して言えば、成果に影響を及ぼしません。むしろ個性です。
しかし、『自己肯定感』という指標だけは交渉の成否に影響します。
これが低いと、「交渉」には悪影響です。
『交渉力』と『自己肯定感』には強い関係性があります。
交渉を成功させるための自己肯定感とは何か、どのように交渉と関係するのか、知っておく必要があると思います。
自己肯定感が高いか低いかを判別することから始めましょう。
内面を客観的に観察し、自分の行動や思考の傾向を振り返ることが役立ちます。以下の質問に答えることで、自身の自己肯定感をチェックしてみてください。
自己チェックの質問
以下に、正直に答えてみてください。
自分の長所をすぐに3つ以上挙げられる。
<自分の長所>
1. ○○○
2. ○○○
3. ○○○失敗した瞬間は自分を責めても、比較的短時間で「失敗は誰にでもある。次だ、次」と思える。
他人から褒められたとき、素直に受け取ることができる。
批判を受けたとき、自分自身に対する批判と、物事に対する批判を切り分けられる。
自分の意見を相手に伝えることには、比較的ためらいがない。
他人と比較して劣等感をあまり感じない。なぜなら、人は人だと思っているから。
自分の価値は、自分で認めるものだ。
やりたいことや夢に対して、行動を起こす自信があるし、行動を起こしている。
『はい』が多かった人は、自己肯定感はかなり高いです。
逆に、ほとんどが『いいえ』または『微妙に、そうは思えないな』という人、自己肯定感が低いです。
『事実を客観的に見れていない』
肯定感が低い人は、何も性格的に劣っている人ではありません。
「自分には価値がない」「劣っている」と思いがちですが、よく考えてみてください。その考えには根拠が全くありません。
そう思い込んでいるだけです。
つまり「自分が劣っている」という情報以外を無意識に排除しています。
これは一種の『認知バイアス』ですね。
自身を客観的に見ることが必要です。
逆に、自己肯定感が高い場合の特徴を見てみましょう!
自分の価値を認識している
自己肯定感が高い人は、自分の価値や能力を正確に理解しているため、交渉で自信を持って自分の立場を主張できます。また、自分の提案が相手にとっても価値があると信じられるため、譲歩や妥協が必要な場面でも冷静に対応できます。相手と対等な立場を保てる
自己肯定感が高いと、相手の地位や権力に圧倒されず、対等な立場で交渉を進められます。これにより、交渉のバランスが保たれ、成果が出やすくなります。建設的な姿勢
自己肯定感が高い人は、失敗や批判を個人的な否定と捉えにくく、交渉のプロセスを前向きに捉えます。そのため、粘り強く交渉を続けることができます。
⭐️ 大体、これら3つくらいでしょうか?
中には無駄に自信過剰な人もいるかもしれませんが☺️、
『自己肯定感』とは、いかに現実を客観的に捉えられているか、ということがポイントであると言えないでしょうか?
自分の価値や能力を正確に理解していれば、物おじせず自分の考えを出せるし、足りないところは学べば良いのです。
例えば、相手の地位が高いことは立場の違いです。相手の能力が高いことでもありません。世の中を見てみれば偶然に高い地位にいる人が如何に多いことでしょう。
このような『真実』を正確に捉えることで自己肯定感は高まるのです。
とはいえ、一朝一夕に思い込んだ性格を変えることは容易ではないですよね。
自己肯定感を高めるための具体的な方法
小さな成功体験を積み重ねる
日々の業務や生活の中で達成感を得られるタスクを設定し、成功体験を意識的に振り返ることで、自信を育てます。ポジティブなフィードバックを活用する
「今日は良い提案ができた」など、ポジティブ部分だけ見つけ、自分に言葉をかける習慣を持つ。交渉スキルを学ぶ
準備やスキルを磨くことで、交渉における安心感が得られ、自己肯定感の向上に繋がります。自分の価値観や強みを見直す
自分が大切にしている価値や得意なことを明確にし、それを交渉の場で活かす意識を持つと、自信を持って行動しやすくなります。
上記のリストに沿って、その日の行動をノート整理してみるのも良いかもしれません✨
今回の『自己肯定感』に関する主張はこのようなことでした。
さて、ここからは、自己肯定感に関するストーリーを見てみます。お気軽にどうぞ。
先山:A社購買担当と、白井:B社営業担当の会話を見てみましょう。
白井さんは自己肯定感が高い!人です。
先山「白井さん、正直に言いますけど、御社の提示した価格ではこちらとしては受け入れられません。もっと下げられますよね?」
白井:
「先山さん、価格について厳しいご意見をいただきありがとうございます。ただ、この価格には理由があります。材料費の高騰や品質の維持のために必要なコストを考慮しており、この価格が双方にとって最適だと考えています。」
先山:
「そうは言っても、他社はもっと安い価格を提示していますよ。」
白井:
「確かに、他社と比較されるのは当然です。しかし、私たちが提供する製品の品質やアフターサポートを考慮いただければ、長期的にコストパフォーマンスが高いと自信を持っています。例えば、どの部分に特にコストを感じていらっしゃるか教えていただけますか?」
先山:
「確かにサポートの評判は良いと聞いています。ただ、予算内に収めるのが難しいんですよ。」
白井:
「その点も理解できます。それでは、予算内に収めるために可能な調整点を一緒に探してみるのはいかがでしょうか?お互いが納得できる形を目指しましょう。」
先山:
「わかりました。一度具体的な案を検討してみましょう。」
白井さん、グイグイ行きますね。自社の製品に自信を持っていることはもちろん、自分自身にも、肯定的な評価を与えているからこのような態度(良い意味)が取れるのでしょうね。
しかし、世の中には、自己肯定感が低い人がいます。
沼田さんは、いつも自信がない感じです。
先山:
「沼田さん、御社の価格、ちょっと高すぎませんか?これじゃ話にならないですよ。」
沼田:
「えっと、そうですよね……。その……もう少し価格を下げられるように努力します。」
先山:
「努力だけじゃ困るんですよ。他社と比較して、具体的にどれだけ下げられるのか聞かせてもらえますか?」
沼田:
「.. なんとか少しは下げられるかもしれませんが、上司に相談してみなければならないので..」
先山:
「沼田さん、それじゃ困るんです。うちと仕事する気があるのか、はっきりしてもらわないと。」
沼田:
「……すみません……一旦、持ち帰らせていただいてもいいですか?」
先山:
「そうですね、そうしてください。次回は具体的な、下げた数字を持ってきてください!」
沼田(心の中で):
(どうしよう……全然話が進まなかった。先山さんに圧倒されてしまった……)
沼田さん、かわいそうな感じ。😢
先山さんみたいな人には、タジタジになってしまうのもわかる気がします。
でも、このままじゃ、マズイです。
そう一念発起して、沼田さんは改善策を取り入れました。
次の会話を見ていきましょう!
先山:
「沼田さん、率直に言います。この価格では全然予算に合いません。もっと下げてもらわないと、この話は進められませんよ。」
沼田:
「先山さん、ご意見ありがとうございます。確かに、価格についてご期待に応えられるよう努力したいと思います。ただ、まずこの価格の背景を少しご説明させていただけますか?」
テクニック1: データを活用する
沼田:
「こちらが今回の価格設定の内訳です。特に材料費の高騰がありまして、これが全体のコストに影響を与えています。ただ、こうしたコスト増にもかかわらず、品質の維持には特に力を入れています。」
先山:
「品質が高いのはわかりますが、他社の提案と比べると、やはり割高に感じますね。」
沼田:
「その点も重々承知しています。他社との比較で感じられるご不満がどの部分にあるのか、もう少し具体的にお聞かせいただけますか?」
テクニック2: 相手のニーズを掘り下げる質問
先山:
「まあ、正直に言うと、価格が全てです。品質が良いのは良いことですが、予算内に収めることが最優先なんです。」
沼田:
「なるほど、予算の制約が大きな課題であること、よく理解しました。それでは、この価格を保ちながらも、貴社にメリットのある追加提案をさせていただくというのはいかがでしょうか?」
テクニック3: 代替案の提示
先山:
「追加提案?具体的にどういうことですか?」
沼田:
「例えば、初年度の納品スケジュールを調整し、初期費用を抑えるプランをご提案することができます。また、通常のアフターサービスに加えて、貴社専用のサポート窓口を設けることで、効率的に運用いただける形も検討可能です。」
先山:
「なるほど、少し興味がありますね。ただ、それでも価格が下がるわけではないですよね?」
沼田:
「確かに、価格そのものの調整には限界がありますが、トータルコストで見た場合、サポート効率や稼働率の向上がコスト削減に繋がる可能性があります。一度、具体的な数字でお見せすることも可能です。」
テクニック4: トータルバリューを強調
先山:
「ふむ、もう少し詳しい話を聞かせてもらえますか?」
沼田:
「ありがとうございます。それでは次回までに、具体的な追加提案の資料を作成してお持ちします。その際、もし他にもご要望があれば教えていただけますか?」
(テクニック5: 次につながる約束を確保)
先山:
「そうですね、それでお願いしましょう。ただし、他社の動きも見て判断しますからね。」
沼田:
「もちろんです。貴社にとって最適な選択となるよう、最善を尽くします。次回お伺いする際には、さらに具体的な形でご提案させていただきます。」
今度は良かったのではないでしょうか?
データを活用する、相手のニーズを掘り下げる質問、代替案を提示することやトータルバリューを強調することは、交渉の基本的なテクニックです。
卑屈になる理由がどこにもない、交渉する自分は、『価値があり相手と対等である』という『事実』をしっかり見つめながら、交渉のテクニックも駆使し、成功体験を積み重ねていくことで、さらに成果が出ます。
自信を持って!