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介護日記2#8音が鳴った
電子オルガンの音が鳴った。
母の指がキーボードを弾いている。もちろん曲を奏でる訳ではなくポロンポロンと音が鳴っているだけだが、音を出そうと集中しているのがわかる。
「音が鳴ったね」と話しかけると、笑顔で 「鳴ったね~」と。
昨年緊急入院となり現在介護5の母。
立位は取れず車椅子生活の母。看護小規模多機能のサービスを利用し、家と施設を行ったり来たりの生活が始まって約4ヶ月。
最初の2ヶ月はほとんど何も変わらなかった。意思の疎通は難しく、食事の時だけ何とか私が口に運ぶと上手く食べてくれるが、それ以外は目は虚ろで手足も自分の意思では動かせない状態だった。
4ヶ月たった今の母は、時折だが普通に会話が出来る時もある。もちろん、虚ろで反応が全く無い時もあるが。
レビー小体型認知症である母は幻視妄想は常時なので、私には見えない誰かと話したり、何もない机の上から大事そうに物を掴み手のひらにのせたりしている。
しかしある時からふと、私に家族の様子を尋ねたり、私に対してありがとう、すまないねなど労いの言葉を言ってくれたりし始めた。
これは何が良かったからなのか分からないが、間違いなく以前より活性化している。
そしてもともと若い頃から、音楽を楽しんでいる母だったのでこの4ヶ月間常に音楽のある生活を心掛けていた。唱歌やクラッシック、ピアノ演奏など母の好きそうな物をスマホのアプリで流す。
先日は1度だけ早春賦の歌を口ずさんだ瞬間が。
やはり好きだった事はずっとずっと好きな事。
好きな事があるのって大切。
そして家にあった電子オルガンを母の目の前に置いてみた。最初は私がチューリップやキラキラ星などオーソドックスな曲を片手で弾く。その後母の右手をキーボードに置いてみると自然に指が動きポロンポロンと音が鳴り出した。そんな事をしていると、あきらかに自分で意思を持って指を動かしているのが分かる。
暫く音を楽しんでいた様子があったが疲れたのかその日はそれ以降は反応がなくなった。
諦めず毎回つづける。1日のうち数分だけだがその瞬間がある事は私にとっても楽しみになっている。
これからの進化を楽しみにしている。
もちろん、無理強いせず調子を見ながらだが。決して悪い方向に行っているのではない事は確かなので、楽しんでいきたい。
読んでいただきありがとうございます。
これからも些細な気になる事を綴っていきたいと思いますので、覗いて頂けると嬉しいです。今日も良いことがありますように。
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