根拠のない自信
仕事やビジネスを成功させるのに「根拠のない自信」が大切という文脈を見掛けることがあります。
新規事業に取り組む時、新たなチャレンジをする時など、何かにエイヤで飛び込む時など、大なり小なり「根拠のない自信」を持っている人は少なくないと思っています。
しかし、その「根拠のない自信」の本質とは何でしょうか?
根拠が存在していないけど、自信がある。この一見、矛盾するかのようなこの概念について今回は記述してみたいと思います。
まず、「根拠のない自信」とは何か?を考えてみましょう。この概念は、過去の成功体験や具体的な実績、方略の道筋が見えていない状況など、知識・経験・実績に基づかず、「自分ならできる」と強く信じる心理状態を指します。
英語で言うと、「Unfounded Confidence」または「Baseless Confidence」と表現でき、見通しが立っていない自信もしくはベースとなる基盤が無い自信という要素を含んでいると考えています。
この考え方は、単なる楽観主義やハッタリ、自信過剰な人のような印象を受ける場合があるかもしれませんが、私は自己に対する深い信頼感が根底にあると考えています。
この「根拠のない自信」の特徴を挙げてみましょう。
1. 過去の実績に縛られない
過去の成功や失敗に関わらず、新しい挑戦に対して前向きな姿勢を維持できます。これは、自己の可能性を固定的に捉えないマインドセットから生まれます。過去の実績がなくても、「今回はできる」と信じる力があります。
2. 他人との比較に依存しない
自己の価値や能力を他者との比較で判断せず、内発的な基準で自己を評価します。これにより、周囲の評価や社会的な成功の定義に左右されることなく、自分の目標に向かって進むことができます。
3. 自己への絶対的な信頼感
自分の能力や判断を深く信頼し、困難な状況でも自己を疑わない強さがあります。この信頼感は、外部からの否定的な意見や一時的な失敗に揺るがされにくい精神的な基盤となります。
これらの特徴は互いに関連し合い、強い自己信頼と柔軟な思考を生み出す基盤となりえます。「根拠のない自信」は、これらの要素が調和することで形成され、個人の成長と成功を支える重要な心理的資源となるのではないでしょうか。
では、この自信の要素として、私は「物事ができる」ことを3種類に分けて考えています。
一つ目は、有能感。
一言で言うと、「自分には(能力があるので)⚪︎⚪︎ができる」という感覚です。
出来ないことをできるようになったり、もっと上手にできるようになりたいという内発的動機づけの基本となる要素と、行動の結果得られた達成感が、次回の挑戦に繋がる心の連動的な作用を、主観的に捉えたのが有能感と考えています。
もう一つは、自己効力感。
こちらも一言で言うと、「ある課題・行動を自分が達成・遂行できるかに対する判断において、周りの状況を含めた可能性に対する認知」を表しています。
有能感と何が違うのかというと、周りの協力も含めて、「(この状況なら)私は⚪︎⚪︎ができる」と捉えています。
また、三つ目の要素としては、自己肯定感。
自己肯定感とは、自分自身を価値ある存在として受け入れ、肯定的に評価する心理状態です。これは、自分の長所や短所を含めた全体を認め、自己の存在意義を感じる能力を指します。
この表現はよく書店などで書籍なども出ているので、理解をいただける側面も多く、「(自分は自分を肯定的に捉えているので)私は⚪︎⚪︎ができる」と表現できるのではないでしょうか。
上記を捉えると、特徴の要素と、できるの要素がある程度噛み合っているのが理解できるのではないでしょうか。
私はこの3つの要素が(因果・相関の度合いこそ不明ですが)相互に絡み合うことによって、関連性が無い挑戦を目の前にしたとしても感情・認知・判断によって、「やったことはないけど、たぶんできると思う!」という無茶と言えば無茶な、挑戦ができるようになるのではないかと考えます。
では、「根拠のない自信」はどうやったら育むことができるのでしょうか。
1. 小さな成功体験を積み重ねる
日常生活の中で、小さな目標を設定し達成することで、自信の基盤を築きます。これらの経験が、より大きな挑戦への自信につながります。
2. 自己肯定感を高める習慣をつける
毎日自分の良い点を見つけ、肯定的な自己対話を行うことで、自己価値感を高めます。自己批判を減らし、自己受容を増やすことが鍵となります。
3. 失敗を学びの機会として捉える
失敗を恐れず、それを成長の糧と考えることで、挑戦する勇気が生まれます。失敗から学んだことを次の機会に活かす姿勢が重要です。
4. ポジティブな自己対話を心がける
内なる批判的な声を、励ましと支持の声に変えることで、自己信頼感が高まります。自分を第三者の視点で見守り、応援する態度を養います。
5. 自己の可能性を信じる姿勢を意識的に持つ
自分の潜在能力に限界を設けず、常に成長可能だと信じることで、新たな挑戦への準備が整います。「まだできない」ではなく「まだできていない」という考え方が重要です。
6. 失敗を許容する
失敗を人生の自然な一部として受け入れ、それを恐れずに行動する姿勢を養います。失敗しても自己価値が損なわれないという認識が、根拠のない自信の基盤となります。
これらの要素を日々の生活に取り入れることで、根拠のない自信を徐々に育てることができます。重要なのは、一貫性と持続性と考えます。短期的な結果にとらわれず、長期的な視点で自己の成長を見守り、継続的に実践することが、強固な自信の構築につながります。また、これらの実践は相互に関連しており、一つの要素を改善することで他の要素にも好影響を与えるという点も忘れてはいけないのではないでしょうか。
特に、「失敗を許容する」姿勢は、他の全ての要素を支える基盤となります。失敗を恐れずに挑戦し、そこから学び、成長する過程こそが、真の自信を育む土壌となるのです。失敗を経験しても、自己価値が揺らがないという強さが、根拠のない自信の本質と言えるでしょう。
これらの要素・実践は相互に関連しており、一つの要素を改善することで他の要素にも好影響を与えます。失敗を許容する姿勢が強くなれば、新たな挑戦への恐れが減り、小さな成功体験を積み重ねる機会も増えていきます。そして、それらの経験が更なる自己肯定感と可能性への信念を育むという好循環を生み出すと言えます。
根拠のない自信を持つということは、決して現実を無視することではありません。むしろ、現実の中でも自己の価値を見出し、失敗を恐れずに前進する力を持つことです。
この「根拠のない自信」は、困難な状況下でも粘り強く取り組む原動力となり、最終的には実績に裏付けられた自信へと進化・深化していくと考えられるのではないでしょうか。
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