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「わかるよ」って言ってほしかった
1.言ってほしかった言葉
「わかるよ」
「当然だよ」
言ってほしかったな。
休職期間を経て復職する社員のための復職プログラムの一つ。カウンセラーとの面談の率直な感想。
2.不条理です、世の中は
復職したばかりで、出勤して、デスクについて、勤務時間に自分の業務担当範囲をこなすだけで正直精一杯の時期。上司に一時的に担当外の仕事を振られた。
いやいやいや。今ね、自分の担当範囲の業務こなすだけで精神的に精一杯なんですよ。毎朝鉛のように重たい身体を引きずるようになんとか出社して、これでも必死にやってるんですよ。軽くこなしてるように見えますか?
と、言いたかった。が、これが私の性格のしんどいところだが、一応やってみることにした。というか、上司の命令だから仕方ないと思った。でもやればやるほど、「これ、このまま私の業務担当にしようとしてるよね?」「たぶん本当はあの人の仕事だよね?」っていう確信がふつふつと湧き上がってきた。しかもその「あの人」は実に優雅に仕事をしている。なんなら「暇だから」と午後早退する。
私は上司にその疑問をぶつけた。これは一応休職前の私よりも、ちょっと進歩した行動。
すると上司は私を一瞥もせず、暫くの間の後に言った。
「あ~、それはもともとあなたの業務分担だったんだけど、分担表に書くのを忘れてたんだよね。書いとくね。」
へ~、そうなんだ~、書くの忘れちゃったんだ~。そっか~。
ってなるわけないよな。私はそんなに察しが悪そうに見えるか?ん?本来の担当者がのんびりしてるから、私にやらせようとしてるの見え見えなんですけど!
と、まぁこういう時に不条理を感じるわけである。これが社会人というものか。
3.カウンセリングとは。
その頃セッティングされたカウンセラーとの面談。「何かお困りのことはありますか?」というカウンセラーに対し、タイムリーな愚痴を言った。
「…というわけで、私はまだ自分の本来の業務担当範囲で精一杯なのですが、他の人が「できな~い」と言った業務が回ってくるのがしんどいです。それを訴える私に、明らかに苦し紛れの理由を付けて納得させたと思っている上司に、また憤りを感じます。」
カウンセラーは終始、
「あぁ…えぇ…なるほど…そうですか」
で、相槌をうって面談タイムが終了した。
4.カウンセリング後なのにモヤモヤ
面談後の私の正直な気持ち。
「これがカウンセリングってやつなの?」
モヤモヤする。
すごくモヤモヤする。
「お困りのこと」を伝えたにも関わらず、ただ傾聴しただけ。
まぁ結局はこのカウンセラーも内部の人間だから、ヘタなことは言えなかったんだろう。
でもせめて、
「わかりますよ」「そう思うのは当然です」
と言ってほしかった。
5.ほしかったのは
そう、私が求めていたのは、
「共感」
だった。
傾聴も大事よ?わかってる。カウンセラーの仕事は聞くことなのかもしれない。問題を解決することはできない。それはちゃんとわかってる。でもさ、愚痴を言って共感してくれたら嬉しいじゃない?たとえそれで何も解決しないとしても、共感してくれるだけで、「わかるよ」「辛かったね」「そりゃそう思うよね」って言ってくれるだけで、心が軽くなる。少しは救われる。「私、悪くないよね」って思える。
カウンセラーによるのかもしれないが、少なくともそのカウンセラーに対して私はモヤッとした感情しか抱かなかった。カウンセリング後に癒されると思いきや、モヤモヤが増えただけだった。
「私をわかってくれる人はいないんだ…」
と、逆に更に落ち込んだだけ。
なんだこれ。
6.わかってくれる人がこの世に確かにいるということ
だから私は、誰かの愚痴を聴く時は、傾聴はもちろんだけど、「わかるよ」「辛かったね」「当然だよ」と言ってあげたい。その人の辛さを認めてあげたい。苦しんでいるその人こそを認めてあげたい。むしろ一緒にその人を傷つけた相手に憤りを感じるかもしれない。私は少なくとも、そういう人間味のあるカウンセリングを受けたかった。
「この世にわかってくれる人が確かにいる」
「私を理解してくれる人がちゃんといる」
「私、このままでいいんだ」
って思えることってすごく大事なんだよね。「あなたはあなたのままでいいよ」って言ってくれる人が世界に一人でもいたら、それは自分を認めてくれる人が世界に少なくとも一人はいてくれるってことだから。
7.最後に
本当は自分で自分のことを認めてあげられたら一番いいんだけど、たくさんの人と関わるうちに揺らぐこともある。誰かに否定されて、苦しくて自分がわからなくなることもある。私ってズレてるのかな?とか間違ってるのかな?とか考えることもある。
そんなゆらゆらする心に寄り添って、「わかるよ」「それは当然の感情だよ」って言ってくれる人がいたなら、救われる心がたくさんあるのにね。
という話。カウンセラーさんも人間だから、いちいち共感するのも疲れるのかもしれない。共感できない話もあるだろうし。ほんと大変な仕事だよね。合う合わないだってあるだろうし。自分に合うカウンセリングに出会えた方がいらっしゃれば羨ましい限りです。