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【読書記録】哲学史入門III      谷徹、飯田隆、清家竜介、宮崎裕助、國分功一郎、斎藤哲也[編]

哲学史入門III
谷徹、飯田隆、清家竜介、宮崎裕助、國分功一郎、斎藤哲也[編]

哲学史入門シリーズI~IIIのうち、最終巻は現象学・分析哲学から現代思想までをカバーしています。

ただいま頭のなかが飽和状態ですが、中身の濃い、いろんな意味で贅沢な新書です。
聞き手(編者)と語り手(哲学研究者)との対話形式で、ソクラテスの哲学は対話によって展開したことが思い起こされます。これこそ生きた思考のたどり方です。II巻の「マジ、神いるから」は今でも忘れられません。
哲学史の入門書を読む目的はいろいろあるでしょうが、わたしのおもな目的は、自分が抱えている問題を考えるよすがを与えてくれるような哲学者(思想)は誰なのかを探すことにあります。

第1章の現象学。本当に丁寧に解説されているので言葉の上では腑に落ちる。でも実際にフッサールやハイデガーの言葉に接しないことにはね……現象学を応用した看護の例について調べてみたけれど現象学(メルロ=ポンティの間身体性等)を応用する必然性がよくわからないんです(現象学も看護も知らない素人が言うか?)。

第2章の分析哲学は、シリーズすべてを通じて、なんのためにこれをやらねばならないのかが一番わからなかった章。こういうスクールがあるのだなと心にメモるだけで終わりました。クリプキの言っていることとかカッコいい(笑)のでぜひとも理解したいのだけれど……

第3章は、マルクスからフランクフルト学派にいたる近代批判と社会哲学。この章を読んで、あらためて「フランクフルト学派」こそ学びたい哲学だと感じました。もともと両大戦間から戦後にかけての世界各地の思想や文芸に興味があるのですが、それは社会の激変が人びとの生活や思考に大きな影響を与えたから。人類が初めて経験する大規模な悲劇も起こりました。ドイツ語が読めないのが残念ですが、邦訳も多くてうれしい。『啓蒙の弁証法』やベンヤミンの著作が積読状態で待っています。

第4章はフランス現代思想。学生時代に先輩がたの会話の中でこれらの固有名詞が飛び交っていましたっけ。そして「当然読んでますよね?」的な「圧」がありました。堂々と劣等生だったあの頃が懐かしい。表面的にしか学んでこなかった現代思想ですが、本書を読んで、やっぱり面白そう、ちゃんと読み直そうって思いましたとさ。

3巻を通して感じたことです。
楽しく(≒楽に)学ぼうという魂胆が災いしてか、もちろん毎回やや消化不良気味。でも聞き手はその完璧な心遣いで、先生方のちょっと込み入った話し方もさりげなく整理してくれます。おかげで全巻完走できました。よろよろとゴールについた感じですが、終章の國分先生に締めのパンチを食らい、目が覚め、しゃきんと立ち直りました!

今後も哲学の本をたどたどしく読んでいく所存です。

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