転職をする中で
一番初めに転職をしたきっかけは何か、というと、仲のよかった非常勤の方の影響が強いかもしれない。
正直に、正職の先輩方よりもよっぽど頼りになり、参考になり、助けになり、癒しにもなった。
特に、その方は、快活さと大胆さ、ある種適当ではあるものの利用者さんへの配慮がすばらしく、少し口が悪い。けれど、感情的に当たり散らすことはなく、距離感がほどよかった。
もったいない、と言われたのが、何年目のことであったろう。
同じ職場にずっといることを否定していたわけではないけれど、他のところを知らないのはもったいない、という話しを聞いた。
それを受けて私が考えたのは、あくまで私が積み重ねてきたものは、ここで通用する技術であって、はたして他のところでも同じようにできるのであろうか? ということだった。
何度か転職をして思ったのは、どうしてもその職場の色があり、それに染まってしまっているゆえに応用が効かない人もいる、ということだ。
かくいう私も、初めの職場で学んできたものが基盤になっている節もあり、こだわりめいたものが外せない時期があった。
その職場でのプロフェッショナルになったところで、他のところで通用しない技術では意味がないと思うし、今では転職を重ねていく中で、新たに通じるのか試し、それが楽しいこともある。
けれど、そのたびに、利用者さんや職員を置いてきてしまった、と感じてしまうことが、傲慢ながらあるのは何とも言えない。
そうして、あれはどうなった、これはどうなった、なんて思うことはあれど、それはすべてよけいなことでもある、というのもわかっている。私はもう、その場にいないからだ。
もう、会えなくなってしまった人もいれば、まだつながりのある人もいる。
転職をする中で、新たな縁につながり、その出会いに感謝をすることも多いけれど、そうした、一抹のさみしさは拭えない。
それでも、私は、あと何度、転職することができるのだろうか、新しい縁に向かえるであろうか、なんていうことを、今でも考えている。