“フルリモート”でも強くつながれる?【パターン・ランゲージ】がコミュニケーションの秘訣
こんにちは。ナラティブベース育休インターン、クミコです。
突然ですが、こんな経験はありませんか?
3日前に依頼を受けて、〆切を伝えられていない業務。そろそろやらなきゃ。そんなとき、上司からチャット。
「明日までにできる?」
「急かされている?」と焦って、「○○を優先させてまして・・・」と回答になっていないレス。
さらにココロの中は「最初から期日伝えてよ!」「遅いってこと?」とモヤモヤ・イライラ・・・
言葉通りに受け取れない、という経験は誰にでもあるはず。
特にリモートでは表情やトーンが伝わらないので、プレッシャーと憶測が生まれやすい。
ナラティブベースでは、こういったありがちなミスコミュニケーションを【ナラティブ・パターンランゲージ】にして、コミュニケーションのヒントとしているそう。
たとえば、こんなパターンランゲージがあります。
-文面どおり受け取る- 文脈や行間を憶測で読みすぎない
依頼をする側にも受け取る側にも、この認識があるとスムーズですよね。
▼パターンランゲージ 「文面どおり受け取る」
【ナラティブ・パターンランゲージ】はどうやって出来た?
私もコロナ渦でリモート業務を経験したけれど、内容に「腹落ち感」があるな。
聞いてみたところ【ナラティブ・パターンランゲージ】は、
チームメンバーの体験談や問題解決のエピソードを対話から表出させ、
「こうやるとうまくいく」というコツをパターン抽出して、
それに名付けを行いイラストでわかりやすくしたものだそう。
実際の体験と解決策から生まれているから、腹落ち感があるのね。
現場ではどう使われている?座談会に突撃!
さらに、ナラティブベースのメンバーにとってパターンランゲージがどんなものなのか迫るべく、新人さんからベテランさんまで、メンバーが集まる座談会に突撃してみました。
Q:パターンランゲージをつくっていく当時、感じていたことは?
(りえさんは制作工程でグラフィックファシリテーションとイラスト担当)
りえ:一言でいうと「全体感」ですね。全員が一堂に会すことは難しかったため、グループに分かれて対話を進めました。その際、メンバーが替わっても、共通の「悩み」や「願い」を持っていて、本質は同じところに行き着くという感覚がありました。涙が出る人もいるくらい、いろいろ出てくる対話会になっていましたよ。
──メンバーの思い(感情)や背景の交換が行われる中で、出来上がったものなのですね
Q:完成したときの気持ちはどうでしたか?
りえ:「安堵」です。 それまでパターンランゲージはなかったので、新メンバーが暗中模索し、苦しんで、困っている状況があった。パターンランゲージはコミュニケーションのベースになる部分で。そこが解消されたことで、みんなの仕事の勢いが加速する印象がありました。苦しんでいる人が減りました。
Q:めぐみさんは1年8ヶ月前、かなえさんは4ヶ月前にメンバーの一員に。新メンバーへはウェルカムレクチャー(ナラティブベースで新メンバーに向けて行われるレクチャー)でナラティブ・パターンランゲージがシェアされています。そのときの印象は?
めぐみ:パターンランゲージについては、どの項目を読んでも、「自分たちが働き方をつくっていく」という前提があると感じました。ナラティブベースでは、どういう働き方をしていくか自分で選べるのですよね。最初はそれが新鮮な印象でした。
また、ウェルカムレクチャーでは、具体的なエピソードを通して、「プライベートの事情も開示していいんだ」と納得させられました。
レクチャーの中で紹介されたのは「ビー玉事件」と呼ばれるエピソードです。あるメンバーの小学生のお子さんが、ビー玉を耳に詰まらせる事態が発生。「医者に行くべきか、自力で解決すべきか」と迷っているうちに時間が経ってしまい、仕事に支障をきたしてしまった、という。確かに遠慮したり迷う状況ですが、そういった些細なこともあらかじめ共有しておけば周りも助けやすいというエピソードでした。
──『プライベートの事情だから伝えない』ではなく、それがチームのパフォーマンスに影響するのであれば伝えるべきですよね
かなえ:「メンバー共通の価値観を先に知れてよかった」ですね。
入ったばかりなのでどんな価値観をみんなが持っているか分からなかったので、これをベースにコミュニケーションしていけばいいのか、とほっとしました。
例えば「ミスはぜーーーーったい起きる」というパターンランゲージがあって。「人間のやることだからミスは起きる。落ち込むよりも速やかに切り替えて、徹底した再発防止が重要」ということを言ってくれている。ミスが起きないように心がけるのは基本だと思うのですが、過度なプレッシャーからは解放されました。
──私も会社がリモートワークになった当初、プレッシャーや遠慮で疲弊したなぁ。コミュニケーションのヒントをもらえると楽になりますよね
Q:特に活用しているパターンランゲージは?
めぐみ:「宣言してから話す」ですね。
今1番伝えたいこと、「困っています」なのか、「相談したい」のか、ひとことタイトルを打ってから内容に入るようにしています。
▼パターンランゲージ 「宣言してから話す」
──『結論から話せ!』ではなくて、『宣言してから話す』っていうのがナラティブベースらしい。雑談でも愚痴でもいいよ。ただ宣言はしようよ、という
かなえ:「イチイチ、伝える」と「ありがとうの深掘り」です。
リモートで見えにくいからこそ、自分の情報を意識的に伝えてチームが動きやすいようにしています。
ありがとうの深掘りは、仕事にかかわらず、すべての人間関係で意識したいなと思っていて。そのきっかけをもらいました。
▼パターンランゲージ「イチイチ、伝える」
▼パターンランゲージ「ありがとうの深掘り」
めぐみ:これって子育てでもそうですよね。子供にも、『ありがとう』とか『すごいね』じゃなくて、掘り下げて伝えないと伝わらない
一同:ほんと、そう!
りえ:フルリモートで10年くらいやってきて思うんですが、『ひとこと余計』をキーワードにしていて。わざとひとこと多く書くのは大事だなと。テキストだと書きやすいしね。
りえ:私も「ありがとうの深掘り」と、「未来へのナレッジリレー」です。
「未来へのナレッジリレー」は一番絵を気合い入れて描いたのですが(笑) 「誰かの知恵が誰かの手に渡り、良いことが繰り返されていく」というその内容の通り、パターンランゲージをこのまま固定するのではなくて、みんなが思うパターン、解釈でどんどんアップデートしていくのがいいなと思っています。
──ナラティブ・パターンランゲージは未完なのですね。自分たちの想いや解釈も反映されていくと思うと、新メンバーの心持ちも変わりそうです
Q:パターンランゲージ、さらにメンバーへ浸透させるにはどうしたらいい?
りえ:ウェルカムレクチャーで聞くだけだと、頭に入らないかもしれない。
例えば「ウェルカムレクチャーから半年経った人」みたいな感じで、改めて話す場を作れると良さそうですね。こういう風に役立った、こう参考にすればいいね、と。あくまでコミュニケーションのヒントだから、それに対する個々の解釈を共有しあえると広がっていきますよね。
めぐみ:確かに頭では理解できても、すぐには実感を持てなかったかもしれないです。ミスしたときに、メンバーの一人がパターンランゲージと実体験を絡めて話をしてくれて実感が伴いました。
りえ:「現行犯逮捕」じゃないけど、ミスをしているさなかには思い出せないよね
めぐみ:付箋にして、PCに貼っておきたいくらいです。
りえ:ビジュアルがあると、イメージ残りやすいよね。グッズとかノベルティとしてつくるのはどう?
一同:いいね!
・・・
企画会議の様相を呈してきましたが、ここでタイムアップ!今回の座談会はお開きとなりました。
◆突撃を終えてクミコが感じたこと
過去、企業のインナーブランディングを目的としたサイト構築をお手伝いした機会があったのですが、「行動規範が従業員に浸透しない」という課題がありました。経営層や特定の部署で策定したものって、社員にとっては「押しつけられたもの」になりがちですよね。
今回の突撃を通して、ナラティブ・パターンランゲージは、メンバーが相互に感情を語り合いどんな気持ちで働いているか知ることで、共通の意識が生まれ、浸透したことが分かりました。
実際に座談会中も、メンバー同士の“語り”を通して、表情が活気付き、皆さんが意欲的になっていく様子が見てとれたのです。
また、仕事上のコミュニケーションで、思い込みにより追詰められたり、人間関係でモヤモヤすることはつきものです。そういった些細なことの積み重ねで、「働くことが辛い」とか「組織に愛情を持てない」と感じる経験は誰しもあると思います。
そこに対して「弱い」「甘い」と切り捨てる人たちもいて・・・その気持ちも理解できます。でも、誰しもが感じる苦しみを言語化して、過去の経験から導き出した解決案のヒントを提示してくれたら、組織への信頼や愛情が深まっていくのではないでしょうか。
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パターンランゲージを通して、リモートコミュニケーションがうまくいくための慣習や文化が言語化・可視化できるようになり、再現性のあるものにできたことが理解できたのですが、ただ、それでも・・・
──「縦のつながり(命令系統)はない」状態で、
私のなかの疑問がまたムクムクと沸いてきました。次回はそこに迫りたいと思います。
『オープン社内報』突撃!ナラティブベースは、まだまだ続く・・・
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