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2024年ミュージアム振り返り

ここしばらく新着記事を投稿できない状況が続いている。ミュージアム巡りは習慣化していて、それこそ尋常ではない数を行っているのだけれど、膨大な写真から記事をアップする時間が追いついていないため最近は文章だけが未公開記事として溜まりつづけている状況になってしまった。とはいえ、2024年も終わりに近づいているのでまとめくらいはしておかなくてはと時間を絞り出してみる。

一昨年が600件、昨年もそれを上回る700件以上を回ったおかげで都内近郊にはほとんど未訪問の場所がなくなってしまったのも受けて、2024年は都内近郊からやや遠くへ足を伸ばして行くことに。昨年と同様、勝手に鉄の掟を設けてその中で行動しました。

ルール1:年間で複数回おとずれた場所は2回目以降カウントしない
ルール2:東京国立博物館などは複数の館を訪問しても合計1件とする
ルール3:訪問時に開いていなかった場所は0件とする

昨年よりは抑えめになったものの結果的には700箇所以上を回ることに。訪問数は707件と昨年と同等ながら、年間で複数回いっている場所はカウントしない、という勝手な自分ルール1を適用した結果41件が該当したため、最終的に666件という不吉な数字になってしまった。その中かから都内10選と、今年は他県の訪問が多かったのでその中から10選をピックアップ。

【都内10選】
・東京オペラシティアートギャラリー(東京都新宿区・初台駅)
宇野亞喜良の大規模な個展が開催。宇野さんの作品展はなるべく行くようにしているのだけれど今回のは規模が桁外れで訪問者の数も驚くほど。観たかったCDジャケットの原画があったりとか、長い画業の中で手掛けていた仕事の幅広さを堪能できたりととにかく圧倒的。

東京オペラシティアートギャラリー(宇野亞喜良展)

・チームラボボーダレス麻布台(東京都港区・神谷町駅)
麻布台ヒルズに新たに誕生したチームラボ系のミュージアム。どちらかというとアミューズメント施設としても考えられるかもしれませんが、期待度を下回ることがない安定した造りで、広さも申し分なくて何回でも楽しめる。外国人が多かったのが印象的な場所。

チームラボボーダレス麻布台

・URまちとくらしのミュージアム(東京都北区・赤羽駅)
ミュージアムの中に住宅が入っているという、建築好きだけでなくアミューズメント的にも楽しめそうなミュージアム。URがこれまでに手掛けてきた住宅が何件もあり、その歴史を辿りながら住宅の変遷を体感できるっていうのが面白いところ。何度でも楽しめる。

URまちとくらしのミュージアム

・御嶽神社宝物殿(東京都青梅市・御嶽駅)
とにかく勾配がとてつもなかった。普通だったらここだけで一日を費やすくらいの遠い場所なのだろうけれど、この後に別の場所をハシゴするという暴挙を計画していたのもあって、かなり駆け足で上り下り。宝物殿にはしれっと国宝や重要文化財が揃っている。遠いだけはある。

御嶽神社宝物殿

・レーモンド・メモリアル・ルーム(東京都渋谷区・参宮橋駅)
レーモンド設計事務所の中に残されているレーモンド・メモリアル・ルームはアントニン・レーモンドの特徴的な建築の名残を残している貴重な建物。見学者にも建築関係らしき人たちが非常に多かった。レーモンドのエピソードなんかも説明してくれる。有給とった甲斐があった。

レーモンド・メモリアル・ルーム

・松濤美術館(東京都渋谷区・神泉駅)
美術品から建築へと徐々に比重が増えつつあるということは自覚している。松濤美術館も建築好きには切り離せない場所として注目されていて、白井晟一による設計の妙を知る建築ツアーみたいなのも開催している。今回は中原淳一の企画展。ここは通年で魅力的な展示が多いので好き。

松濤美術館

・東京国立博物館(東京都台東区・上野駅)
言うまでもなく国のやっている博物館では最高峰となる場所。今回はなんといっても内藤礼の個展に合わせて本館の特別展示室が開館以来ほぼ初めてとなる窓の開放がされた、という点でも非常に注目されていて、その吹き抜けになった空間がとにかく圧倒的に美しい。銀座のメゾン・エルメスでの展示も合わせて内面を静謐に見つめられる。

東京国立博物館(内藤礼展)

・植島美術館(東京都渋谷区・渋谷駅)
2024年に開館した美術館の中でも現代アートの美術館としてアート好きから注目されていた美術館。外国人の見学者も結構いて現代アートの可能性みたいなのを感じられる。一つ一つの部屋には入館キーとしてQRコードをかざす必要があるけれど読み取りが不調で少し厄介。できれば階段での昇降がおすすめ。

植島美術館

・迎賓館赤坂離宮(東京都港区・四ツ谷駅)
東京のど真ん中にこんなでかい敷地がまだあったのか、と意外すぎてびっくり。まさに国宝。今でも国賓のために使用されている施設なだけあって入館時には手荷物チェックや金属探知などかなり厳重だし建物の内部は撮影NGで常にスタッフの方が目を光らせている。洋館も良いけど和館が好き。あと政治屋は余計なことするな(建築に対してね)。

迎賓館赤坂離宮

・森美術館(東京都港区・六本木駅)
六本木ヒルズの象徴みたいになっている(待ち合わせ場所になっている)巨大な蜘蛛のインスタレーションでお馴染みのルイーズ・ブルジョワの個展。今年の締めくくりとなった展覧会なのだけれど、最後の最後になんてものを観てしまったのか、とメンタルがビリビリやられる(良い意味で)。

森美術館(ルイーズ・ブルジョワ展)

【他県10選】
・江之浦測候所(神奈川県小田原市・根府川駅)
アーティストでもあり建築でも実績を残す杉本博司が手がけたミュージアム。測候所というネーミングセンスがエグい。その名の通り季節によって変化する自然と連動していて、夏至や冬至、春分や秋分といった時期には展示室が光をまっすぐに通すように設計されている。崖にあるので勾配はやばいし広いから1日がかり。それだけの価値がある。

江之浦測候所

・平塚市美術館(神奈川県平塚市・平塚駅)
都心からやや離れたエリアにある美術館の中では神奈川県でもかなり上位に入る素敵な建物。まず建物が非常に大きく、その彩光も含めて感動する。それだけでも評価が高かったのだけれど、特に良かったのは企画展でのアプローチ。蕗谷虹児の企画展での展示順序、要は導線が素晴らしい。自然と順序よく観られる。

平塚市美術館

・市原湖畔美術館(千葉県市原市・高滝駅)
千葉県からは高滝湖の湖畔にある市原湖畔美術館をピックアップ。湖畔にあるということでその景観もさることながら、美術館に来るときの個人的に重要な要素である迷路・隠れ家のような構造が嬉しい。ワクワクしながら「次にどこへ行こう?」というのを体感できる。

市原湖畔美術館

・水戸芸術館(茨城県水戸市・水戸駅)
いくつかの複合施設でできている水戸芸術館。さすがは地方の大都市というだけあって広さも抜群。なんだか変わった形をしているタワーも面白いけれど、エントランスホールの佇まいや広場の開放感、それに現代美術ギャラリーの美しさも含めてワクワクする施設。

水戸芸術館

・栃木県立美術館(栃木県宇都宮市・東武宇都宮駅)
宇都宮市には宇都宮美術館という素敵な建物もありどちらかと迷ったのだけれど、その規模感と、やはり大きな美術館ならではの「どこへ行こう?」という迷路のような構造、それに開放的な展示室という点が決め手となってこちらの栃木県立美術館の衝撃が上回った。これまでに行った美術館の中でもかなり上位。

栃木県立美術館

・群馬県立近代美術館(群馬県高崎市・倉賀野駅)
群馬県は非常に広い。歩いて行ける距離にはなく交通機関を使用する必要があるので限られてしまうけれど、日本を代表する建築家の磯崎新によって設計された構造がなんといっても特徴(水戸芸術館も設計)。どこまでもある展示室の多さに圧倒される。その広さと深みにいつまでも居られるミュージアム。

群馬県立近代美術館

・映像ミュージアム(埼玉県川口市・鳩ヶ谷駅)
埼玉県にも多くの魅力的なミュージアムがあるけれど、そのなかで特にSKIPシティの中にある映像ミュージアムが2024年に行った中では圧倒的に良かった。そもそもSKIPシティがどんな施設なのか分からないまま行ったのもあってその意外性に感嘆。体験型の展示でもあって見どころがたくさん。映像の全てを知ることができる。

映像ミュージアム

・芹沢光治良記念館(静岡県沼津市・沼津駅)
沼津が誇る小説家である芹沢光治良の記念館で、駿河湾沿いにある松林に囲まれた面白い形をした建物は菊竹清訓が手がけたもの。展示室そのものはそこまで広くないのだけれど、螺旋階段で吹き抜けを上がる形式になっており、建物そのものを味わえるのがまた素晴らしい。

芹沢光治良記念館

・軽井沢高原文庫(長野県軽井沢町・中軽井沢駅)
久々に訪問した軽井沢。近年では旧軽井沢あたりが注目されているところだけれど、文学好きにとっては軽井沢といえば文豪たちが集っていた地ということで、軽井沢高原文庫で立原道造の展覧会が開催されるのを機に訪問。個人文学館がなくなってしまった立原の資料を観られる貴重な機会、という個人的な思い入れでピックアップ。

軽井沢高原文庫

・大阪中之島美術館(大阪府大阪市・渡辺橋駅)
大阪にも魅力的なミュージアムは多数あり。その中で最も印象深かったのはやはり塩田千春のこの美術館のみで開催された企画展があった大阪中之島美術館。2フロアあって別のフロアでは他の企画展が行われていたけれど、新作を含めて作品の前で立ちつくしてしまったこの展示が名実ともにベストの展示。

大阪中之島美術館(塩田千春展)

というわけで2024年もあまり数を減らすことはなく地方にまで足を伸ばしてスタンプラリー感覚で攻略してきている。おそらくこの辺りの件数で頭打ちなので、来年は(続けるとしたら)もう少し控えめにする感じに。おそらく新設や休館中の場所を含めて都内の未訪問箇所の回収と地方がメインになる可能性はある。都心に比べると交通の便などが理由で訪問数が減るのは明白。経済的に遠出ばかりしていられないのもある。というよりこのミュージアム巡り、どこへ向かおうとしているのか。自分でもわからないけれど、生きてる限り鉄の掟を胸に抱きながらやって行きましょう。生きてこそ。世界PEACE.

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