#8 カフカ短編『橋』
タイトルと共につけた上部の写真は以前、東京の六義園で撮った写真。
ちょうど人が橋を渡っているところで、どなたかは存じないが個人が特定できないので使わせてもらった。
ちなみに、この記事後半にこれまで旅してきた中で撮った橋の写真をまとめてみた。
さて、今回もカフカの短編を綴っていく。
『橋』は、とてもユニークな作品だった。
わずか2ページほどの掌編だが、強烈な印象がついたので、たぶん忘れないだろうと思う。
ありえない話ではあるが、橋が突然ぐるりと寝返りを打ったらどうだろうか。
橋を渡っている人はもちろん転落するし、まず何が起こったのか理解できないだろう。
この作品では橋が擬人化されている。
読んでいる限りでは、人間が顔を下へ向けた俯せの状態で橋となり、谷にかかっているのだ。ゆえに、踏まれている感覚や音で誰かが来たこと知ることができても、姿が見えないため誰が自分の上にいるのかを知ることができない。
ある旅人が橋にやってきたときのこと。その旅人は突然橋の真ん中でジャンプしたのだ。驚いた橋は誰だろう? と、その旅人の姿を知りたくなってしまい、寝返りを打ってしまった。
この終わり方は、前回書いた『判決』のラストと似ている気がする。
どちらも落下して終わるから。それは自己の破壊でもあるのだろうか。
他の作品にも、落下、あるいは自己破壊で終了する作品はありそうだ。
今回、色々な短編作品を読んできて、「死」で終了する作品が多い気がしたし。
作品と特に関係ないが、旅したときに撮った橋の写真をまとめてみた。