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心理の本を読むことでうつ病から回復した話⑧(大学生編Ⅲ)
読んでくださってありがとうございます。
機能不全家族のもとで育ち、精神疾患(うつ病など)で苦しみ、そこから回復した自分の半生を書きたいと思います。
今回は大学生編Ⅲになります。
前回の話はこちら
1話はこちら
精神疾患当事者のオフ会に行ってみる
自分は当時まだ流行っていたmixiをやっていて、病んでいた日記を綴っていました。
そこでは色んな精神疾患の人と交流がありました。その中で仲良くなった人が精神疾患の人を集めてオフ会をするとのことだったので、勇気を出して参加してみることにしました。
場所は都内のカフェで、貸し切りにしてくれました。(健常者がいると話したいことが話せないとの配慮から)
この場所にはその人の人望で沢山の人が集まりました。
境界性パーソナリティ障害のお姉さん(主催者)
ADHDで遅刻しないよう1時間前に着いた
サラリーマン男性
覚せい剤で捕まったこともある
アルコール依存症のおじさん
家庭環境に問題があって
統合失調症になった女の子
セックス依存症と双極性障害持ちで
障がい者手帳2級の女性
宗教2世で苦しみ統合失調症になった大学生
東大卒で国家公務員になったけど
うつ病になり退職したお兄さん
そして自分
このオフ会は、話している人を一切遮らないというルールで大体20分という時間が一人一人に与えられ、喋りたいことを喋るという会でした。
ここではそれぞれの人が普段話すことが出来ない思いの丈をぶちまけました。
一人一人それぞれの話にとても重みがあり、人にカミングアウトできないことや、劣悪な家庭環境のことなど、「自分も思い当たるなあ」と思うことが何度もありました。そして、皆は他の人の話を聞き、少し涙してました。
帰り際に統合失調症になった女の子から「『毒になる親』って読んだことある?」と本を見せてきました。
「読んだこと勿論あるよ!いい本だよね」と自分が答えると、「この本読んだことあるって言われたの初めてだよ(笑)」と言われました。「その言葉そっくり返すよ、自分もこの本読んでる人に会ったの初めてだよ(笑)」と言ったのを覚えてます。
この空間はとても温かいところでした。
自分はなかなか普段話せないことを話し共感してもらえることが、こんなに素敵なことなんだと感じました。
ちなみにこの集まりはその後も何回か開催されましたが、自分が主催者の女性から言い寄られることが増えたので、行くのをやめました(笑)
対人関係療法を知る
自分は認知行動療法を実行することで、大学2年生の頃から完治と呼べる位に回復していました。
とはいえ、自分はまだ心理学の本を読んでいて、認知行動療法以外にもエビデンスがある治療法を知ります。
「対人関係療法」です。
対人関係療法は簡単に言うと、
「重要な他者」との関係に焦点を置き、関係の再構築を目指し、その人の自尊心の回復を図るという治療法です。
自分は親との関係は絶望的だったので(笑)、
この治療法は向かないと思っていたのですが、二つ素敵な考えを学びました。
重要な他者
一つは「重要な他者」という考えです。
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「重要な他者」とは、親や兄弟姉妹、夫や妻、恋人や大親友など、自分の気持ちの安定に影響が大きい関係性を持つ人のことです。
関係性がいいか悪いかは関係ありません。
対人関係療法では、『人間関係は「重要な他者」とお互いに良い感じになっておいて、 その他の人たちはほどほどで付き合えればよい』という考えを持ちます。
うちの両親は、「重要な他者」を蔑ろにして、世間体良く他の人様には優しくする傾向がありました。
自分はこの考えを学び、大事にする対人関係の順番は守ろうと決めます。
病者の役割
もう一つは「病者の役割」です。
その病気の状態は本人にとって基本的に望ましくないもので自分の意思でコントロールすることが出来ないものだと考えます。
わかりやすいように一つ例をあげます。
インフルエンザになった時、熱が早く下がってほしいと思うのは当然のことだと思います。
しかし、自分の意思でいきなり熱を36.0℃に下げようと思ってもできないですよね。熱という症状はコントロール出来ないわけです。
うつ病などの精神疾患もそれと同様に考えます。
うつ病になると、気分が落ち込んだり、意欲がなくなったり、死にたいと思ったりします。
でもそれは、うつ病の症状だから悩んでる本人は悪くないよ!って考えです。
ネガティブに考えたくなくても、考えちゃうわけです。だって、それがうつ病の症状だから。
また、インフルエンザになると、社会で働くことは治るまではある程度免除されますよね。うつ病もそれと一緒だと考え、社会的な責任はある程度免除されると考えます。
でも、その代わりに治療者に協力しましょうという「義務の転換」を起こすという考えです。
自分はうつ病を治すときに、うつ病を受け入れるという考えをするようになってから改善したので、この考えは少し似ているなと感じました。
この本を読んだ時には既にうつ病は受け入れていたのですが、この考えは間違ってないんだなと確信します。
自分はカウンセラーになれない?
大学2年生の頃は大分回復し、サークルも新たに合唱サークルに入るなど、大学生らしい生活が送れるようになっていました。
大学2年生の後半からゼミの応募が始まりました。
3年生からはゼミが始まります。自分は将来の夢である「臨床心理士」を目指すために臨床心理系のゼミを志望することを決めてました。
その中でも、最先端である第3世代の認知行動療法を学べるゼミを志望しました。
自分は志望動機書でうつ病にかかっていたということを正直に書きました。
以下は、その時の日記です。
希望してたゼミには行けなくなりました。
定員内だったけども。
理由はただ一つ。
俺がうつ病を罹患した経験があるから。
でも、今の2年生の中では臨床心理学の勉強は人一倍積んでる自信はあったし、成績だってその先生の科目はA+でした。
面接室に入って座った途端に、他の生徒に説明するようなゼミ入ってから何をやるかとかの説明は一切なし。
ただ、臨床心理系はやめた方がいいってことばかりを挙げてました。
臨床心理系のゼミ入って大学院に行った人の10%重いうつ病にかかるということ。
うつ病罹患者は再発率が高く、再発率が60%であり、それは再発を繰り返すごとに上がっていくこと。
心理職は医療現場に一人しかいないことが多くしわ寄せみたいな形になって潰れてしまうこと。
3年のうちから色んな学会に属して、発表の為に皆で集まって会議をしたりスカイプやったり大変だということ。
その中の生徒が、命の危険を感じると先生に訴えたこと。
これ全部他のゼミ希望した人に言ったのかな? 言ってないんだったらフェアじゃないよね。
何よりショックだったのは、俺が自分のことをどうにかするために心理ゼミを選んだように思われ、終始話していたこと。
なおと君が自分を良くしたいと思って~とか、そんなフレーズを混ぜてきたり。
なおと君は自分を良くしたいって思ってるけど、僕がやるのは理論の構築だからお互いのベクトルが違うとか言われたり。
自分はそんなこと思ってもないし、勝手に決めつけていかにもお互いズレてるでしょ?って納得させようとしたり。
こっちとしては本当に?でした。
結局はうつ病者としてのレッテル貼りをされて話をされてたんですね。
それで、そういう話をしておいて決定権はさもこちら側にあるかのように話をするんです。
「どうしようかね… 」
とか、ずっと黙りこんでたみたいに。
そこまで話をしておいてこちらに決定させるのはズルいよな。
ここまで話されたら、それでも行きますとはやっぱり言えないよ。途中まではそう言ってたけど。
だって、もし入ったとしてそれで辛くなって駄目になっても、「お前が入りたいって思ったなら責任持てよ」的なこと言われたらどうしようもないじゃん。
他の人が潰れた場合と自分が潰れた場合で、その反応は絶対違うと思うし。
「じゃあ先生がゼミの受け入れを断ったことにして下さい」って申し出た時の、厄介事が無くなったかのような表情は本当にイラッとしました。
そもそもうつ病になった原因は俺に非がない。
うちの家庭が機能不全家族だったから。 経済力のない俺は家から逃げられなかったよね。
それに小さい頃は家庭っていう小さな環境が自分の全てに思えたし。
うつ病のせいで、本当に俺の人生はめちゃくちゃ。 そのせいで、本当に親しい友達はいなかったし。ずっと底辺だった。
病院も転々と回ったけど、どこも良くなくて、結局3年がかりで色んな本を読んで何とか自力で治したし。
それなのにこの待遇っていうねw
もう本当にやる気なくすよ。
どれだけ臨床心理やりたいって思っても、俺より苦労してなくて勉強してないやつは出来て、俺は出来ない。
何だよそれ。
こんな感じでやる気をなくし、2年の後期は大学に行かなくなります。
しかしその後、先生から「私の考えは以前伝えた通りですが、今うつ病が半年以上寛解している現在、ドクターストップをかけるほどの状態ではないと判断し、受け入れることにしました。リスク管理をして、これから一緒に勉強しましょう」と言われます。
自分は何とか臨床心理系のゼミに入ることができました。
今回はここまでとなります。次回は、大学生編Ⅳ・まとめに続きます。長い文章を読んでいただきありがとうございました。