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展覧会レポ:八戸市美術館「大久保景造と八戸文化」ほか
【約3,600文字、写真約40枚】
青森県の美術館巡りの一環で、初めて八戸市美術館に行き「コレクションラボ007 大久保景造と八戸文化」などを鑑賞しました。その感想を書きます。
結論から言うと、「がっかり」でした。それは主に、青森県にある5つの美術館で「AOMORI GOKAN アートフェス2024」を盛り上げているにもかかわらず、八戸市美術館は十分に連動していなかったためです。建築は個性があって良いと思ったものの、それ以外で残念に思う点が散見されました。
展覧会名:コレクションラボ007 大久保景造と八戸文化
場所:八戸市美術館
おすすめ度:★★☆☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★☆☆☆☆
会期:2024年3月23日(土)~2024年7月8日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00~19:00
住所:青森県八戸市番町10−4
アクセス:八戸駅からバスで約30分
入場料(一般):無料
事前予約:ー
展覧所要時間:館全体も見て約30分
展覧撮影:全て可能
URL:https://hachinohe-art-museum.jp/exhibition/3385/
▶︎訪問のきっかけ
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青森県の美術館を巡る旅(2日間)の最後に、八戸市美術館に行きました。
▼青森で訪れた他の美術館
▶︎美術館へのアクセス
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この日は、午前中に、八戸駅→(バス1時間)→十和田市現代美術館→(バス1時間)→八戸駅→(バス30分)→中心街ターミナル→(徒歩5分)→八戸市美術館というルートで行きました。
八戸駅から中心街ターミナルへは、10〜15分間隔でバスが出ています。そのため、あまり時刻表を意識せずに向かうことができました。青森の電車やバスは、1時間に1本ということもザラだったため、安心しました😮💨
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バス停「中央街ターミナル」から降りて、徒歩約5分で八戸市美術館に到着します。美術館の目の前には市庁舎などがあるため、分かりやすいです。
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「ボタンをおすと水がでるよ🙋」とか言ってる場合ちゃう
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▶︎八戸市美術館とは
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八戸市美術館は、1986年から2016年まで別の場所で運営していました。その後、建物の老朽化などを理由に、2021年11月、市庁舎の目の前に開館しました(総工費約32億円)。比較的新しい美術館です。
元々は、八戸市出身の実業家・今淵正太郎が生涯に亘って収集した書画骨董などのコレクションを八戸市に寄贈したことから始まったようです。現在のコレクション数は約3,000点とのこと。
なお「AOMORI GOKAN アートフェス2024」とうまく連携できていないことは、私にとって最もネガティブな印象でした(後述)。
また、全体的な建築はシュッとしているものの「仏造って魂入れず」といった印象で「ハコモノ」感が拭いきれなかったことに加え、展示室などをもて余している様子からは、税金を使って素敵な美術館を市庁舎前にデーン!と造ったものの、それ以上の工夫をする気が薄いんだな、という感想をもちました。
ただ、子供が外で遊んでいたり、自由スペースで勉強している人がいる点は、地域の憩いの場となり、地域貢献につながっているな、と思いました。
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室内にも座る場所が多いことは良い
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▶︎「コレクションラボ007 大久保景造と八戸文化」感想
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大久保景造は、1936年に八戸市長横町に生まれ、2006年に没した、八戸で活動を続けた画家・詩人です。(略)油彩による抽象画や静物画、風景画、そして郷土芸能えんぶりの墨彩画と多様であり、さらに合唱曲の作詞、市民オペラの脚本、地元カルチャー誌の編集、新聞や広告の挿絵、そしてジャズ喫茶・バーの主人と多様な文化人でもありました。(略)「出会いと学び」を通して「100年後の八戸を創造する」美術館として、皆さんと一緒に「大久保景造と八戸文化」 を掘り起こし、100年後に手渡すことができたら幸いです。
展覧会場内の「ごあいさつ」にはしっかりと説明文があったにもかかわらず、HPに掲載されている展覧会の紹介が、あまりにもあっさりしすぎているため、情報量がほぼゼロでした。このような点にも、美術館の運営に対して「仏造って魂入れず」感をもたざるを得ません。
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フェルメールのように目にハイライトが入っていてキュート
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とにかく多趣味で、八戸に文化面で多大な貢献をした大久保景造氏のコレクションがたくさん展示されています。八戸出身でない私が見ても「へ〜…」という印象ですが、八戸出身の方が見れば、馴染みのある風景などがあるため「お〜!」と思うのではないでしょうか。
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▶︎その他の展示
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私が、八戸市美術館で最も「イケてないな」と感じたのは、企画展「展示室の冒険」が4月20日から始まることでした。
青森県では「AOMORI GOKAN アートフェス2024」と題し、県内にある5つの美術館(青森公立大学国際芸術センター青森、青森県立美術館、十和田市現代美術館、弘前れんが倉庫美術館、八戸市新美術館)が連携し、4月13日から、各種展覧会・イベントを開催しています。
それぞれの美術館は4月13日に標準を合わせて、その美術館独自の企画展などをスタート、もしくは開催中でした。
その中で唯一、八戸市美術館の企画展「展示室の冒険」は4月20日から始まっていました。なぜ、「AOMORI GOKAN アートフェス2024」が始まる4月13日から、企画展「展示室の冒険」を開始しなかったのでしょうか?
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かなり前から「AOMORI GOKAN アートフェス2024」が4月13日から始まることは分かっていたはずです。企画展の開始を1週間早めて、4月13日から始めようという意見は誰からも出なかったのでしょうか。
マーケティングとして、小さいニュースを小出しにせずに、最初にインパクトをもって集客するのは当然です。また、美術手帖などのメディアも4月13日から各美術館に取材しているのに、八戸市美術館の企画展だけ4月20日から始まるのでは、メディアにも迷惑がかかるし、せっかくの宣伝機会に企画展の特徴を伝えられない懸念があります。
また、企画展だけではなく「ジャイアントルーム」でも準備中の展示がありました。なぜ、企画展「展示室の冒険」を4月20日スタートにしたのか。意図が本当に理解できませんでした😨
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そのほか、多くないものの「AOMORI GOKAN アートフェス2024」に連動した展示が設置されていました。
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ギャラリー1では「大日本書芸院 八戸地区連合書道展」が開催中でした。
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土日なのにお疲れ様です
▶︎まとめ
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いかがだったでしょうか?建築には個性があるものの、企画展「展示室の冒険」が「AOMORI GOKAN アートフェス2024」に連動していないなど、美術館側の姿勢の面からがっかりした結果になりました。せっかく32億円をかけて造ったのですから、八戸市への観光客の集客と、八戸市に住む方への文化的貢献を真正面から実施していただくと良いかと思います。
▶︎今日の美術館飯
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地方にある百貨店にはついつい入りたくなります
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渋いラインアップ
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聞いたことがないブランドがほとんど
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青森と北海道は目と鼻の先だが「北海道物産展」はどこでも大人気コンテンツ
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