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食の好み。父とわたし、母といもうと。

父と私は食が合い、母と妹は食が合う。

例えば
父と私は果物が毎日食べたいほど大好き。
母と妹は果物がこの世になくても生きていける。

もちろん母は、私達姉妹を育ててくれていた頃は
それなりに食卓には並べてくれた。

りんご、みかん、バナナ、いちご…
スーパーで売られている、みんなが知っている果物に限っていたけれど。

いつも美味しくいただいていたのは、父と私。
妹は〈果物は姉担当〉だと勝手に決めたマイルールがあった。
そりゃ食卓にあっても一切手をつけないわけだ。

ちなみに、ここ数年の果物担当は私。
暑すぎたある年の夏、スイカ好きの父のために実家へ持って行った事がきっかけだった。

そして2年前に私が食べたくて持って行ったシャインマスカットが、まさかの母にヒットした。
嬉しすぎて、たくさん食べてほしくて、私は5粒で手を止めた。
相変わらず、妹には見えていないようだった。
まぁ、いいけど。

今年も〈土用の丑の日〉が来た。
実家にいた頃は、鰻が嫌いな母(もちろん、妹も)の代わりに私が鰻を買いに行って、父が鰻丼を作ってくれた。

蒸し温めてタレをかけて温かいご飯にのせる。
ただ、それだけだったが
父が作ってくれた鰻丼は、どの店の鰻丼よりも最高に美味しかった。

あれから何年たったのだろう。
父は年齢とともに好きな食べ物が少しずつ変わってきたと言っていた。

寄る年波には勝てないのは、頭ではわかっているつもりだ。
今日は父が作っていた鰻丼を真似て作ってみようか。

思い出と現実の狭間に 答えを見たくない私が
漂っている。

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