【読書】「やさしくわかる認知行動療法」福井至、貝谷久宜監修【⑨不安障害・治療法】
今回の読書感想は
「やさしくわかる認知行動療法」
福井至、貝谷久宜監修
【⑨不安障害・治療法】
不安障害について
症状と治療法をみていきます
パニック症
パニック症は
動機をともなう発作を起こし
発作への不安に苦しむ病気
発作自体は
命にかかわるものではないが
一度発作を起こすと
「発作が起こるのでは」
という過度の不安で過呼吸になり
発作が誘発されるという悪循環に陥る
主な症状
心悸亢進、発汗、身震い、呼吸苦、胸痛
吐き気、めまい、寒気、知覚異常など
認知行動療法のすすめかた
1 導入
身体感覚への破局的解釈が発作の原因で
落ち着いて対処すれば
発作を防げることを学ぶ
2 リラクゼーション法
身体感覚が変化したときにおこなう
呼吸法を学ぶ
呼吸法で過呼吸を防ぐ
3 自動思考の修正
PAF(パニック・アタック・フォーム)で
破局的解釈を修正する
4 エクスポージャー
身体感覚の変化に慣れる練習
発作が起こりそうな場面で
落ち着いて過ごす練習
5 フォローアップ
治療の成果を振り返り
不安が起こりそうなら対処法を考えておく
社交不安障害
人から否定的な評価を受けることに
強い不安や恐怖を感じる病気
恥をかいたり
他人の視線にさらされるような場面を
避けるようになり
日常生活支障がでる
「多くの人前で話す」
「他人の視線を浴びる」
「目上の人と話す」
といった場面に不安や恐怖感を
感じる人が多い
認知行動療法のすすめかた
1 導入
発症からの経緯や現在の症状
社会的場面における認知などを
明らかにして問題を構造化する
2 リラクゼーション法
不安をコントロールできるように
漸進的筋弛緩法や
呼吸法を身につける
3 認知的再体制化
行動評定項目で社交場面での
自分の行動を評価する
ビデオ・フィードバックで
評価のゆがみに気づく
4 エクスポージャー
不安度の低い場面から
社交場面に身を置き
不安を感じずに過ごせるようにする
5 フォローアップ
治療成果の振り返り
苦手な社交場面がないか確認
「ビデオ・フィードバック」
が効果的
自分の行動をビデオで見ると
実は普通だと気づくことも多い
恐怖症
特定の対象や状況に対して
強い恐怖心を感じる病気
対象や状況を避けるために
行動が制限され
社会生活に支障がでる
恐怖症5つのタイプ
・動物型
昆虫、犬にかまれたトラウマなど
・自然環境型
雷、地震、災害など
・外傷型
ケガ、痛み、血液、注射など
・状況型
飛行機、高い、暗い、狭いなど
・その他
病気、痛みに対する過度な恐れ
認知行動療法のすすめかた
1 導入
恐怖の対象や症状
トラウマの確認
2 リラクゼーション法
恐怖感を制御する呼吸法
3 エクスポージャー
恐怖感の低いものから順番に練習
4 フォローアップ
治療成果の振り返り
苦手なものを確認
恐怖症の治療で
エクスポージャー
が最も有効
1回3時間程度の治療を
短期集中的におこなうと
効果が高いことがよくある
強迫性障害
現実にはありえない考えをとめられない
「強迫観念」
無意味だとわかっていてもやめられない
「強迫行為」
強迫観念が起こると
強い不安や苦痛が生じる
それを軽減するために
強迫行為を繰り返してしまう
強迫行為で最も多いのは
確認行為
次に多いのが
洗浄行為
認知行動療法のすすめかた
1 導入
強迫観念によっておこる
自動思考や強迫行為の内容から
認知と行動の関係を明確にする
2 イメージ・エクスポージャー
強迫観念に関わる場面を想像して
恐怖感を弱める練習をする
3 曝露反応妨害法
強迫観念に関わる場面に実際に慣らす
4 フォローアップ
新しい強迫行為が
でてきそうになったときの
対処法を考える
全般性不安障害
さまざまなことに対する不安が
次々と起こり
その状態が半年以上続く病気
怒りっぽさ、イライラ、抑うつなどが
起こり、不眠や食欲不振
めまい、胸苦しさといった身体症状
にも悩まされる
多くの場合
うつ病やそのほかの不安障害を
合併している
認知行動療法のすすめかた
1 導入
不安、抑うつ症状の確認
2 認知的再体制化
破局的解釈や認知のゆがみを修正
3 リラクゼーション法
不安の対処法として
漸進的筋弛緩法や自律訓練法を学ぶ
4 イメージ・エクスポージャー
「こんなことが起きたらどうしよう」
という破局的イメージに慣らす
5 心配行動の停止
安全確認行動などを減らし
不安への反応パターンを変える
6 フォローアップ
新たな不安に悩まされそうになったときの
対処法を考える
PTSD
最も効果的な治療法は
持続エクスポージャー法
発症しても
約7割の人は
時間とともに自然治癒する
長引く場合は
SSRIなど薬物療法と
認知行動療法がおこなわれる
トラウマ的なできごとをイメージしたり
現実に向き合って恐怖感を減らす
持続エクスポージャー法が中心
認知行動療法のすすめかた
1 導入
トラウマ的できごとを確認
トラウマに関わる場面を避けることが
回復の妨げになっていることを理解
2 リラクゼーション法
不安をコントロールできるように
呼吸法などを身につける
3 エクスポージャー
トラウマ的できごとを想起
現実場面でのエクスポージャー
4 ホットスポット
もっともつらい場面について話す
抑えていた感情があふれ出すと同時に
症状が一気に改善することも多い
5 フォローアップ
治療の振り返り
つらい気分が再発したときの
対処法を考える
まとめ
不安障害に対する
認知行動療法をみていきました
治療の内容は
エクスポージャー法が中心
のようです
つらい体験に向き合う必要がある
ため非常に難しいのではと
感じてしまいました
エクスポージャーの前に
リラクゼーション法を獲得している
必要がありそうです
また導入段階で
認知のゆがみ、現状の理解など
問題に立ち向かっていく
「心構え」
ができていないと
継続的に治療に取り組めない
ことも多いのかなと感じました
非常に専門性の高い治療法だと
いうことが改めて学べました
これからも
認知行動療法については
勉強していきたいです