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ひとりごと

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日記のようなものや思い出を綴っています
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#風景写真

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どれを選んでも
それが間違っていても
あれこれ目移りしても
すぐに飽きてしまっても

代わりになるものは
容易に手に入ってしまう最近に生きている

周囲が騒がしい訳でもないのに
静かな場所を探すような感覚は以前からあって
その「うるさい」正体は未だに謎なんだけど

立ち止まって考える、いとまもないくらい
物も情報も手に負えないほどに飽和している様が
もしかしたら、それなのかもしれない

できるだけ

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日記のようなもの

日記のようなもの

薄曇りだったある日の夕方。
思っていたよりも早く仕事が終わったので、少し遠回りして帰ることにした。

3年ぶりに桜を見に行く。
そうは言っても、天気のいい昼間の満開の桜は贅沢で眩しすぎるだろうから
夕方の、できたら曇り空で、ずいぶん散ったあとの桜がいい。

どんなことでも「時間が解決してくれる」と至る所で良く耳にするけれど、
その効果を、いまいち実感できないまま
母が居ない三度目の春を迎えている。

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母を迎える二度目のお盆

二年経ったのかとうろたえもするが、過ぎ去る日々の速さに紛れて
やり残した後悔や謝罪の念が消え去ることも
淋しい記憶が薄まることもない

あのまま止まっているわけではないけれど

それでも

母が笑顔でいてくれるように
心配かけないように
ちゃんと日々を歩まねばと思う

やたらと疲れることが多いこちらの世界とは違って
母が居るところはきっと穏やかだろうから

居心地のいい場

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猫の機嫌と読書

猫の機嫌と読書

「本とか読まない人だと思っていました」

仕事で出入りしている医療機関には20程の医療情報システムが導入されていて私はそれらの統括を任されている。
定期的にシステムメンテナンスを実施するのだが、つい先日それがあって導入メーカーからシステムエンジニアが来院して一緒に立ち合い作業をすることになっていた。
名前をT君としよう。
このT君は以前にも別の医療機関で長期間作業を共にした経緯もあって、手が空くと

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四季

四季

歳を重ねるたび、一年が瞬く間に過ぎてしまい本当に365日を暮らしてきたのか疑いたい気持ちになる。
いろんなことを見落として、それすら気付かないまま生活しているのだとしたらもったいないことをしているなと思う。

ひと雨ごとに暖かくなる時期がきた。
次の季節に移り行く僅かな瞬間も趣きがあっていい。
梅雨の雨間に目が覚めるほどの青空が覗く時期、金木犀が香ってくる時期、日に日に空気が凛と澄んでくる時期。

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思い出の絵本

思い出の絵本

 小学生の頃、学校の図書室で見つけた一冊の絵本。
それは私たちが【お古本棚】と呼んでいた、読み古された本が並べられている隅の本棚の、一番下の列にありました。
何度も修繕された跡のある、古い古い絵本です。

 この物語は雪国が舞台で、おばあさんが子供の頃に経験した不思議な出来事をもとに物語が進みます。
どこからともなく聞こえてくる、かごめかごめの歌。
歌が聞こえるほうへ誘われるように夜の雪道を歩き出

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おしゃべりなおでん

おしゃべりなおでん

もう何十年も記憶から引き出されることのなかった、子供の頃のことを不意に思い出す。
街にひとつしかなかったデパート(今だとショッピングセンターとか呼ぶけれど)の階段登り口にあったおでんコーナー。
どうしておでんだったのかは知らない。
フロアから5段ほど下に降りるとそれがあって、ドーナツ状にカウンター席がある作りになっている。確か脇にテーブル席もあったと思う。
その真ん中には大きなおでん用の鍋が3つあ

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