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思い出の絵本

 小学生の頃、学校の図書室で見つけた一冊の絵本。
それは私たちが【お古本棚】と呼んでいた、読み古された本が並べられている隅の本棚の、一番下の列にありました。
何度も修繕された跡のある、古い古い絵本です。

 この物語は雪国が舞台で、おばあさんが子供の頃に経験した不思議な出来事をもとに物語が進みます。
どこからともなく聞こえてくる、かごめかごめの歌。
歌が聞こえるほうへ誘われるように夜の雪道を歩き出すと、そこには数人の子供が遊んでいますが、おばあさんに気が付くと、ふっと姿が消えてしまうのです。
そのかくれんぼのようなことを幾度か繰り返したその時、木々の間から大きな面を被った子供らがいっせいに姿を現します。
驚いたおばあさんは慌てて逃げて、通りかかった大人に助けられて無事に帰り着くのですが、その面を被った子供らは雪わらしだった、と言う内容。

もちろん物語も丁寧に進むけれど、何はさておきとにかく絵が美しい!
特に、六つの面の表紙。
初めてこの絵本を図書室の隅っこで見つけた時、背中がゾクッとしたのを覚えています。
読み始める前に、食い入るように表紙だけ見ていたこともよく覚えています。少し不気味に思えたのです。

物語は雪国の夜が舞台なので背景は漆黒。
雪の白さと、面の鮮やかな色の対比が本当に印象的で美しい。
暗闇に浮かぶ面の不気味さが、より際立ってみえませんか?

南のほうに暮らしているので、雪には馴染みがありません。
絵本に描かれている雪景色や、つららを羨望の眼差しで見ていました。

 この表紙の絵が強烈に印象に残っていて、大人になった今でも冬になると思い出す一冊です。

同じ絵本、ご存じの方がいたら嬉しいな。


※写真は、随分前に出張で帯広に行った時のものです。移動中のどこかの駅で感動して寒さも忘れて写真を撮りました。

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