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1月 読書記録|こんな大人になりたいな
小さい頃から本を読むことが好きで、小学生の頃は読書感想文を嬉々として書く子供だった。
大人になってから本を読むことはあっても、読後の感想をアウトプットすることが中々なかったので、noteを始めたことをよききっかけとして、毎月読んだ本に関する記録をつけていきたい。
『アロハ魂』 小林聡美
30代も半ばに差し掛かると、「どんなおばさんになりたいか?」ということを考えることが増えた。
(誤解してほしくないのがここで言うおばさんとは、いい意味のおばさんである。自分がいずれ歩むことになろう年代について、親しみを込めて指す言葉である)
わたしの中の不動のTOP3は、石田ゆり子氏、片桐はいり氏、そして小林聡美氏である。
2025年一冊目は、そんな小林聡美氏の『アロハ魂』を読破。
2024年の12月に人生初のハワイ旅行を経験したわたしは、ハワイ島の魅力に取り憑かれてしまっていた。
ホノルルがあるオアフ島も、ザ・アメリカンなグルメや沢山の観光客で賑わうショッピングモール、そしてワイキキビーチなど心躍る場面はいくつもあったのだが、オアフ島から飛行機に乗り訪れたハワイ島にわたしは心を撃ち抜かれたのである。
どこまでも続く雄大な牧草地、溶岩が作り出した黒くゴツゴツとした大地、島の東西でガラッと表情を変える気候、そしてホノルルとは比べ物にならないぐらいゆっくりと流れる時間。
滞在はたったの4日間だったが、わたしはハワイ島の虜になってしまった。
帰国後もハワイ島に関するありとあらゆる情報を探し求めていたわたしは、「有名な人がハワイ島に行ってどんなことを感じたのか知りたい。」とふと思い、この本に辿り着いたのであった。
JALがまだ成田空港からハワイ島への直行便を運行していた頃に、著者とクルーがハワイ島を訪れ、その雄大な自然やハワイ島で暮らす人々(ときに動物も)と触れ合った出来事が写真と共に綴られている。
読んでいるといつの間にか小林聡美氏のあの中低音ボイスで脳内再生されてしまうが、それがなんだか心地よかった。
飾らない姿や真っ直ぐな視点はどのエピソードもなんだか身近に感じられ、近所のお姉さんから直接旅の思い出話を聞いているような気持ちにすらなった。
そして凛として芯が通っているイメージが強かったが、意外と(失礼)かわいらしいところが沢山あり、小林氏の人としての魅力も伝わってくる一冊だった。
昨日のパンケーキに続き、今日も朝ごはんにワッフル食べていいんですかっ。あの小さく並んだ四角いくぼみに、柔らかくなったバターを埋め込んで、その上からメープルシロップをたらーり……。想像するだけで幸せな気分だ。パンケーキ、フレンチトーストに引き続き、ワタシの三大洋食朝ごはんのひとつである。
…かわいくないですか?
にこにことしながらワッフルを食す小林氏の写真がとても可愛らしく、お気に入りだ。
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オムレツのサイドメニューがパンケーキという衝撃。
そしてこの一冊を読み終えたわたしのハワイ島への愛はますます高まり、ハワイまでの航空券価格を夜な夜なインターネットでチェックする日々を送っている。
『ももこの世界あっちこっちめぐり』 さくらももこ
小学生の頃に初めて、かの有名な『もものかんづめ』を読み、衝撃を受けた。
ちびまる子ちゃんを描いている人って、こんなに面白いの…?
(そして友蔵って実はやなヤツだったの…?)
これを書いている人の中身はまるちゃんなんだから、面白いに決まっているか…などとよくわからないことを考えながらも、面白さのあまり一日で『もものかんづめ』を読み終えると翌日には母に頼んで書店に連れて行ってもらい、さくらももこエッセイ三部作の残り二作品『たいのおかしら』『さるのこしかけ』をお小遣いで購入したのであった。
それからわたしはコジコジにもハマり、さくらももこにしか表現することのできない、シュールでありながらも哲学的な世界が大好きになった。
今回久々にエッセイを購入し読んでみたら、やはりまあ面白いこと。
この人のエッセイを読むたびに、「天才ってこういう人のことを言うんだな」と感じる。
本著は雑誌non-noの企画で、1996年5月から約半年間にわたり、さくら氏が世界のあっちこっちを旅した記録である。
スペイン、イタリア、バリ島、アメリカ、パリ、オランダ、ハワイ…このゆく先々での様々な出来事が、「ももこ節」で綴られている。
きっとどんな出来事であっても、そしてインパクトのある出来事がなくても、さくらももこの手にかかれば読者は大満足をする(言わずもがなそれくらい文章が巧い)のだが、やはり海外旅行なので沢山の予期せぬ出来事が起こる。
旦那さんの治らない腹痛や、バリ島での心温まる画家との出会い、父ヒロシの夢が叶った瞬間、探し求めていた時計、そして初めてのハワイ…
(ちなみにハワイ島でさくら氏が訪れたレストランでわたしも夕食を食べ、まさかの食後のデザートのメニューまで一緒だったことを知り、嬉しかった)
こんな感性を持って世界中いろんな所に行けたなら、どんなに楽しく心が満たされるだろうか、と心底羨ましくなった。
また、これまでエッセイを読んだりさくら氏の言葉を見たりした際に、語弊はあるが「どこか冷たいところがある人なのかな」とわたしは感じていた。
冷たいという表現が適切ではないというのはわかっているのだがうまい言葉が見つからない…あまりに超人的な才能の持ち主すぎて人生割り切っているというか。
きみはきみ、わたしはわたし。以上。というか。
しかし、先日開催されていた「さくらももこ展」に足を運び、その考えはガラリと変わった。
家族や周りの人たちをとても大切にしていて、そして家族や周りの人たちからもとてもとても愛されているということが伝わった。
特に息子さんに関する愛溢れる作品群を見て、わたしは大きな勘違いをしていたんだなあと思い知らされた。
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さくらももこ展にて
本著の中でも、さくら氏の優しさや温かさ、そして我々一般人と同じように旅先で見た景色に感動する姿などが随所に渡って散りばめられており、なんだか嬉しかった。
そしてもう一つ、驚いたことがある。
どこの国に行く時にも湯わかしポットとお茶っ葉を持って行き、暇さえあれば緑茶を飲むのが私の習慣である。その国に行ったらその国の飲み物を飲んで楽しめばいいじゃないかと言う人もいるだろうが、私は緑茶にて生命力の約40パーセントぐらいを維持しているのだ。
さすがお茶どころ、静岡県は清水市の出身である。
しかし、緑茶で生命力を維持しているとは言えないわたしでも、海外旅行中は無性に温かい緑茶が恋しくなる瞬間ってあるよなあ…と妙に納得してしまったので次回からはまねっこさせてもらおうと思う。
おわりに
1月読んだ本はどちらもエッセイだった。
これまでわたしは専ら小説を読むことが好きで(しかも絶対に女性作家。男性作家の作品とはあまり相性のいいものに出会うことができず、なかなか手が伸びていない)、エッセイを選ぶことは少なかった。
しかし年齢を重ねていくうちに、「他人の生き方や考え方をもっと知りたいかも」と思うようになり最近は少しずつエッセイにも挑戦している。
小林聡美氏もさくらももこ氏も、芯があり自分の好きを見失わずに等身大のままの姿を綴り、そして本として残してくれ、わたしもその感性に触れることができた。
こんな大人になりたいな。
わたしもわたしなりに感性を磨きながら、よいおばさんになれるよう精進したい。
2月も目標は最低でも二冊読んで、こうして記録に残していければ。