短編小説『ちいさな世界』
私の知っている世界と、ここにほんとうに存在している無限の世界は、重なってはいても「同じ」じゃない。
大学を卒業して、私が最も強く感じたのは、そんなことだった。
そこには、私には到底なれそうにない、思考に深さと広がりをもった、知の巨人のような人たちが、沢山いた。
どうしたって読み切れない程の本があり、何回生まれ変わろうと学びきれないだろう学科ばかり。
この人生で、私が知り、理解し、感じることができるのは、広くて果てない世界の、ごくごくほんのわずかなのだ。
私が、この世界の