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詩:家族中毒

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だいぶ前に書いた詩を1つにまとめたもの。ちょっと恥ずかしい。
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2014年8月の記事一覧

家族中毒:生きた光景

日が沈み一日が終わりを迎える。
 黄昏。
 
光と影が美しく境を築き、
陰影の立体感が生命の躍動を描く。
 
この印象深い光景に、
        君は 何を見た。
 
陸橋の上で私達は一層立体的になり、
表情の一つ一つ、シワの一筋ですら、
肉の弾みを思わせる
はずなんだ。
 
夕が来て日が沈む。
並列なオフィスビル。
一緒に並ぶ街路樹。
行き交う人々。
立ち尽くす私と君。
 
君の遠い目。
湛え

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家族中毒:泣きたくないからぶっきらぼう

華やぐ空間に若者たち。
寒さと対比するように太陽が、
彼らの明日を賞賛する。
 
されど冷たい面を湛えた君は、
 
華やぐ広場で華やかな衣装を纏ながら、
華やぐ己の成長をまるで、
恨むようで。
 
そう、賑わっているのは衣装だけ。
君の体はそれを否定して、
表情だけでものを語り、
内面は研ぎ澄まされた刃物のように
鋭利で、
 
己の境遇を切りつけるのだろう。
 
晴れが辛いか。
今日はハレの日だ。

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家族中毒:仮想からの重圧

好きな本を手に一冊。読んでいると、とても心地が良い。だって、好きな本なんだから。何が良いって、あの子がとても不幸で大変だったのに、頑張って自分が成長することで、その不幸から脱出していくんだ。その姿はさ、私にとっても凄く力になる。この作品があるおかげで、あの子の人生を応援したくなるし、あの子が頑張り続けているから、私もそれを励みに、くじけることなく頑張っていけると思う。私はあの子が幸せになる姿が見た

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家族中毒:種子

「本当ですか?」
瞳が揺れる。
彼女が 生き物であることに気付いた。
 
「はい」
彼女が 命に気付いた。
生命を宿す選択示に。
 
それはただ事ではない。
恐怖だろう。
嬉しい  違うよ、恐怖。
 
知り合い 友達 親友 恋人
 
家族
 
それは怖い。
 
想像できない。
全てが壊れる気がして。
 
私が何をする。
私が何をされる。
巣食った経験 記憶は、
彼女の底まで根を張っている。
 

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