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30秒で読める小説 / 古今東西の「愛してる」

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古今東西の「愛してる」シリーズをまとめています。
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#140文字

古今東西の「愛してる」:筆談

古今東西の「愛してる」:筆談

どんどん便利になっていく。
彼女もそう思っているはずだ。

僕らの会話はいつも、携帯のメモ帳で繰り広げられる。
僕が入力し、彼女が入力し、二人で読んで笑う。
それをお風呂でもできるんだから、幸せ以外の何物でもない。

「愛してる」

寝る前に見せてきたその4文字は、
なんだか照れてるようにも見えた。

===後記===

「時代は5G」だとか「AI」だとか、どんどんテクノロジーは進化していくみたい

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古今東西の「愛してる」:灰色

古今東西の「愛してる」:灰色

愛は国境を超える、と誰かが言った。
でも、それは恵まれた人のセリフだと思う。

高さ10mはあるこの固い灰色は、川下にあるダムのように、私たちの想いを堰き止める。

看守の目を盗んで投げ込まれる、
「愛してる」
の走り書き。

声しか知らないあの人に、応えられる日は来るのだろうか。

===後記===

日本という島国に生まれたためリアリティが無いが、海外に行くと「国境」の存在を感じる。
古くはベ

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古今東西の愛してる:出会い方

古今東西の愛してる:出会い方

たとえば。

朝、曲がり角でぶつかった人。
本を取ろうとして、偶然手が触れた人。
交通事故から間一髪、助けてくれた人。

運命の出会いはいつも突然だ。
誰しもが、そんな宝くじに当たるような奇跡を
期待しながら生きてるはず。

それならば、マッチングアプリで会ったこの人が言ってる

「愛してる」

は、一体?