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小林 奈那子
2020年9月14日 15:33
魔法使いになりたいガールだった頃から、どうしたら現実の世界で自分が「魔法」を使えるようになるのかを、ずっと考えていた。考え至ったその結果、私は音楽家として生きることになり、香りの使い手となった。学生時代からずっと幾多のレポートやノート、論文の執筆をこなして、テスト前に単位を落としそうな知人友人を救ってきた(私もまた救われてきた)のも、「魔法書」の著者気分だったから。これからの未来も、日々を彩
2020年7月6日 19:01
これは2018年7月、東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に出演させていただいた折の、音と香りの妄想記録を加筆修正したものです。---------------------------------------------------------------------------標題音楽と香りのコーディネーションただいま弾かせていただいているのは、記録的暑さの東京にひとときの涼を音楽で与
2020年4月29日 15:01
これは2017年12月、新国立劇場で上演されたリヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ「ばらの騎士」に、東京フィルハーモニー交響楽団のエキストラとして出演させていただいた折に、個人的な投稿としてFacebookに書いたものを加筆修正したものです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー昨日から今朝にかけて、香りという切り口から《ばらの騎士》への妄想を繰り広げていたら、田
2021年1月8日 20:11
寒くなればなるほど凛として、暑くなればなるほど涼やかに甘い。もっともっと欲しくなる香り、それはネロリ。私はあらゆる物事に対して起こる「恋」という現象が大好きだ。心の内側でポッと「なにか」が発生する感じ、その空気感、雰囲気。恋は薔薇色と言ったりもするから、対象あってのシチュエーションにはローズの香り、というのは自然なこと。でも私は、ネロリほど「恋」に似合う香りはないと思っている。対
2022年4月11日 12:59
先日、オリザ・ルイ・ルグランという香水メーカーの作品を取り寄せた。フランスから届いた小さな小包をドキドキしながら開封したとき、鮮やかでしあわせな記憶として、この先ずっと私の中に残るだろうなと思ったので、一度記録しておきたいと思う。1720年フランスで創業した香水商オリザ、カタログを見ていても、その作品の生まれた年代を追いかけるのは本当にロマンがある。1720年、1862年、1884年、1886
2022年4月11日 12:58
普通ならば世間一般で爽やかと称されるハーブの香り。それらをまるで燃えるようだと感じたのは、チェコの首都・プラハでのこと。街中に咲くラベンダー、アパートの窓を飾るゼラニウム。石の香りはヴィート教会で、ワックスのかけられた図書館の床の香りはストラホフ修道院で覚えた。中央図書館にハイドンの協奏曲の自筆譜が見たいと言って乗り込んだときの、楽譜や本のインクの匂い。チェコ・フィルハーモニーの本拠地