1場面。立体的に。
男が二人窓枠から外を眺めるように立つ。
一人は窓枠にもたれかかっている。
一人は窓から一歩離れている。
「で、お前はあの子に何がしてやれるの?」(呆れたような期待したような態度で)
窓枠にもたれかかった男が、もう一人にそう問いかける。
一呼吸ぶんの間
「わからない」(表情は固め。眉根を寄せている)
かぶるかかぶらないかのスピードで
「わからないって、おまえ…」(若干の苛立ち。窓枠に寄りかかるのをやめ相手を軽く睨む)
わからないといった男は、寄せていた眉根を解き、窓枠の男の方に少し体を向け一呼吸。
「でも(1拍置く)好きだ」
一呼吸分の沈黙。
「可愛く笑うところが好きだ。優しく手を差し伸べるところが好きだ。誰にも負けない強さが好きだ。人と違う感性が好きだ。彼女が彼女であることが好きだ(一息に。宣言するように)」
「誰になんて言われても、それだけは変わらないよ」
沈黙。
風の音。
鳥の声。
「なら、何ができるのか考え続けろ。そして、やれ。」(大きめの呟き声)
静かに淡々と窓際の男。目は合わせず、再び窓の外へ視線をむける。
何かを決意した窓から離れた男。同じように窓の外へ視線を向ける。
窓の外から聴こえる軽めの足音。
謎に台本みたいに書いてみた。
ま、台本見たことないけど。笑
いや、ただ、最初の台詞を書きたかっただけっていうね。
「で、お前はあの子に何がしてやれるの?」
何をしてやれるの?じゃ、駄目。
何がしてやれるの?がいいの。
なんとなく。
そして、それの答えは様々なんだろうな。
あの子がどんな子かにもよるし、
それを問われた人間の年齢にもよるかな。
コンクリート打ちっぱなしみたいな無骨な建物の外では多分、草花が陽の光に照らされている。
暗い室内から見る、眩しい外は、神々しさも感じてしまう。
なのに、スッキリしない、どこかやるせない気持ちで窓枠の男はそう問いかけたのだろうと、私は想像する。
男は期待した。
相手に期待したんだと思う。
水面下ではバタバタと足を動かす白鳥みたいな人なんだろう。
飛び立たない雛鳥に苛つくのは、己が本当は必死だってわかってる、自己嫌悪みたいなもの。
けれど。
だからこそ。
計算無しの、羽ばたきは、真っ直ぐ窓の外へ。
ひとつの台詞から登場人物が勝手に動き出すのが面白いなって思う。
けして、私が知ることの無い彼らの人生があるんだろう。
ドキドキする。
ワクワクする。
同時に、切なくてどうしようもない気持ちになる。
私の心はこうやって動いている時がある。