とげとげしい言葉を発していないだろうか〜絵本『ことばのかたち』
今日紹介する本は、絵本『ことばのかたち』(講談社)。絵本作家おーなり由子さんの作品です。やさしげでみずみずしいタッチのカラフルな水彩画の表紙、ハッピーオーラにあふれていますね。
話し言葉やSNS発信の文章に、色やかたちを感じることはありませんか?
わたしは感じます。無意識に脳内で色やかたちに変換しているようです。これが当たり前のことだと思っていたのですが、どうやら他の人にとっては違うようなのです。
この「誰かが発する言葉」に対してなにげなく考えていたことが、見事に言語化され、絵で表現されていたのが、おーなり由子さんの『ことばのかたち』でした。
“話すことばが目に見えたら、どんなかたちをしているのだろう”
やわらかな笑顔で手をとりあうふたりの少女の挿絵とともに、こんなふうにはじまります。
朝、わたしが家族に発した「おはよう」を思い返してみます。たった4文字のシンプルな挨拶のことば。それぞれみんな、どんなふうに受け取ったのでしょう。
ふんわりと笑顔で「おはよう!」と言っていれば、元気を伝えられているでしょう。あざやかなガーベラのように。
でも、せかせかと忙しければ、顔を見もせずに「おはよっ」と吐き捨てていたかもしれません。登園時間がせまっていてものんびりと寝ている子どもに対しては「早くしなさい」といった焦りの気持ちが乗り、重い言葉に聞こえるのかもしれない。霜に当たって凍えていそうな白いサザンカのように。
「おはよう」は、1日のはじめにかける言葉。おおげさに言うのなら、かける「おはよう」で最高の日になれ!と、魔法のごとくポジティブなオーラを感じ取ってくれるくらいがちょうどいいのかもしれません。
今朝は、どんなお花を手渡そうか(ワクワク)。
こんなふうに心がけたい。まいにち交わす挨拶だからこそ意識しようと、ちょっと反省しました。
“もしも ことばが 目に見えたら”
インターネットが発達し、誰もがアカウントさえ持てば、匿名で自由に発言できるのが当たり前の時代になりました。
しかし、顔が見ないのであれば、バレなけば、何を言っても許されるだろう思い込む人のなんと多いことでしょう。某掲示板を皮切りに悪質な書き込みが当たり前となり、陰湿な発言など誹謗中傷は跡を絶ちません。
針のように人の心を刺し、エスカレートして出刃包丁に変えてでも、執拗に痛めつけてくる人もいます。
一方で、家族だからといって暴力的な言葉で支配しようとする人も。しつけとして怒鳴った。正しいことをわかってもらいたいと思って語気が荒くなった。どんな理由であれ、言葉の暴力で目の前を傷つけているのです。
おそらく、目の前で痛みでうずくまり血まみれになっている姿を見てはじめて、きっと後悔するのだろうと思います。
「相手がどう感じるのか、想像力をめぐらせよう」
この絵本で訴えているメッセージです。
さいごに
偶然にも、Twitterのタイムラインで流れてきたこちらのツイート。
心持ちは、その人が選ぶ言葉に表れます。また、温かな気持ちは口調からも伝わります。
どんな言葉を選んで、どんな声色で伝えるのか。美しいものにふれる時間が多ければ多いほど心が満たされ、発する言葉にも表情に反映されていくような気がします。
目の前の人と幸せな時間を共有するための言葉を、ふやしていきたいものですね。
あなたはどんな言葉を、心の引き出しに集めていきますか?
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