歴史小説「Two of Us」第３章Ｊ‐17

～細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯～
第３章　本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
　　　　(改訂版は日本語文のみ)
　　　　The Fatal Share for "Las abandonadas"

Ｊ-16　～ Find Out A Way & A Faith ～

　初老の庭師にとっては、この世のモノとは思えない気高い美しさに、ただただ見とれてしまっていただけだ。
　広い庭に住む妖精でも見つけたように、心躍らせていた。

　細川の屋敷が着工される時点から、この内庭のデザインや枝ぶりの剪定を任されていたが、あんな浮世離れした女人は、見たこともない、、、世話になっていた池田様が腕前を買ってくださっての任務だが、、、と、目の錯覚だとでも言いたい面持ちで、再び下がり松の枝ぶりを完成させようと、励んだ。

　あなた珠子はその不躾な眼差しに面食らったが、悪気はないことが見て取れ、すぐに笑顔に変えた。

「おおきに。ごくろうさまでござります」

　庭師の背中に向かって、軽く会釈した。