えすぎ・あみ~ご
まだ始めたばかりですが、順次追加いたします🎶
prologue--- Ms.OMOTO MEETS HER --- Vol.1A long long time ago........well, about 150 years ago. One day, a lady from arrived at YOKOHAMA in JAPAN, from the Christian countries. むかしむかし、、、そうねぇ、150年くらい前でしょうか。 ある日、ひとりの女性がニッポンのヨコハマに辿り着いたんです。
~細川忠興&ガラシャ珠子夫妻の生涯~ 第2章 明智珠子の御輿入れ~本能寺の変 J-8 朝げの時間は、明智家ではとても静粛だった。 あなた珠子は一汁三菜五穀米のお膳立てを、向かい合わせで夫婦ふた組が食す事にかなり慣れて来てはいたが、細川家では、並んで座する舅の藤孝と姑の麝香(じゃこう/公卿の沼田家出自)が実によく語らう。 焼き魚は丹後・若狭よりもむしろ、上方・堺からの水揚げなので種類が豊富であり、山菜料理も竹の子や与一郎忠興の好きな蓮根や堀川牛蒡、そして鶏肉もキジ料理
~雪降る前のスキーヤー@Halloween過ぎた神戸~ Vol.6‐③ 冷気を取り入れようと、私は窓を外へ押し開いた。 出窓から下を覗き、初めてここが地上5階の高さだと気づいた。ホテルの部屋は〈金太郎飴〉みたいにみんな同じ間取りだけれど、一つ一つの部屋に一泊以上の物語があるのだ。私はその一つで、ナカサンの過去の物語を聴いていた。 必要以上に感情移入しないよう、頭を冷やすつもりで換気をしたのだが、この高さからでも、地上の繁華街路ではハロウィーンのコスプレが闊歩してい
~初秋のスキーヤー@Halloween前の神戸~ Vol.6‐② ナカサンはマルボロ・ライトを1本くわえ、また淡々と語り続ける。 「ミュージシャンの仲間にはさぁ、すっごい嫉妬心の深い奴と、全然我関せずって奴と、極端に二通り居るんだよね。 ヤキモチ焼きの奴になると、毎日何度も電話して『今は何してた❓』とかしつこく訊いてるの居るわけ。俺、解かんないんだよな、感覚的に。 それまで別々の人生送って来た同士が出逢うんだから、重なり合わない部分が有って当然だと思うわけ。一人一
~初秋のスキーヤー@Halloween前の神戸~ Vol.6‐① 「ネェ。今日連れてた女の子って、ずっと友達❓」 「ううん、最近。ほら、六月の〈里帰りLIVE〉に行ったでしょ❓あの時あの子が声をかけて来はったの」 「何て❓」 「えっとね。『ジョージさんのファンでしょ❓』って、偶然同じテーブルで。『はい、そうですけど』って答えたら、ナカサンのファンですって言わはったの。何て娘やったかな❓連絡先書いたメモ、今日もらったんやけど」 「俺、信じらんないよ、初対面の奴に自分から声か
~初秋のスキーヤー@Halloween前の神戸~ Vol.5-⑤ 一度引き出しを開けると、次から次へと甦って来る。 ピアノの上手な同級生が居たのに、小学校のコーラス・コンクールのステージでピアノのバンマスに抜擢されて、開き直り根性を身につけた事。 飽きっぽい性格なのを指先が短いせいにして、他の娘が褒められた曲は上達しなかった事。 恐ろしく厳しいダメ出しする講師に付いて、以後感情を露わにする人物や〈教師〉という職業を嫌悪した事。そのくせ、自分もスキー講師をしていた
~初秋のスキーヤー@Halloween前の神戸~ Vol.5-④ サイドテーブルのスウィッチを押しながら、彼は云う。 「どの道、ウォークマンじゃ聴けないし、流すだけならインストものでも好いよ」 手持ち無沙汰に部屋を眺めまわしてから、ナカサンは 「缶ビールある❓」 と尋ねた。 好きなの飲んで、とばかり私は金庫みたいな形の冷蔵庫を開けた。キリンビールに手を伸ばしたナカサンを視て、いつもは『何か飲む❓』と先に気を回してしまう自分が、他人と居て気配りを忘れている事に、ハタ
~初秋のスキーヤー@ハロウィーン前の神戸~ Vol.5-③ トアロードのとある和食の店で、友達と私は焼き鳥や焼き魚をつまみながら、アルコール抜きで共通の話題に華を咲かせていた。 彼女は、ナカサンがジョージのバンドに来る前からのファンだと言う。ナカサンの奏でるバラード曲を聴くと、『よし!もう少し仕事続けてみようか』という気持ちに成るのだそうだ。 彼女のうつむき加減に照れながら語る姿に、デビュー当時からジョージのファンらしき年上の女性達が重なって視える。既に社会人だっ
~晩夏のスキーヤー@ハロウィーン前の神戸~ Vol.5-② ライヴハウスの店内は、既に後片付けが始まっている。 缶ビールでひと息ついているナカサンのもとへ私は寄って行き、声をかける。 「今日のLIVE、ホントに楽しかった。ありがと」 ステージ傍のテーブルに向かい、スツールに腰かけているナカサン。爽快な笑顔を見せ、こちらこそ、と応えた。 「京都の時より、好かったよ❓」 「ホントに❓俺もそう思った」 ナカサンはスツールを勧めながら、続ける。 「あの夜は世話になったね
~晩夏のスキーヤー@五山の送り火を過ぎた京都~ Vol.5-① ナカサンと出会ってから3年以上になるが、一緒に飲みに行くのは初めてだ。積極的に誘ったのは友達のケイコの方だった。 私は正直あてにはしていなかった。すっぽかされて泣いていたグルーピーみたいな女の子の姿も観て来ているから。 「ダメでも電話だけは入れて来て」 と、ケイコは念を押した。 私はその様子に背中を向けて、『来なくっても私の知ったこっちゃないよ❓』と決め込んだ。BIG BANGのライヴの間だけでも、
~晩夏のスキーヤー@五山の送り火を過ぎた京都~ Vol.4-③ 肩に温かい感触が、降りた。 何気なく首を後ろにもたせかける。後頭部が、池田君の折り曲げた膝の内側に、ビクッとする程すんなり納まってしまった。反対の足を立膝にしてベッドに寝そべっている彼の掌は、熱を持ったまま私の肩の上を動こうとしない。 結局、こうなってしまうんや。。。 当たり前やないの。付き合ってる男と女が夜遅く二人きりで居るんやから。池田君がそんな気持ちに成ったって。。。 私は既に、諦めに近い
~晩夏のスキーヤー@五山の送り火を過ぎた京都~ Vol.4-② 御所の蛤御門に近い月極駐車場から並んで歩き、池田君ちを訪れた。学生時代にひょっとしたら、近辺で頻繁にすれ違っていたのかもしれない。 池田君の部屋は雑然としている。狭くもないのに物が有り過ぎるのだ。20 年余りの間に所持品が積り積もった事を、壁の剥がれかけた懐かしアイドルのポスターが物語っている。昔ながらの家屋に妙に馴染んだ最新オーディオ達をもの珍し気に眺め、私はどこに落ち着けば良いのか迷った。 私は
~晩夏のスキーヤー@五山送り火を過ぎた京都~ Vol.4‐① 午前8時過ぎに退社した後、池田君と繁華街に出た。月曜だというのに、木屋町通りを周遊する人波は絶え間ない。繁華街の数が少ないせいか。 どちらかというと、昼間の北山通沿いの方が好きだけど。定休日を明日に控え、幾分か開放的な心持ち。 そう云えば学生の時、南欧文化史のルイス教授が『大坂、小さな都会。京都、大きな田舎、ね⁉』と、仰っていた。 仕事を終えた後帰宅するべく河原町通りを歩く時、ふらっと脇の路地へ入り
~真夏のスキーヤー@祇園祭を過ぎた京都~ Vol.3-⑦ 弘也は、ユニフォーム姿でゲレンデ中を駆けずり廻っている私を知らない。どこかに出かけてデイトしたのは、スプリングスティーンとブライアン・アダムスの来日コンサートくらいだ。 それでも、どんなに説得しようと思い込んだら振り向かない私を、弘也は知っている。感覚で決断した意志を、理屈や感情では譲ったり曲げたりをしない性格である事を。 最初だけ引き留めると、「お前にはスキーがあるんやな。。。」と呟くように言っただけだっ
~真夏のスキーヤー@祇園祭を過ぎた京都~ Vol.3-⑥ いつもの時刻発の電車に駆け込み、危うく遅刻を免れた。 私のタイムレースは、会社に到着する50分前から始まる。昨夜からの珍客、池田君を朝早く追い出した後、他人の匂いを拭い去るべく部屋を片付けている内に、スタートに出遅れてしまったのだ。 帰宅した時、『我が城』に他人の抜け殻が残っているのは、妙に嫌だ。それが肉親でも腐れ縁の友人でも。独り暮らしを始めてから、『我が城』に単独で乗り込んで来たのは、弘也だけ。 そ
~真夏のスキーヤー@祇園祭を過ぎた京都~ Vol.3-⑤ 1部のステージの後、メンバー達は各々知人のテーブルに紛れ込んで来ていた。 化粧室へと立ち上がった時、ひときわカン高い女性達の笑い声が響いた。見渡すと、中央最後尾ミキシング・ルームの前のテーブルで、女性ばかりを笑わせているナカサンの姿があった。 相変わらず、軽いヤツ。でも憎めないな。 私は苦笑しテーブルを離れた。生憎化粧室は混んでいたので、ナカサンに声をかけようかと思ったが、にぎやかな雰囲気を観て素通りを