少年が来る(読書感想文)
以前1冊だけ読んだ韓国のお話が心に強烈に残ったので、また何か読んでみたいと思っていた。ノーベル文学賞を受賞したというニュースを見て、漢江氏の本を数冊図書館で予約した。
最初に来たのがこの本。内容を知らずに手にしたけれど、先日韓国映画「タクシー運転手」を見てずっとモヤモヤしていた光州事件の話だった。
光州事件で命を絶たれた方々への鎮魂の書であると同時に、人の弱さに触れる本でもある。
人はちょっと間違った方向付けで凶暴にも残酷にもなり得る。良い生き方をしたいと願う中で、人の中にある残酷な部分を忘れないためにも、過去の過ちは語り継がれるべき。
私の国でも語り継がなければいけない話はたくさんある。なかったことにして自分たちの弱さを無視していると、また同じ過ちを繰り返す。
美しいことばかりでなくてもいい。自分の中の悪に目を向けるからこそ正しく生きられるのかもしれない。
韓国文学をまだそんなに知らないけれど、詩的な表現でシンプルな文章に見えるが、同時に心えぐられる強さを持っている。不思議なほど心に入り込んできて、ずっと留まる作品だった。読んで数日経つけれど、ずっと彼らの声が聞こえてくる様だ。
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