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悲しみとともにどう生きるか(読書感想文)

 最近立て続けに読んでいた東畑開人さんの魅力に惹きつけられ、図書館でお名前を入れて検索して出合った本の一冊。新書ってだけでなんだか難しそうだと思っていたけれど、ここに連なる方々にとても興味が湧いたので開いてみた。
 
 読み進めるにつれ、この本に出会えて本当に良かったと喜びが込み上げる。言葉一つ一つの深さや広がりに、自分のちっぽけさをこれでもか、と思い知らされながらも暑い日に喉がカラカラになった時に差し出された冷水みたいに、ゴクゴク飲み干したくなる。私は「知ること」に飢えている。「考えること」をためらっている。

 生きていると、避けたくなる様な不安や恐怖があるけれど。「自分は関係ない」と避けて通れば幸せに暮らせるのだろうか。考え続けて、知ろうとし続けていいんだよ、と本が語りかけてくれる様で、猛暑の鬱々とした気持ちが吹き飛んだ。

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<心に残ったフレーズ・言葉>(順不動)

●命や死には人称性があり、誰の死かによって死の意味は変わる。(柳田邦男)

●意味のある偶然(河合隼雄:引用)

●自信とは、ほかの人よりも秀でていることではなく、自己への信頼にほかなりません。(若松英輔)

●人間が変わるのに時間はいらないと思うのです。(若松英輔)

●大きなうねりのようになっている社会の言葉に、自分の言葉が吸い込まれていく。(星野智幸)

●重要なことは、ケアとセラピーだったら、基本はまずケアです。ケアが足りているならば、次にセラピーに移る。仮病でいえば、まずは休ませて、それでまだ何日も仮病が続くようなら、「仮病だよね」という話をしたほうが良いということですね。(東畑開人)

●何かよほどの事情があれば人を殺していい、という思想自体を社会の中からなくしていかないと、殺人という悪自体が永遠になくならないのではないかと考えるわけです。(平野啓一郎)

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