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漁夫の利(ゆるい解説 & 雑記)

 漁夫の利。
 もしくは鷸蚌之争(いつぼうの あらそい)。
 AとBの間で起こった争いで、まったく関係のない第3者のCが一番の得をする。意味はとってもシンプル。

 でもこの「漁夫の利」って漢文で見ると、内容の割にはずいぶんと長い話なんですよね。しかもこの故事は、戦争を止める説得の手段として「シギ」と「ハマグリ」が出てくるんです。
  「シギ」と「ハマグリ」の話 ⊂ 戦争をやめるよう説得する場面
 場面が2つに亘る、ということです。これがややこしい。
(部分集合の記号⊂を使いましたが、ここでは「小さな左の話が、大きな右の話に内包される」くらいのゆるい使い方をしています)


 このパターン、故事成語だけじゃなくて、日本の古典にも結構多いんです。『徒然草』の第84段には、三蔵法師がホームシックになっちゃう話があるんですが、
   病に伏した三蔵の話 ⊂ を聞いた誰か&弘融僧都の話 ⊂ を聞いて兼好法師の感想
 となります。
 ほとんどマトリョーシカ。もしくは映画『インセプション』。

 論拠のようなものを提示しようとする姿勢には非常に好感が持てますが、話が入れ子構造になる(王様たちの場面の中に、ハマグリの場面と会話が入ってくる)のでどうしても複雑になってしまいます。


 で、ここからは変わって文章読解の話を少し。

 英文も、古文・漢文も同じだと思うのですが、慣れない言葉で書いてある文章を読解するときは、「これって、リアルの話なの? ファンタジーなの?」と確かめることで意外とうまく読めるケースがあります。
 たとえば英語で書かれているとそれが小説なのか、説明・論説文なのか、ぱっと見ではなかなかわかりづらい。
 わたしは中学の頃に「なんか文字が詰まった英文だから説明文だろ」と高をくくっていたら、中盤で熊が突然しゃべりだし、そこでようやく自分が読んでいたのがファンタジーだったと理解した経験があります。前フリが長いファンタジーだった。
 あるいは日本語で言うセリフの「 」が、英語の字の文で埋まっているケースもありますし。

 文章読解なんて自由にやればいいとは思うんですが、例えば「入れ子構造だ」とか「小説に見せかけた説明文だ」とか、文章の型(パターン?)のようなものを知っていれば、苦手な人『ほど』読み易くなることってあるんです。
 これは知識というよりは、経験や習慣かと思います。


 あと古文・漢文は、絶対に漫画やアニメで勉強するのが有利です。
 頭の中にイラストが浮かぶことは、文章読解をするうえで欠かせません。自分とルールや常識の違う場所や時代の話であれば、なおのこと。

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並木飛暁(たかあき)
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