虎穴に入らずんば虎子を得ず(ウソ後編)
(昨日か ↓ らウソの続き)
さて、問題の「虎穴(ふーしゅえ)」は、ズバリ字面そのものの処刑法だった。
罪人は虎の住む洞穴に入れられる。昨日掲載分で既出の蠆盆(たいぼん)や炮烙(ほうらく)と違うのは、この刑の場合、虎の住処に入れられた罪人には死なずに済むチャンスが残されていたことだ。
その条件は、洞穴のどこかに隠してある『虎の巻』を取ってくること。
そもそも『虎の巻』は古代中国の兵法の秘伝を記したものだが、ここでは大変に貴重な書物だと考えてくれれば良い。
貴重な書物を王に献上する代わりに、罪を許していただく。そういう名目だったそうだ。
しかしここで問題になるのが、「処刑人はいつ、どのようにして、虎の住処に『虎の巻』を設置するのか」ということだ。
一説によれば、そもそも最初から洞穴に『虎の巻』なんかは用意されていなかった。つまりは勝ち目のないギャンブルを、「虎穴(ふーしゅえ)」の刑にかけられた罪人たちは、させられていたことになる。
ありもしない貴重な書物を取りに洞穴に入った人々を思えば、なんとも悲しい気持ちになる。
さて、現代の日本にこの「虎穴(ふーしゅえ)」が存在すると言ったら、諸兄は驚くだろうか。
私が確認したところ、日本国内にこの「虎穴(ふーしゅえ)」は優に10ヶ所以上点在している。
実は私の友人が、幾人も、この一度入ったら決して抜け出すことのできない「虎穴(ふーしゅえ)」から帰ってきていないのだ。
古代中国と違うところは、実際に、必ず、間違いなく、『虎の巻』に当たる貴重な書物が間違いなく置かれているということだ。しかも最近では書籍のみならず、関連グッズや、DVD、コスプレ衣装なども置かれており、インターネットで注文もできる。買い物で一定額を超せば配送料は無料になるし、電子書籍も充実のラインナップである。
至れり尽くせり。
そうして現代の日本における「虎穴(ふーしゅえ)」は、アニメファンを確実に取り込み、年々その存在感を増している。
現代の日本における「虎穴(ふーしゅえ)」=『とらのあな』でアニメ沼にはまったが最後、店の奥まで潤沢に置かれたその商品のとりこになって、『とらのあな』から、アニメ沼から、抜け出せなくなることは必定である。
実は私もいま購入を検討しているDVDがあり、来週あたりにはもうこの日本版「虎穴」から抜け出せなくなっているやもしれぬ。
望むところだ。
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