杳として知れず ⑭ 青年への疑念
「彼の研究が断たれたのには幾つか理由があり、重大な欠点が明らかになったためです。あの研究は非常にパーソナルなもので人を選びました。研究が役立つ分野は存在しますが、現時点で有効な効能があるとは証明できないのです」
清廉な青年は秘匿さが保たれた空間で静かに語る。その様子に僕は彼女としか入れない、夢の街での白い空間を思い出していた。現実的に今、この部屋は同じ機能としての役割を果たすも、強いて言うなら規模に違いがある。現実ならこじんまりと、まとまる小部屋という所が、より"らしさ"