『インデックス投資は勝者のゲーム』のまとめ(16章~おわり)
第16章 インデックスファンドが市場に勝つことを保証する
新しいパラダイム
インデックス投資信託ができて以来、素晴らしい成功と、信じられないほどの商業的な成功を収めてきました。
その最大の強みは、広範な株式市場、債券市場に連動することです。そしてその成功は競争を生みそれが経費率低減をもたらしました。
新種のスマートベータETFは、インデックス運用の新しい波で「スマートベータ」とは、従来のインデックスの様に市場の動きに連動するだけでなく、他の要因も利用して利益を獲得しようとする考え方です。
伝統的なインデックスは、市場に連動しているだけですが、スマートベータは、それに加え別の要因を加えた形となりますがスマートベータも「平均回帰」の力が働くので、一貫して勝ち続けるのは難しいです。
過去の数字で実際にはアクティブ運用と変わらないスマートベータETFが、伝統的なインデックスファンドの成果を大幅に上回るものとは思えません。
第17章 ベンジャミン・グレアムならインデックス運用をどう考えただろうか
バフェットはインデックスファンドを支持するグレアム氏を支持している。
ベンジャミン・グレアムは、「割安銘柄」と呼ぶ株式に代表されるバリュー投資で有名な人物でありますが「大多数の投資家は、防衛的な態度をとるべきなのである」を注意喚起しています。
グレアムは、のちの「インデックス投資」のような投資を勧めグレアムの弟子 バフェットは「インデックス投資」を勧めています。
グレアムは、防衛的投資家の投資として、その著書『賢明なる投資家』の中でインデックスファンドのアイディアを紹介していました。
当初はアクティブ運用支持であったグレアムですが考えを変えています。
1949年当時はファンドの経費が安く、投資から得られるリターンから経費を引いても投資家にはリターンがありましたが徐々にコストが上がり、ファンドのコストがリターンを上回るようになりアクティブ運用はダメと考えを変えていきました。
バフェットはグレアムについてかつてオマハ※で
コストの低いインデックスファンドは大部分の投資家にとってもっとも賢い株式投資だよ。わが師、ベン・グレアムもかつて同じ意見だったさ。それからずっと目にしてきたことのすべてが、それが真実だと確信させるね、
と作者の直接ボーグルに語っています。
※オマハ 米国中西部ネブラスカ州にありオマハは「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイがある都市
グレアム自身は、こう結んでいます。
満足いく投資結果を達成することは、ほとんどの人々が考えているよりも容易である。しかしズバ抜けた結果を達成することはほぼ無理である。
第18章 アセットアロケーションその一 株と債券
投資を始めるとき、資産を積み上げるとき、そして引退するとき
※アセットアロケーションとは、、
内の各資産の割合を調整運用することです。要は株や債券などにどのような割合で投資するのかを決めることです。
私(ジョン・C・ボーグル)は50:50でインデックス運用しています。
※出典Wikipedia
第19章 アセットアロケーション その二
引退後の投資とあらかじめアセットアロケーションされているファンド
バンガードで株式:債権=60:40のバランス型インデックスファンドをは1992年に組成以来成功してきた。
S&P500インデックスファンドの年間リターンは9.3%、
バランス型インデックスファンの年間リターンは8.1%
投資期間が長くかなりの胆力と度胸のある投資家なら、S&P500インデックスファンドに100%投資することがよい選択となるが、一方でリスクも考えるならば、バランス型インデックスファンドは検討に値する選択肢です。
柔軟性が必要であるが、引退後の収入では堅実でインフレとともに増大する「年金」がその要求を満たしている。その「年金」を補う形で、バランス型インデックスファンドは有効です。
さて、近年3つのファンドからなるポートフェリオが人気であります。
「米国株式33%インデックスファンド」
「米国国債33%インデックスファンド」
「米国以外の株式33%インデックスファンド」
の割合で保有するものです。
私(ボーグル)は、「米国以外の株式」を保有する必要はないとし、せいぜい20%いかにすべきとその忠告しています。それは米国企業の収入と収益の半分は米国以外から得たものだからです。
だが、今後は分かりません。未来は誰も分かりはしないからです。自分で検討し自分で判断を下す必要があります。
アセットアロケーションには、絶対ありません。情報に基づいた判断を下し、状況に応じ手を打つことです。そして年金という社会保障制度をわすてはなりません。年金との兼ね合いも考えてください。
第20章 時間という試練に耐える得る投資アドバイス
ベンジャミン・フランクリンとのチャネリング
インデックス運用を中心とする戦略は、これまでに開発された最高の戦略ではないかもしれないが、これよりひどい投資戦略は数限りなく存在します。
ボーグルから、投資家へのアドバイス
●できるかぎり早い時期に投資を始め、その後定期的に資金を引き揚げてください。
●投資にはリスクが伴う。投資をしなければ、将来、経済的困難に見舞われます。
●株式や債券市場のリターンの源泉を知ることが大事です。
● 銘柄選択や投資スタイル選択のリスクは、インデックスファンドを通じての分散が打ち消してくれます。市場のリスクは残りますが、、
● 長期的にはコストがものを言います。
●税金は重要であり、最小にする必要があります。
●市場に打ち勝つこと、タイミングをはかることはできないと理解してください。
●今後はどうなるか分からない。しかし、賢明な投資をすることで必ず乙津れる落とし穴に備えることができます。
ベンジャミン・フランクリンとボーグルの考えは似ている部分があります。
まとめてみました。
〇将来のための貯蓄に関して
フランクリン
裕福であれば得るだけ手なく蓄えることを考えてください。時間は大事です。
ボーグル
投資をしなければ、富を蓄えることはできません。時間は複利と共に大事です。
〇コスト管理の重要性
フランクリン
ちょっとした費用もおろそかにしてはなりません。
ボーグル
投資にかかる費用は最小にしなければなりません。
○リスクをとることについて
フランクリン
痛みなくして得るものはありません。
ボーグル
投資をしましょう。最大のリスクとは、資金を運用せずに多くのリターンが得られない事です。
○重要なことを理解することについて
フランクリン
知識への投資は常に最良の利息をもたらし学ぶ意欲のあるものに富はもたらされます。
ボーグル
投資で成功するには情報が必要です。過去や短期の情報は意味ないですがリスクとコストの情報は極めて重要です。
○市場について
フランクリン
人よりずる賢い者もいます。
ボーグル
市場よりも自分が賢いと思ってはいけません。何百万人も同じことを考えています。
○安全性について
フランクリン
大いなる富は冒険を可能にしますがそれが小さいなら、海岸にとどまるべきです。
ボーグル
資産の大小に関わらず、ポートフェリオを株式と債券に分散しましょう。市場のリスクは残りますが、、
○予測について
フランクリン
見ることはかんたんです。でも予見することは容易ではないです。
ボーグル
知らないことを知るためには知恵が必要です。
○自らの利益を追い求めることについて
フランクリン
信頼に足る人がいればよいです。
ボーグル
自分の経済的利害をけっして無視してはいけません。
○最後に一貫性について
フランクリン
産業と予見能力、そして倹約が富を生み出します。
ボーグル
何が起ころうと自らの計画に固執してください。忍耐と一貫性が投資家の資産です。
豊かさへの道は、長期的な複利リターンというマジックを利用するだけでなく、長期的な複利のコストという暴君を避けることでもあります。ウォール街では「ぼーとするな、何かやれ」と言いますが
一般の投資家には
「なにもするなじっとしてろ」です。
まとめ
バンガードの創業者であるジョン・C・ボーグルの渾身の一冊と言ってよく、終始一貫して力強い言葉で語られています。
死と向き合う年齢に達した時期にこの内容の本を書くエネルギーと情熱には敬服するしかありません。
『複利は人類最大の発明』と、かのアインシュタインが残した言葉にありますが複利によってもたらされる富を最大限享受できるように手数料を低く抑えると事と、その利益を生み出す源泉をアメリカの産業そのものへの投資によってというシンプルで理にかなった『仕組み』を作った事は、第20章の『わたしの言葉だけを信じる必要はない』の文末にあるポール・サミュエルソンの言葉 ※出典Wikipedia
に言い表されているのではないでしょうか?
この本からはこれをやりぬいたボーグルの意思の強さが伝わってきます。そこには複雑さはなくシンプルなものです。
現在バンガード社は全世界から600兆円以上の資金を集め運用しています。そこでもたらされる利益はこのボーグルの強い意思から生まれたものと言って過言ではないと思います。まぁ日本から撤退しちゃいましたけどね、
最後にこの本から
「インデックスファンドを買いなさい。そして何もするな」
って声が聞こえてきそうです。英語で、でしょうけど、
それとぜひこれまでのまとめも併せてご覧ください。
一言忘れていました。
Thank you for the very important information John❗️